根室を離れ、阿寒湖に向かった。
阿寒湖では遊覧船に乗るつもりだったが、天気が悪いので早々に断念。
遊覧船に乗らないのならば、急ぐ理由は何もない。
もう一度納沙布岬に寄ってから、のんびり阿寒湖を目指した。
別海町を抜けるルートで2時間半、北海道の移動は半端じゃない。
湖畔の第2・3駐車場がおすすめと聞いていたが、場所が分からなかった。
周辺をウロウロしたあげく、阿寒湖アイヌコタンの無料駐車場に停めることになった。
アイヌコタンとは、北海道の先住民族であるアイヌの人々が暮らす集落のことである。
阿寒湖アイヌコタンは130名あまりのアイヌ民族が暮らしており、北海道で一番大きなアイヌコタンだという。
かつてのアイヌ民家を再現した建物や、アイヌに伝わる木彫などの民芸品店や飲食店など数十店が並んでいる。
伝統あるアイヌ古式舞踊を見学することもできる。
アイヌ生活記念館は、古い時代のアイヌ民家を再現したもので、中には当時の生活用具や衣服などが展示されている。
しかし、ポンチセ(小さな家)のため、展示品が少なく、暮らしぶりがよく伝わってこない。
展示の仕方には一考の余地がありそうだ。
昼食は、アイヌコタン内の「ボロンノ」という喫茶店にした。
どこの店にもアイヌ料理と書かれているが、メニューを見て、アイヌ料理らしい店はここだけみたいだった。
アイヌ料理定食「ユック(鹿)セット」を注文。
じっくり煮込んだ鹿肉に、季節の山の幸のスープ&雑穀ごはん&珍しいめふんの塩辛の3点セット。
淡泊な味で、特に美味いというものでもなかった。
むしろ、アイヌの食材を使った「ポッチェピザ」や「めふスパ」のほうが美味かった。
食後、木彫りの民芸品店「イチンゲの店」に入った。
数多くの作品が所狭しと置かれている中で、「心やすらぐ お守り地蔵」に目が留まった。
そのふくよかな慈悲深い表情にすっかり魅せられてしまった。
後で調べてたら、店主の瀧口政満さんは、数々の賞を受賞した有名な彫刻家だった。
アイヌ民族ではなく、アイヌ彫刻に魅了されて、ここに移り住んだそうである。
三歳の時に高熱が原因で難聴になったそうで、いつも補聴器をつけている。
材料全体の形、流れるような木目やこぶを見つめると作品構想がわき、それが作品の模様に生かされていくという。
「心やすらぐ お守り地蔵」を見れば、なるほどと得心。
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