遠い森 遠い聲 ........語り部・ストーリーテラー lucaのことのは
語り部は いにしえを語り継ぎ いまを読み解き あしたを予言する。騙りかも!?内容はご自身の手で検証してください。
 



 

以下はWさんから聴いた戦中戦後の体験談である。

両親が亡くなって父方の伯母の家にあづけられた。ふとん 父の着物 700円の現金が両親の残してくれた全財産を持っていった。「わるいけど つかわせてもらうよ」 700円はたちまち米になってなくなった。戦争で日本中が貧乏だった。乏しい食卓を4人で囲む ぼくのごはんはすりきりで いとこたちのごはんはおなじ一杯でも山盛りだった。「この子がいなければ家族がもっと食べられる この先いつまでこれがつづくの うんざりだ」 伯母の気持ちが子どもにまでつたわってゆく。いとこたちはぼくを苛め抜いた。頭から小便をかけられたこともある。ぼくは 親がいないということがどんなことか骨身にしみた 親が生きていてくれたら とどんなに思ったかわからない。

学校に行ってもやせこけた僕は疎開っ子 といじめられた。勉強は好きだったが手をあげるとよけいいじめられ 家から持ってきたメンコやおもちゃ、雑誌 みんなとられた。家にもいられないので 袋を背負って ゆでておひたしにするアカザという雑草や燃料にする杉の葉 まきをひろいに行く、すこしでもひろえば家に帰れる だがこれは命がけだった。 土地の子どもが追っかけてくる 石をぶつける。腹がへっているから思うように走れない。農家の子は栄養がよくて体はおおきいし 足も速い ぼくは必死で逃げた。病院にいけないから ケガや病気をしたら 死んでしまうと思ったのだ。

 ぼくは腹をすかせ 目をきょろきょろさせ食べ物をさがした。だれかが捨てたさつまいものしっぽ 歯型もくっきり残っている食べかけ にかぶりつく。それが命の綱だった。ぼくのからだは日ごとにやせおとろえ 骨と皮ばかりになり あるとき このままでは死んでしまうと近所の高田さんが心配してくれて 子守を探しているKさんの家に ぼくは 犬猫でもわたすようにもらわれていくことになった。

 ぼくは これで 助かる 死なないですむ と心底ほっとした。ところが その夜のこと はじめての家で寝付かれないぼくは 恐ろしい声を聴いたのだった。「千塚の口入屋に野郎の子守り奉公の口を頼んであるんだよ 正月が終わったら 子守に出すことになっているのさ」 「あ、そー」「野郎をできるかぎり働かせて金をとり 年頃になったら 百姓婿にでもくれちゃえばいいと思ってるんだよ」「それがいい。それがいい。」

 目の前がまっしろになった。 「騙された 僕は売られるんだ。」逃げたい。 でも 僕には逃げるところがなかった。かえるところも よろこんでむかえてくれるひともいなかった。その売られたぼくは 子守 作男 奴隷のようにこき使われた.....

戦後 10万人の孤児がいた。幸い僕はこうして生きのびることができたが 路上でだれにもみとられず死んでいったり 幼い身でからだをうったり 身をもちくずして 浮浪者になったり 食べるために生きるために いうにいわれぬ辛い苦しい思いをした孤児が何万人もいる。彼らはなにも言わない あまり辛いから だれに話すこともできないまま過去の記憶を胸にしまって黙って死んでゆく。子どもをつかってもうけたおとなは罰せられることもなく平気な顔をして生きているのに。

...................

戦後 両親をうしなった多くの子どもがいた。親戚にたらいまわしにされたり 売られたり 辛酸をなめた。いじめられ死んだ子もいたし 気が狂った子もいたという。わたしは日本人性善説は信じない。戦地でもやさしいひとから死んでいったという。戦争の恐ろしさは人生 命が失われることだが ひととしての優しさ 人間性も奪うのだ。孤児であったひとたちは一様に他人は信じない という。実際にうたぐり深い それらのひとたちの信頼を得るのは至難である。それだけ とことんいじめぬかれ 利用されたのだと思う。

 

 

このものがたりをまとめているとき ふと思い出したことがあって宝塚96期のいじめ事件を調べた。

http://takarazuka96.web.fc2.com/96/point-yujin.html

http://takarazuka96.web.fc2.com/96/dashi.html

被害者の少女は96期でもっともうつくしかったという。

宝塚にはいじめの歴史はむかしからあった。知人がコアなファンだった。研一研二のうちから 目をつけ入れ込んで 成長するのを見守るのを無上のたのしみにしていた。昔 そのひとが入れ込んでいたのが 月組トップになった上月晃と 二番手だったかしら南原ケコさんだった。目立つ生徒はいじめられるそうで あるとき顔色がわるいので訊いてみると 小道具やしゃんしゃん。。。フィナーレで振る鈴を隠されるとか 便所に棄ててあったこともあったそうである。

でも 96期のいじめとはそんな生易しいものではなく ....。 悪辣なとしかいいようのないあざといものだったようだ。ひとりまたひとりと味方と信じていたひとが敵にまわってゆく。どんなに恐ろしかったことだろう。集団真理というか 自分もいじめられたくない なかまはずれになりたくないと思ったら しだいに与してしまうものなのか それとも首謀者が それほど人望があったのか...

万引きをでっちあげられあげく舎監に騙されるように追放....。それが葉山組長だったなんて。その後調停となり 被害者の言い分がみとめられたのだが その少女は夢だった舞台を踏むことはゆるされなかった。..... 被害者の少女のその後を知ったら 泣きたくなった。

夢を呼ぶフェアリー 虹の妖精 .... は 邪であってはならないと思う。首謀者の実家も富豪であったようだし 近年の宝塚には有名人の子どもが多い。世襲制みたいなものだ。歌劇団は 清く正しくうつくしくをつらぬいてほしいと思う。TOPはことに家柄 見た目のうつくしさ 技量だけでなく やさしさ 人格の高潔さも考慮してほしい。



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )



« あしたは 午... トランプはク... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。