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ROSSさんの大阪ハクナマタタ



2013年に出版された百田尚樹さんの「夢を売る男」という小説の中に文章について解説した部分がありましたので、近所で見かけたイソシギの写真と一緒に紹介しましょう。<・・・>が小説からの引用、(・・・)がROSSの補足

<「ところで部長(出版社編集部長の牛河原のこと)」と、荒木(出版社の編集部員)が言った。「前から疑問に思っていたのですが、いい文章って何ですか?」  「読みやすくてわかりやすい文章だ。それ以上でも以下でもない」   「でも、それっていわゆる文学的な文章というのとは少し違いますね」>・・・着地したイソシギ(体長20cm)。

<荒木の質問に、牛河原は皮肉っぽい笑みを浮かべた。「書評家や文学かぶれの編集長が言う文学的な文章とは、 実は比喩のことだ」>・・・イソシギは、野鳥の少ない冬に良く見かけるシギの仲間です。

<「例えば単に「嫌な気分」と書くのではなくて、「肛門から出てきた回虫が股ぐらを通って金玉の裏を這いまわっているような気分」などと書くのが 文学的な文章というわけだ」>(牛河原部長は編集者としては有能ですが、かなり下品な人物という設定のため、にこういう説明となったようです)

<「何となくわかるような気がします。うちの(文学賞の)応募原稿にも、たまにそんなこねくり回した文章がありますね」>・・・イソシギが飛行すると、翼の上下にある白い帯を見ることができます。

<日本の文学界には、主人公の心情を 事物や現象や色彩に喩えて書くのが文学的と思っている先生たちが多いからな。だから比喩をほとんど使わない作家や作品は評価されない。リーダビリティ(詠み易さ)が高いと逆に低級とされたりする」>・・・体の小さなイソシギは素早く飛行します。

<「純文学って、僕、全然理解できないんですが」 「純文学にはメタファーが含まれていることが多いからな」 「それは何ですか」>・・・カメラのオートフォーカス機能が優秀でないと、ピンボケ写真を量産することになります。

<「暗喩(暗示的な比喩)とか、隠喩(隠された比喩)とか呼ばれるもので、つまりある事象を描きながら、実は別のことを表現しているといったものだ。しかし、すぐにそのことが判ってはいけない」>

<「文学的な素養に溢れたレベルの高い読み手が、じっくり考えた末にやっと判るくらいの難しさが必要だ。この難易度が高いほど高尚な作品と言われている」>・・・百田さんならではの大変興味深い文学理論でした。



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