読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

ほねぬすびと-しゃばけ- 畠中恵 小説新潮2月号

2009-02-08 10:20:46 | 読んだ
「しゃばけ」の新シリーズがスタートした。

江戸通町に店を構える、廻船問屋兼薬種問屋「長崎屋」の若旦那・一太郎は「病についての物語を、同時に三つもかけるほどに虚弱」である。なので父母は限りなく甘く、乳母も二人の兄(にい)や経ちも他の奉公人たちも「気合を入れて優しい」のである。

こういう虚弱体質の一太郎なのであるが、特殊な能力を持っている。
それは「妖(あやかし)」を見ることができ、多くの妖たちと友達なのである。
祖母が大妖であったことがそういう能力を持っていることの要因であり、一太郎の周囲には多くの妖がいる。
二人の兄(にい)やも実は、白沢(はくたく)と犬神という妖である。

この一太郎がさまざま事件に巻き込まれ、病弱の体質ながら、二人の兄(にい)やや鳴家(やなり)をはじめとする妖たちの力をあわせて事件を解決していく、というのが「しゃばけ」シリーズの物語の概要である。

で、今回のシリーズは、なんと!一太郎の目が見えなくなっているところから始まる。
なぜ見えなくなったのか?
が、今回のシリーズのおおきな課題・問題・テーマである。

そしてその第1話が「ほねぬすびと」である。
この「ほねぬすびと」は「骨盗人」であり『相手の骨折りを盗む。ただ働きさせるもの』という意味だそうである。

長崎屋は久居藩の岩崎から「干物」の運送を依頼されるが、そこには罠が仕掛けられていた。その罠を見抜くことが、若旦那の目が見えなくなった原因をさぐることにもなるようなのだが・・・

第1話はそれなりに解決しているが、まだ若旦那の目は見えないままである。
乞うご期待、というところである。

このしゃばけシリーズの面白いところは、登場する妖たちが異常な能力を持っているのだが、「心」というか「感情」は人間なのである。
「妬み」とか「嫉み」或いは「愛情過多」「思い込み」など、人間の持っている感情をそのまま持っている、そこに事件が起きる。

異常な舞台を背景に普遍的な登場人物たち、という「面白い」という要素がきっちりと構成されているのである。

来月以降またまた楽しみが増えたのである。

追伸
 楽しみが増えたといえば、来月から海堂尊の「マドンナ・ヴェルデ」という小説が連載開始されるという予告。「ジーン・ワルツ」の第2章ということ。注目である。

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コメント (1)
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