チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

赤繻子に魅かれる

2011年04月11日 11時12分54秒 | 日記
姉の雨ゴートを解いていて気がついたことがある
その雨コートは生地が繻子で色が血のような赤
彼女が20代で着ていたのでかれこれこの雨コート60歳
チャコちゃん先生が着てそのあとタナカが袖を通した

自分で縫ったのだろうか
豪く縫い目が粗い
でも確実に寸法でかっこよさを見せていて
「へーここも折り曲げている、ここもだ」
と自分の体型が美しく見えるような縫い方をしている

「なるほど」

この雨コートが私の手元にあるのを姉は知らない
結婚が決まったときこの雨コートは実家に残こした一枚
チャコちゃん先生はこの頃きものに全く興味が無かったのだが
このコートの色と素材に惹かれ母に頼んで私のものにした

「きものを着るんなら新しいものを作ってあげるのに」
「いらない」
とにべも無く断ったが
このコートをセーターんー上から羽織ってガウンみたいに愛用した

心が強くひきつけられた色と素材

姉は私が中学生のときまで家にいたので
突然の雨が降るとこの赤い繻子の雨コートに
紅藤色の蛇の目をさし
コートと同じ色の爪皮を付けた雨下駄を履いて
私の傘を持って学校に現れていた

雨の中校庭を歩くその姿は一幅の絵のようだった
その頃密かにあこがれていた上級生の男子が
窓から姉をうっとりと眺めていて
その姉から私が傘を受け取ると
「お前の姉貴か?綺麗な人だ」

その後雨が降ると男子達は姉のコート姿を眺めるのを楽しんだ


なにかこの頃から「赤色」「繻子」に取り付かれてしまった
ピアノの発表会にマッカなサテンのワンピースを作ってもらってご満悦
光物がすき、寿司もこはだ大好物 アッこれ関係ないか

繻子赤に魅せられたのはそういうことだったかと
雨コートを解く
これも一つのトラウマなのだろうか
赤はいつも何処かで効かす

それで落ち着く

今度はパジャマにするかなとひとりごち

姉はとっくにこのコートは忘れているだろう
姉を美しいと思ったのはこの雨ゴーと姿と
濃茶のお手前をする所作

好きとか嫌いというのは幼少の頃の事件と深い関係があるようだ
上手下手というのも

それは映画「英国王のスピーチ」の主題でもあった

いつの時代も小さいときにもつ誇りが一生を左右することがある







コメント
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