高松 伸氏(1948年~)は、島根県大田市出身、京都大学工学部大学院博士課程を修了し、1980年に高松伸建築設計事務所を設立している。
高松 伸氏の代表作、キリンプラザ大阪

1980年代前半までは、京都市内で中小規模の商業ビルや住宅の設計を手がけていたが、高松氏のシンメトリーデザインは市民の注目を集めていた。
1987年、大阪の中心である戎橋にキリンプラザ大阪を設計し、この作品で1989年に日本建築学会賞を受賞しているが、ビルの上部に4本の行燈のようなタワーを配置したメタリックなデザインは、大阪市民の度肝を抜いたものである。
戎橋の上から見たキリンプラザ大阪

1989年に公開されたアメリカ映画「ブラックレイン」のリドリー・スコット監督は、アジアらしい雑多で猥雑なイメージを日本に求めていたが、監督の望んだ風景がキリンプラザ大阪のある道頓堀だったようで、映画の中にビルの映像が使われている。
道頓堀から見たキリンプラザ大阪

確かに、他のビルとは異質のオブジェのようなデザインで、大阪の戎橋を代表するランドマークとして、20年を経た今でも古さを感じさせない。
キリンプラザ大阪の正面

しかし、リドリー・スコット監督を感動させたこのキリンプラザ大阪は、残念ながら今月閉館し解体され、跡地は売却されるらしい。
キリンプラザ大阪の20年展の展示

ところが、御堂筋と千日前通りの交差点に建築中の三角にカットされたビルが、高松氏のデザインというので、大阪市民は新しい高松作品を眺めることができそうである。
御堂筋の北側から見た高松作品

この作品は、以前のものから脱却した、新しいデザイン手法が採用されていて、何と建物の中央が瓢箪型に刳り貫かれて空洞となっている。

高松氏は、1997年から京都大学大学院工学研究科教授に就任されたらしいが、郷里の山陰地方に大きな公共建築を数多く設計している。
なんばHIPSの全景

松江市美保関町に1995年完成した「メテオプラザ」、境港市に1997年に完成した「みなとさかい交流館」などである。
交流館

いずれも、隠岐に渡るフェリーのターミナルビルとして使われる大型施設であるが、山陰の田舎に突如出現する近未来デザインの高松作品にはビックリさせられる。
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