遠い森 遠い聲 ........語り部・ストーリーテラー lucaのことのは
語り部は いにしえを語り継ぎ いまを読み解き あしたを予言する。騙りかも!?内容はご自身の手で検証してください。
 



  とてもちいさな白い花 河原で

二年前 浦和のスタジオではじめてのリサイタル「夏物語」を開いたときのことを思い出す。とても 語りたかったのだ。だが夫のこと、会社のことさまざまなことがあって あきらめかけていた。あのとき 櫻井先生がlucaさん やりましょうと背中を押してくださった。それで 準備も7月になってからばたばたとはじめたのだった。

 先生がひとつ語ってくださって わたしがフランス窓から 弥陀ヶ原心中 おとうちゃまのこと を語った。フランス窓から はライフストーリー 弥陀ヶ原心中とおとうちゃまのことは再話といったらいいだろうか。おとうちゃまのことは作家中島敦さんの妻 タカさんの対談から起こした一人称のものがたりだった。

 はじめの企画ではゴーチェの原作のクラリモンドの戀 を語ろうと思っていたのだ。けれども さまざまなことがおきてから 択んだものがたりは 後になって思えば みなわたしの人生の一部といってよいものがたりだった。

 夢のような時間だった。一部より二部のほうが格段によかったと先生は云ってくださったけれど わたしにはわからなかった。ともかく そのあと 歩きつづけてこられたのは ものがたりを聞いてくださった方々に ともに生きていただいたこと、受けとめていただいたからだと感謝している。

 そして 今 ふたたび語りたいのは わたしが自分が思っている以上に今辛いのだとふと気がついた。ちょうど二年前のきのう 夫は入院した。わたしは今年とおなじように潰瘍で苦しんでいて 今夜とおなじように痛みで眠れぬ夜を耐えていた。あしたのことはどうなるかわからない。だれだってわからない。もしかしたら語りにかかづりあうより しなくてはならないことはあるのかもしれない。

 でも いま 語りたい思いはかたちにしよう、とりあえず。あとのことはまたあとで考えよう。スカーレットのせりふみたい..思わず わらってしまう。

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