尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

大震災から4週間②

2011年04月08日 22時06分22秒 |  〃 (震災)
 少し復旧しかかったところで、また昨夜の余震(にしては大きすぎ)で東北地方は停電です。
 あの「巨大津波」を直接体験していない人も、映像が頭に焼き付いているでしょう。体はいつまでも揺れてる感じで「地震酔い」がよみがえった人もいるでしょう。

 だから刺激しないというのも一つの考え方ですが、それより皆がそれぞれの恐怖や悲しみなどを語っていくべきだと思います。特に学校では、淡々と学習することがよいのではなく、この巨大な共同体験を真正面から生徒、児童、学生に語りかけるべきだと思います。

 節電態勢にある東北電力、東京電力管内では生活のあり方が大きく変わったので、まさに「東日本大震災」。阪神淡路大震災、オウム真理教事件が起こった1995年をも超える、巨大な民族的共同体験です。東京では、直後の電車本数がカットされ朝の通勤が大きく乱れました。エスカレータも止まり長い階段を上ったりしなければなりません。(現在もそれは続いています。)しかし、誰一人文句を言う人は見たことがなく、いつも以上に混雑している駅でも整然と行動していました。

 昨日は余震で中途半端で終わったのですが、僕が言いたかったのは「この巨大な共同体験を、強国ナショナリズムに回収させてはならない」ということです。

 そして、エスカレータやエレベータが止まってると、障がいを持つ人々は外出ができなくなっているのではないかという想像力を持つことだと思います。駅にエレベータが付いたのは、つけるように要求してきた運動の成果ですから。

 そして、今後は復興に向けた財源問題が避けられません。今回は長い三陸海岸の漁業生産設備がすべて壊れたというに近く、また多くの田畑が津波で冠水しました。地盤沈下で、今後の防災も考えると、従来の土地に住宅を立て直すということにはならないでしょう。
 つまり、壊れた住宅を立て直すことが大目標だった今までの復興とは、もう全く全然違う。必要なカネもけた外れ。いくら空前の義援金が集まっても、1兆円にはいかないでしょう。しかし復興資金は20兆円近く考えなければならないでしょう。

 じゃあ、どうする? って、いくら政府が節約しても限界があり、国債増発にも問題があるから、どうしたって増税しかないのです。ここをきちんと語れる政治勢力があるかどうか。
 今回は、増税分はすべて復興で支出され民間企業に回るので、年金財政を支えるための増税のようなデフレ効果はありません。政治家皆判ってるのに、だけど最初に言い出せない。
 (福島原発問題はまた別に論じます。) 
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大震災から4週間①

2011年04月07日 22時21分32秒 |  〃 (震災)
 今日は、三鷹高校土肥前校長の裁判の本人尋問を傍聴に行ってきました。争点は細かいので今は書きません。希望者が多くて補欠で待ち時間があったので、携帯メールでかなりの人に一斉連絡してみました。5人から反応があったからかなりの高率。いや、若い人はケータイでこのブログを見てるけど、年長者はケータイでブログは見れないと思ってたり、パソコンもたまにしか開かないって人がけっこう多いんですよ。ブログはほぼ毎日更新してるし、東北キャンプの話も出てきたから、実は周りの人には毎日見て欲しいなあと思ってるわけ。

 さて、震災について何回か書きます。
 この大震災の全貌、影響はまだまだつかみ切れません。ひと月近くたって、死者数は阪神大震災の2倍ほど。しかし、いまだに行方不明者の方が、死者よりさらに多いのです。こんな災害は僕らの想像力を超えています。東京大空襲とか原爆とかに匹敵する歴史的な出来事に今直面していると思うべきでしょう。

 そんな中で、テレビでは「AC」の広告ばかりが流されています。勘違いしやすいのですが、ACは政府広報ではありません。マスコミ各社の作った財団法人だそうです。自粛や経済悪化で民間企業の広告が少なくなったところに流しているわけです。だから、それほど日本経済が落ち込んでるという指標と見るべきでしょう。それでもあまりに多いので、最後に流れてた「エースィー」のとこがうるさいという苦情が殺到したらしく、最近は最後の音はなしのヴァージョンになってます。

 それにしても「日本は強い国」編は何とかならないのでしょうか。弱くたっていいじゃやない。病気の人、障がいの人、未だに悲しみを忘れられない人…。いろんな人がいるでしょうに、あれじゃ「弱い人を追いつめる」恐れを感じます
 
 「日本はやさしい社会。大変な時はみんなで支えあう。障がいのある人も…外国から来た人も…高齢者も子供たちも…ペットだって…」。そこで、この前3週間ぶりに海上で救出されて飼い主のもとに戻れた犬が尾を振る。というのはどうですか?

