長居植物園のシャクヤク園のシャクヤクの花を見て、シャクヤクの歴史について調べてみました。

中国北部原産のシャクヤクは、紀元前から中国で薬草として栽培されていた歴史があり、西暦1000年代の宋の時代には、鑑賞用として八重咲きなど品種の改良も進んでいたようです。

薬草としてのシャクヤクは、花が白く、根は直径4センチくらいの紡錘状となり、この根の木質部分を取り去った皮が芍薬(シャクヤク)と呼ばれています。
白いシャクヤク

シャクヤクの根(芍薬)は、消炎・鎮痛・抗菌・止血・抗けいれん作用がある漢方では非常にポピュラーな生薬で、葛根湯、十全大補湯、大柴胡湯、当帰芍薬散など、多くの漢方薬に配合されているそうです。

実は牡丹の根にも同じような薬草効果があり、八味地黄丸、大黄牡丹皮湯などに入れて用いられているようです。
牡丹

シャクヤクの日本での最初の記録は、「小野小町(825~900年?)が出羽国に99鉢植えた」とあるので、9世紀半ばまでに(恐らく遣唐使によって薬材として)中国から入ってきていたようです。

時代が下って江戸時代、1695年に編纂された「花譜」には、100種類ものシャクヤクが記載されているので、300年前の日本でも盛んに栽培されていたことが判ります。

1712年、中国の栽培品種だったシャクヤクは、日本名の「Sakuyaku」としてヨーロッパに伝わっていますので、日本で品種改良された株が長崎から中国に渡っていたのかもしれません。

1805年には、中国から八重咲き品種がイギリスに送られ、ヨーロッパでのシャクヤクの品種改良が盛んになったようです。

日本でも品種改良は続き、1932年には何と700品種が発表されているので、関係者の品種改良への熱意は、相当なものがあったようです。

またアメリカでは、牡丹属との異種間交配によって品種改良が進み、新しい品種が次々と生み出され、園芸品種だけでも3000品種を越えたというので驚かされます。
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