日銀は、1月28日と29日に開いた金融政策決定会合で、これまで実施してきた量的緩和策に加えて、金融機関から預かっている当座預金の一部に対してマイナス金利を付与することを決定した。
黒田日銀総裁はかねてから「マイナス金利は考えていない」と明言していたので、まさに青天の霹靂だった。
株は乱高下を繰り返したあと、2日間で823円も急騰し、118円台だった円/ドルは121円台まで円安が進行した。
その一方で、業績不安から銀行株は暴落。
さらに、長期金利が低下し、財務省は予定していた個人向け国債の販売を見送る事態になった。
当座預金から法定準備金部分を差し引いた残高は221兆円に達する。
行き場のない遊び金だが、日銀はこれに0.1%の金利を付けていた。
この金利をマイナスにするのかと思ったら、そうではなかった。
2015年の平均残高(基礎残高)を超える部分についてマイナス0.1%の金利を適用するという。
今後の積み増し分にペナルティを課すということであって、ただちに大きな負担が発生するわけではない。
マイナス金利は、日銀に眠る遊び金を民間経済に回し景気と物価をテコ入れするのが狙いである。
しかしながら、その効果については懐疑的だ。
そもそも、221兆円も遊び金が積みあがったのは、資金需要のないところに大規模な量的緩和を実行してきた結果である。
すでに金利は異例の低水準にあり、さらに下げても大した効果はない。
あるいは、これ以上積み増ししたくない銀行は、今後日銀の国債買いオペに応じないかもしれない。
その後、原油価格の下落や相次ぐ企業業績の下方修正で、日経平均は大幅反落。
2日間で674円の下落となり、マイナス金利導入による上昇分をほぼ帳消しにしてしまった。
為替も119円半ばまで円高が進行した。
マイナス金利による緩和効果はわずか2日間だけだった。
一連の金融不安は、中国経済の失速、原油安、米利上げによる新興国からの資金引き揚げなど、すべて外部に要因がある。
日銀の量的緩和だけで状況を打開できるはずもない。
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