つくづく、プロは凄いと思う時がある。
ラフに入ったボールをギャラリーに囲まれながら打つ。よく見かける場面だが、ちょっとでもシャンクすればギャラリー直撃だ。それなのに躊躇することなく打つ。
考えたら凄いことだ。
スペインで行われた世界ゴルフ選手権で、タイガーウッズはカート道から第二打を打った。ちょっとでもダフれば手首を痛めてしまうのに、気にするそぶりも見せずに、フルショットした。タイガーにとってダフるなど100%ありえないことなのだ。
全盛期のジャンボ尾崎は、正月の特番で、ケント・デリカットをティー・グランドに寝かせ、口にティーを差し、その上に置いたボールをドライバで打つという企画をやった。ちょっとでもダフれば大事故だが、何事もなく打った。
プロの領域は神がかりといっていい。
長いゴルフ人生の中で、一度だけ、プロの領域に触れた瞬間があった。
ロぺ倶楽部の16番ホール、距離のあるミドルで、グリーンは巨大なバンカーに囲まれている。
右ラフからの第二打は3番アイアンだったが、いままで味わったことのない不思議な感覚だった。
素振りでもしているかのように、およそ打感というものがなく、後ろに引っ張られるようにクラブヘッドがしなり、ボールが餅のように潰れていくのを感じた。
「芯を食うとは、こういうことだったのか」
ボールの行方は見失ったが、ピンそば2mのところに落ちていた。
まさに、神がかっていた。 お気に入り名盤! オスカー・ピーターソン:Walking the Line