加茂水族館から山居倉庫までは車で30分。最上川を渡ると急に市街地になり、唐突に山居倉庫の駐車場が現れた。山居倉庫は1893(明治26)年、旧庄内藩主・酒井家が建設した米保管倉庫で、2021年3月には国史跡に指定された。最上川と新井田川の中洲にあり、船運が主力の時代には米の集積・保管に最適な場所だったようだ。12棟が現存し、そのうち9棟が最近まで現役の米倉庫として使われていた。残りのうち1棟は「庄内米歴史資料館」、2棟が「酒田市観光物産館 酒田夢の倶楽」として改装され、一般に開放されている。
写真でよく見る風景は倉庫の裏で、三角屋根に黒い板壁、緑の欅並木がとても絵になる。新緑の頃が一番美しく、今の時期は寒々としていた。
山居倉庫は当時の技術の粋を尽くして建てられた米倉庫だった。欅の木は西日や強風から倉庫を守るため、その他にも、二重屋根など通気を良くする工夫がされていた。とは言え、現代の保管技術には比べるべくもなく、今は最新の冷蔵庫が中に設置されている。
裏から倉庫の外を回り、表に出る。表の姿も悪くない。特に、川の対岸からの景色は北前船で賑わった当時の様子が偲ばれる。
「庄内米歴史資料館」は休業中だったが、「酒田市観光物産館 酒田夢の倶楽」には入ることができた。目を引いたのが「おしん」の人形ギャラリー。また「おしん」だ。原作者の橋田壽賀子は山居倉庫に来て、米1俵で売られていく少女の話を思いついたのだとか。「おしん」のお陰で山居倉庫も全国に知られるようになったらしい。
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