Leikon's Photo Diary

写真とカメラなどに係わる独り言

團菊祭五月大歌舞伎 夜の部

2023年05月03日 23時59分29秒 | 歌舞伎
誤認衆の H 口さんのご厚意で歌舞伎座新開場十周年 團菊祭五月大歌舞伎 夜の部に芝居見物。お目当ては菊之助の『髪結新三』です。これまで松緑、菊五郎と音羽屋一門の新三を二度見物していますので、(弟子との「騒動」も取り沙汰されているなか)次代の総帥がどう演じるか。その松緑の『達陀』も。
 
宮島のだんまりはよく解りませんが、こんなものなのでしょうね。

達陀は左近クンと梅枝の舞踊辺りから面白くなりました。梅枝は若手の中では元々上手いと思っていましたが更に良くなったように思うなか、それに引っ張られてか左近クンもなかなか立派な踊りです。先月の連獅子で初めて観た若手だと思いますが、才能はいますね。将来が楽しみです。練行衆の舞踊になってから、10 人のトンボの迫力も凄いし、若手が出てきての舞踊も感動しました。と満足したものの、すみません。前半の勤行(?)の時に寝落ちしました(爆)

さて、本命の新三。菊之助はきっちりとした楷書の新三でしょう。音羽屋の型を丁寧に守っているのだと思います。観ていて悪いと感じる処はないです。勿論、菊五郎の洒脱さと悪の華が無いのは致し方のない処で、これから自身の人生の幅を拡げていって出てくるものだと考えます。左團次さんがお亡くなりになって最も心配した家主長兵衛役。左團次さんのとぼけた中の「太さ」は何ものにも変え難いと思っていますが、権十郎も良い役者だと感じました。声の出し方・調子も含めて左團次さんをよく研究していると感じました。忠七はこれまで時蔵さんで観たので、次男の萬太郎では厳しいかなぁと思っていたのですが、父親からの教えが良かったのでしょう、立派な忠七でした。菊次も初めて意識して観ましたが、「勝」になっていたと思います。これからこのメンバーで髪結新三を練り上げてくれれば、歌舞伎も将来捨てたものではないように思いました。当然でしょうが、錦之助と雀右衛門は手堅いです。児太郎も町娘のお熊ですから問題なし。私は満足です。

さてさて見終えてみれば、なかなか見応えのある演目で団菊祭なのに、客の入りは悪いですね。一階中央のブロック 12 列目でしたが 12 席中で 8 人、その右のブロック=私たち夫婦がよく狙う中央右の 27 から始まる ブロックの 8 席はゼロ! 一階全体としても 4 割いかないくらいの入りでしょうか。ゴールデンウィークだから遠出しているのかもしれませんが、客の少なさが心配。
そうそう、芝居の筋を理解しやすいように冒頭で黙阿弥の弟子として狂言回しが出てきて、TV ドラマのように相関図まで出して説明してくれました。白頭翁は歌舞伎では初めて眼にしました。有名な戯作なのにここまでサービスしないといけないかと感慨深いです。


【 本日の演目 】

一、宮島のだんまり(みやじまのだんまり)
傾城浮舟太夫実は盗賊袈裟太郎 雀右衛門(扇雀)
畠山庄司重忠 又五郎(NA)
典侍の局   梅枝(高麗蔵)
悪七兵衛景清 歌昇(片岡亀蔵)
相模五郎   萬太郎(歌昇)
大江広元   尾上右近(錦之助)
白拍子祇王  種之助(同左)
御守殿おたき 歌女之丞(同左)
浪越采女之助 東蔵(NA)
平相国清盛  歌六(彌十郎)
( )は2018年10月公演の配役。

萩原雪夫 作
守屋多々志 美術原案
二、春をよぶ二月堂お水取り 達陀(だったん)
僧集慶   松緑
青衣の女人 梅枝
幻想の集慶 左近
練行衆   市蔵
同     松江
同     歌昇
同     萬太郎
同     巳之助
同     新悟
同     尾上右近
同     廣太郎
同     種之助
同     児太郎
同     鷹之資
同     莟玉
同     玉太郎
同     橘太郎
同     吉之丞
堂童子   坂東亀蔵

河竹黙阿弥 作
三、梅雨小袖昔八丈(つゆこそでむかしはちじょう)
髪結新三

髪結新三   菊之助(菊五郎、松緑)
弥太五郎源七 彦三郎(團蔵、同左)
手代忠七   萬太郎(時蔵、同左)
お熊     児太郎(梅枝、同左)
車力善八   菊市郎(秀調、同左)
下剃勝奴   菊次(権十郎、亀寿)
家主女房おかく萬次郎(萬次郎、右之助)
家主長兵衛  権十郎(左團次、同左)
加賀屋藤兵衛 錦之助(家橘、仁左衛門)
後家お常   雀右衛門(魁春、秀太郎)
( )内は2019年11月、2015年10月公演の配役