本日、家内と
新橋演舞場『秀山祭九月大歌舞伎』昼の部に行って参りました。歌舞伎通の新宿の法人営業所長の勧めです。仁左衛門贔屓で昼の部に行かない奴は居ねえよ、などと言われ、早速調べてみたら、家内の好きな吉右衛門も出ております(当然ですね、主催者!?ですから。秀山の由来もしらない私は無知でした。家内にバカにされました)。また、チケットも歌舞伎座お別れ公演とは違って、まだよい席が残っておりました。トチリのリで花道右の通路に2席。ドラ猫も少し行きたそうでしたが、已むを得ず。
舞踊『月宴紅葉繍』に続いて、いよいよ吉右衛門が十兵衛役の『沼津』。アドリブも織り交ぜて軽妙な始まりでしたが、徐々に盛り上がって2時間弱。流石の名演。家内も感じ入っておりました。また、歌六・歌昇の播磨屋復帰の披露があり、初めて口上を見られたのも嬉しいことでした。
お弁当のあと、私としては一番の見物、仁左衛門の『荒川の佐吉』。姿も良い、演技も良い、そして何より筋と役がいい。最後に、苦労して育てた卯之助に「坊ちゃん」と声を掛けて別れるところ、泣けますね、って、実際にかなりの観客がその前から泣いていました。2時間強、たっぷりと仁左衛門の魅力、歌舞伎の魅力を堪能しました。大満足。台詞も「どうせ相場の安い時に買った命だ」、「一心具足千人力(吞龍さまのお符が初めておれに読めるようになったのだ)」等々、仁左衛門にかかると言葉に命が宿る気持ちがします。それから辰五郎を演じた染五郎も、佐吉との友情溢れる遣り取り、軽妙さと涙もろさを演じて、さらに好きになりました。もっとも、子供の抱き方では仁左衛門は洵に堂に入っており、子煩悩な役どころが上手く出ていますが、染五郎も子供はいるのにまだまだですね。
そのあとの藤十郎の『寿梅鉢萬歳』は私には猫に小判。家内は感心していましたが…
とまぁ、昼の部にしては幕間をいれて5時間超の長丁場で、見物中は早く過ぎましてが、終わってみれば疲れもたっぷり。折角、二人で銀座に出たのに、オーバーホールに出す時計を悪の巣窟に持っていくのが精一杯。そうそう、観劇の双眼鏡は、Diademか4x12か悩んで、仁左衛門の表情がよく見えるようにと、光学性能の高い4x12にしました。T*P*ですし素晴らしい見え味で、スペックからみても観劇には最高です。でも、(双眼鏡の4x12は)意外に出てこないよ(これは自慢です!)
http://www.kabuki-bito.jp/theaters/shinbashi/2010/09/post_22.html
【本日の演目】
「月宴紅葉繍」 梅玉の業平に、魁春の小野小町。
「伊賀越道中双六」から「沼津」 吉右衛門の呉服屋十兵衛、芝雀のお米に歌六の雲助平作。染五郎の池添孫八など。
「江戸絵両国八景 荒川の佐吉」 仁左衛門の荒川の佐吉、福助の丸総女房お新、吉右衛門の相模屋政五郎、染五郎の大工辰五郎など。千之助クンが卯之吉です。
「寿梅鉢萬歳」 藤十郎。