 今またかなり強い地震。もう飽きたよなあ。また明日に続けます。
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名張毒ぶどう酒事件の集会

2011年04月05日 23時34分41秒 |  〃 (冤罪・死刑)
 今日ももう一つ投稿。テーマごとに小さく区切って書く方が後々わかりやすいかな、と。

 で、映画を見たあと、文京区のシビックセンターで名張毒ぶどう酒事件の集会に行きました。
 交通費もかかるし、夜だと夕食代もかかる。集会参加費もあるのだけれど、冤罪関係の集会にはできるだけ顔を出したいと思っています。

 1961年に起きた名張毒ぶどう酒事件も、もう50年。犯人とされ、1審無罪、2審で逆転死刑判決、1972年に最高裁で確定してからも40年近くなります。奥西勝さんももう85歳
 2005年に名古屋高裁で第7次再審請求が認められたが、検察の異議申し立てが通り、最高裁で差し戻し、と高齢の奥西さんをもてあそぶ様な司法の横暴が続いています。事件内容の詳しいことは上記リンク先を見てください。

 昔、1970年代に「無実を叫ぶ死刑囚たち」という本がありました。その本に出ていた、免田事件、財田川事件、松山事件、島田事件では、80年代に再審が認められ、奇跡的に「死刑台からの生還」を果たしました。一方、帝銀事件の平沢定通さん、牟礼事件の佐藤誠さん、波崎事件の富山常喜さんは、再審開始を迎えることなく獄中死しました。

 名張事件、袴田事件などは何としても再審開始が待ち遠しい。一刻も早い開始決定が待たれます。
 職業裁判官の理解しがたい棄却決定を見ると、再審請求の可否も裁判員制度で決めた方がいいんじゃないかと思います。

 5月24日に判決日が延びた布川事件の杉山さん、桜井さんも来ていました。
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ブンミおじさんの森

2011年04月05日 23時00分41秒 |  〃  (新作外国映画)
 年金の手続きとか、学校に残した仕事とかの後で、渋谷に出て「ブンミおじさんの森」を見る。

 去年のカンヌ映画祭パルムドール(黄金の椰子賞=最高賞)受賞作。
 初めてタイ映画の受賞である。アピチャッポン・ウィーラセータクン監督。僕は監督の名前がそらで言える数少ない日本人の一人である。彼の映画は初めてではない。しかし、今までに見た映画はよくわからなかった。

 これは傑作だった。今までに見たことのないような映像。
 イサーン(東北タイ)の森に生きる人々の、アニミズム的な世界観をあまりにも美しい映像で描いた。そこでは、死者が生者と共生し、動物の精霊が人間と相互に交流する。森の深い漆黒の中で、人は霊とともに生きているのである。
 
 ヨーロッパの映画なら、カール・ドライヤーの大傑作「奇跡」で人はよみがえり、フランソワ・オゾンの「まぼろし」では妻が死んだ夫を見る。しかし、どうもタイの、あるいはモンスーンアジアの多神教的な感覚は微妙に違う感じがした。どっちかというと、「平成狸合戦ぽんぽこ」とか「崖の上のポニョ」。(ただし、コメディ的要素は全くないが。)

 それより、「遠野物語」の世界だ。言葉ならいろいろ書けるが、生の舞台では演じにくい。(井上ひさしの「頭痛肩こり樋口一葉」の新橋耐子の演技は近いかも。)そういう部分を、この映画は最新の映像技術を駆使して、不思議な世界を作り上げている。

