リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

箱の外は広くていいよ

2013年12月03日 | 日々の風の吹くまま
OECDの国際学力調査(PISA)の結果はアジアが優勢で、上海が3つの分野でトップ。日
本もランクが大躍進したけど、カナダは数学で大幅にランクを下げ、アメリカは相変わらず
下の方。各国のメディアの手前味噌的な報道がおもしろくて、その話をしていたら、このとこ
ろ教育論にはまっているカレシ、「それでも革新的なアイデアのほとんどがアメリカ発なのは
どうしてかな」と。なるほど、革新的アイデアは成績優秀の中国からじゃなくて、こういう試験
では落ちこぼれ組のアメリカから出て来ることが多いかな。

ここ何年も何かにつけて物知りそうな人たちが「Think outside the box!」と説教して来て
いて、英語的には一般に「既存の考え方や常識に囚われずに自由に考えること」とされて
いる。そこで「創造性を豊かにする」教育要領を掲げる日本でも流通しているだろうと思って
調べてみたら、「箱の外で考える」、「箱の外から考える」、「箱の外を考える」、という3通り
の日本語バージョンが出て来た。ワタシの直感では、1番目は「箱の外に出て考える」、2番
目は「箱の外から中のことを考える」、3番目は「箱の中から外のことを考える」と、ニュアン
スが微妙に違う解釈ができて、それぞれ訳を当てた人の思考の方向性が見えるような気が
しないでもない。

「Think outside the box」と言われると、ワタシの頭の中では「箱の外に出たらそこは360
度の無限の空間だった」というイメージがわくけど、複数の子供を同時に教える学校教育は
(ごく個人的な体験から言うと)必然的に「箱の中で考える」ことを教えるものだと思う。資質
も学習力もそれぞれに違う子供たちを箱の外に出したら「授業」が成り立たなくなるだろうし、
「先生」の権威も揺らぐかもしれない。そうやって「学校」という箱の中でひたすら知識を詰め
込まれて来たら、テストの成績は上がるだろうけど、社会人になってテストされるのは、その
知識をどう使うか、あるいはどれだけ使えるか。その成績は社会という「箱」の大きさと外の
空間の大きさによって違って来るだろうな。

人間社会では子供をそれぞれの学び方の個性に合わせて教育するのは実質的に不可能
だとすれば、箱の外の空間がどれだけ広いかが創造性の豊かさを左右するんじゃないかと
思う。でも、「無限の空間」に出ると不安に駆られる人も多いし、他人が箱の外に出ることを
良しとしない(阻止したい)人も多いし、傍から外で、外でとあまりにもうるさく言われていると、
それが窮屈な箱になってしまうから、はあ、考えるのってタイヘン・・・。