チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

花の次は新緑

2011年04月16日 17時27分52秒 | 日記
きのうまで枯れ木だったのに
今朝は恐ろしいほど美しい新緑が朝日に照らされている
経験から言えば
東北地方はこれから櫻
仙台、盛岡、江刺、米沢、弘前と情景が浮かぶ
その櫻をみんなどんな思いで眺めるのだろう
あの優しい色はきっと人の心を慰めてくれる

東京はソメイヨシノから山桜に移ったが
花は新緑の旺盛なエネルギーにおされ気味
花の主役の座は意外と短い
でも衝撃的な美しさで人はその年の桜を
色んな思い出と重ね胸にしまう

あの櫻好きの友人和子さんが亡くなってもう5年か
2月に沖縄に桜が咲いたというニュースと同時に
桜の花の着物に手を通していた
しかもきものは桜しか持っていないという徹底振り

桜吹雪
しだれ櫻
夜桜
八重桜
山桜
水に流れる櫻
池に浮かぶ櫻
ハラハラと地面に落ちた桜

とにもかくにも櫻櫻
其れを東北の櫻が散るまでといって5月の下旬まで
桜の花に包まれていた

決して着付けを覚えず
必ず一通り抱えてチャコちゃん先生の家に現れる
頻繁に着たいのでとついに近くに引っ越してきた

「いい加減覚えなさい」
「着せてもらうのがすき」
「ご勝手に」
年を追うごとに着物や帯の数も増えてゆき
「ねえ不断櫻というのもあるのよね」
と秋に可愛い花をつける桜に目をやり
その柄を染めた

不断櫻は伊勢の白子神社に在って
その葉っぱの虫食い状態から
伊勢の型紙が生まれ江戸小紋の小桜文様が誕生したといわれている
この小桜紋は徳川家の裃に使われた定紋だ
小桜紋は一年中着ても良いのよといったら
便箋や葉書に小桜を印刷してご満悦だった

あの女流作家の宇野千代さんの櫻好きより
こちらは櫻狂いといったところか
結局どの季節にも櫻だ

桜の着物を着て東北までよく旅に出かけていたけどーー
今年はきっと東北のアチコチの櫻を見ているのだろう

今日は二十度を越えたので桜のきものと新緑のきものを
しまうことにした
着るきものも自然とともに変化していく
それがまたきものを着る醍醐味
コメント
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