 いや、テンポは超スローなので、タルコフスキー映画のように自然に睡魔に襲われるであろうが、それも含めて、紛れもなく新しい映像体験である。
 
 いわゆる映画ファンというより、民族学、宗教学、神話学、あるいは東南アジア文化論などに関心がある人が見る映画かもしれない。それでも、まさに今見るべき映画だと思った。
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FIWC気仙沼・唐桑キャンプ

2011年04月04日 22時33分53秒 |  〃 (震災)
 昨日のお花見で知ったのですが、フレンズ国際ワークキャンプでは、早くも東北の支援に動き出していました。

 場所は、今は気仙沼市になっている旧唐桑町。ここはFIWCとかかわりがあります。1972年、ハンセン病回復者の鈴木重雄さんが町長選挙に立候補し惜敗したという歴史があります。詳しいことは、以下のホームページで知ることができます。http://musubi.la.coocan.jp/pdf/mu/musubi9.pdf

 FIWCは、元々は外国由来のボランティア団体で日本でも各地にありますが、鈴木さんとの関わりは関西委員会が中心のため、僕は思い浮かべませんでした。

 韓国で、中国で、フィリピンで、ネパールで、と海外での活動がここ20年以上中心ですが、昔は伊豆の狩野川台風の救援キャンプ(確か、当時関東委員会所属の故筑紫哲也さんが参加した)とか、いろいろ日本各地でもやっていました。阪神淡路大震災の時も実施しています。

 ということで、来週にでも参加しようかと今考えています
 今直ちにということは、健康保険や年金とかの処理があるので、できません。も少し準備がいる。

 学生、「フリーター」の人などで、参加希望の方はいますか? もしいたら、連絡ください。車がないとダメなので、一緒に行って一週間程度をまず、となるでしょう。
 くわしい日程は相談で。自分の携帯アドレスは昔公開してあるので、ここに連絡してください。
bv-ogata@ezweb.ne.jp
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全生園のお花見

2011年04月04日 20時39分20秒 |  〃 (ハンセン病)
 ええ、昨日はブログを休んでしまいました。その代り、今日は二つ。
 というのも、昨日行ったハンセン病療養所多磨全生園のお花見、あまりに寒くて、家に帰って冷え切って早く寝てしまったからです。どういう天気なんでしょうね。

 前に書いたフレンズ国際ワークキャンプ(FIWC)で毎年やる、森元美代治さんを囲むお花見です。
 全生園元自治会長の森元さんには、1997年にFIWC関東委員会主催の「らい予防法廃止1周年記念集会で、講演をお願いしました。その集会の時に大地震が起きなくて良かった…。会場は九段会館だったので。

 ここ数年は、六本木高校の授業「人権」で毎年お話をしてもらってきました。
 ということで、報告を兼ねて、ごあいさつ。

 桜は一分咲きくらいだったかなあ。満開だと素晴らしいところなんですが。
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免許失効は27人

2011年04月02日 22時39分11秒 |  〃 (教員免許更新制)
 新聞の片隅に、教員免許更新制度で免許が失効したのは、27人と出てました。
 朝日新聞ですね。東京新聞も取ってるけど、こちらにはなかった気がします。

 これだけだと事情がよくわからないので、もう少し詳しい記事はないかと探したら、
 読売新聞にもう少し詳しい記事がありました。以下引用。

 2009年4月に制度化された教員免許更新制で最初の更新対象となったうち、3月末で免許が失効したとみられる教員が14都府県で計27人いたことが1日、文部科学省の調査で分かった。

 1月末までだった手続き期限を過ぎた9万1906人のうち、手続きをしていない教員が517人(0・56%)いた。うち490人は定年や期限付き採用の退職予定者で、残る27人(0・03%)は退職予定者などではなかった。国公私立の内訳は、公立12人、私立14人、国立1人。公立校の教員は免許が失効すると失職するが、文科省は、「27人は保育士に転職する幼稚園教諭や、教員免許がなくても職務を続けられる校長らで、制度が廃止されると誤解して失効する例は聞いていない」としている。また、290人は5月末までの更新期限延長を申請している。(引用終わり。)

 道がないから、北海道はいない。疑問なのは「55歳」で定年の教員がいるの?私立かなんか?

