徒然なるままに 

BGMはモダンジャズ、暇つぶしの自分史

冬の青森 ストーブ列車

2016年02月12日 | 旅行記

青森駅から五所川原駅までは車で約1時間である。
できれば電車を使いたかったが、ストーブ列車の時間に間に合わない。
仕方なくレンタカーを借りた。
車はJR五所川原駅の前に止めた。
大きな駅にもかかわらず人影はほとんどない。
対照的に、小さな津軽鉄道の駅舎はストーブ列車を待つ乗客であふれかえっていた。

津軽鉄道は、沿線の過疎化で利用客が激減し、存続が危ぶまれていた。
第3セクターではないので、自治体からの赤字補填もない。
この危機的状況を救ったのがストーブ列車である。
東北新幹線の開通も追い風になり、今や、観光による定期外収入が売り上げの4分の3を占めるようになった。
2008年にはついに黒字化を達成、まさに奇跡的な出来事である。
ストーブ列車
この日は、ストーブ客車2両、一般車両1両の3両編成。
ストーブ客車には、乗車券のほかに、400円のストーブ列車料金がかかる。
これは年間1200万円の維持費用を賄うための措置だという。

予約してあった「ストーブ弁当」を受け取り、さっそく乗車。
運よく、ダルマストーブに最も近い席に座れた。
金木まで26分間の小さな旅である。
ストーブ弁当
動き出すと、アテンダントの女性がスルメを焼き始めた。
すると乗客が一斉に立ち上がりカメラを向ける。
奇妙な光景である。
スルメは意外に早く焼ける。
焼けると、スルメを買ったお客さんのもとへ急いで届ける。
ダルマストーブは車両の前後にあるので、混み合った車内を頻繁に往復する。
なかなか大変だ。

しばらくすると、津鉄のはっぴを着た車内販売のワゴンが入ってきた。
狭い車内がさらに混雑する。
スルメのほかに、飲み物や菓子などが積まれている。
ストーブ列車の刻印がはいったどら焼きを2つ購入。
ストーブ列車アテンダント
しばらくすると、今度は手にマヨネーズを持った男性が現れた。
「ストーブ弁当ですか、通ですねー」
津鉄の職員で、乗客と会話しながら、スルメを買ったお客さんにマヨネーズのサービスをしている。

列車が嘉瀬駅に着くと、アテンダントの女性がしゃべり始めた。
「わたし、これでもアテンダントなんです。業務の一環でスルメ焼いてます。 ・・・・」
「ここ嘉瀬は吉幾三さんの故郷ですが、電気も信号もあります。 ・・・・」
津軽弁で話す機智に富んだ語りが楽しい。

スルメひとつで、ここまで盛り上げるとは大したものである。

お気に入り名盤! ウィントン・マルサリス:Black Codes (From the Underground)


 

コメント
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