 ところで、「手続きをしていない教員が517人」というカテゴリーに、僕は入ってません。僕は「退職希望」といいうことで、最初に別のカテゴリーに分類されてしまうわけ。で、全国で更新しないで退職した人が何人いたかは不明。たぶん1千人くらいはいると思うけど。

 さっきの記事でおかしいと思うのは、「教員免許がなくても職務を続けられる校長」というところ。確かに民間人校長でいいわけですが、3.31までは校長だろうが、ただのヒラ教諭だろうと、同じ地方公務員のはず。従って、「更新」または「更新免除」の手続きをしないまま4.1を迎えれば「失職」するのではないでしょうか。もちろん改めて民間人として校長に発令されるのはありですが、いったん「退職」を希望しなければ、今まで分の退職金はなくなるはずではないかと思うのですが。

 やっぱり、この制度はおかしいことがいっぱい。

 結局、おかしな講習は受けないということで、やむなく「退職」した人は統計に出てこないので何人いるか分らないわけです。

 大体、僕の免許が失効したのかどうかもよくわからない。更新しないで4.1を迎えたんだから失効したのかと思いきや、4.1を迎える数時間前に「退職辞令」を受け取り、教員としての身分がそこで切れたから、有効なまま辞めたというのが文科省の正式見解らしいのです。

 でも、じゃあ、私立学校で講師でもしようかと思ったとしたら、その時になって初めて僕の免許は失効することになるらしい。どうも変な制度ですねえ。

 ともかく、職を賭して失職した人はさすがにいなかったらしいですね。それはできない、やっぱり。
 だから、失職無効の裁判も起こってないわけです。
 「教員免許更新制反対日記」ですから、とりあえず報告を。
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都教委からの「感謝状」

2011年04月02日 21時55分58秒 |  〃 (教員免許更新制)
 本日は、二つアップするつもりです。

 ところで、昨日の題名、&♯12316って、なんだろう?そんなこと書いた覚えはないんだけど。最後点検しないでアップしたら、入ってました。無視してください。
 また、昨日「統括校長」と「校長」は区別しないのかと書いたけど、区別されてました。

 さて、もう一つ、以下のようなものを一昨日もらってしまいました。
 

 都教委から感謝されるような悪いことを何かしたのか、と一瞬ビックリしたけど、まあ長期勤続した人みんなに勝手に送ってくるんでしょう。
 長期勤続ってのは25年だけど、その時もこんなのが来た。それには知事名があったから、気味悪いので家ですぐ捨てちゃいましたっけ。

 2004年夏に、母校である白鴎高校に附属中ができることになり、都教委が扶桑社の中学歴史分野教科書を勝手に理由なく採択しました。そのことに同窓生としての反対運動を僕も呼びかけ人となって始めました。以来、僕は都教委は絶対に許さない敵だと思ってきました。

 そういうこともあるから同窓会というのも意味はあるんだとわかったから、六本木高校最後の日に、今までの同窓会入会同意書にあった住所をを全部パソコンデータ化して残してきたから、いつか使ってくださいな。(他に誰もやらないまま、埋もれてしまうと思ったから。)

 が、都教委というところは、今は敵というより、エイリアン。ホント、やること分らないんだもの。ICTとか言って、ものすごい予算つけて各校に電子黒板を何十台と送り付けたり。同じ地球人とは思えない。敵だと思えたころが懐かしい。

 例えば、ある高校の校長に任命された人の前職は何かというと、新聞に「東部学校経営支援センター支所経営支援室統括学校経営支援主事」とか、「西部学校経営支援センター支所支所長兼経営支援室長」とかいうような自分でも正確に言えるんかいな、こんな名刺相手に出すのいやだろうな、というような職名の人ばかりなんですよね。

 ちなみに、いったい何を支援しているのか、読んでる人も分らないと思うので、簡単に書いておくと、「学校経営支援センター」というのは、すべて「経営」を「支援」すると書いてあるように、「学校」とか「生徒」は支援しないんですね。「学校経営」を支援して、「学校」を破壊するというのがお仕事。

 ま、そんなとこから「感謝」されてもうれしくないなあ。でも単なる紙切れですからね。
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