チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

胆力

2011年03月17日 10時50分40秒 | 日記
被災地の東北には親しい呉服屋が何軒か或る
その女将さんたちに電話が通じ話をした
「大丈夫皆元気よ、これからお結び作って皆さんに配るの」
と言うような元気な声を聞きホッとする

一応に
まず自分の身の安全を整え
その次に他の被災者に何をしたらいいかを
彼女達は瞬時に選択する
その能力に感動だ

不平不満は彼女達の口からは全くでない
毛皮の上から割烹着をつけて奮闘
モンペはいてヘルメットかぶって
近所の安否をたづね回る

何をしよう
と思った瞬間から彼女達の体が動く
一応に「お結び作る」と言う行動に
米どころと言うこともあるが
ヤハリお米の力が何より人を平和にすることを知っている

「足りないものいってね」
「東京だってモノ無いと言うじゃあないの無理しないで」
気持ちだけで嬉しいから
あとは落ち着いたらゆっくり東京に報告に行くから
存分にしゃべらせて

このパワーはどこから出るのだろうと考えた
浮かんだ言葉が「胆力」

ものに動じない気力
事にあたって恐れたりしり込みしない精神力
人を憂えることの出来る優しさ
思ったことをやり遂げる実行力
常に希望を持つ強い心

女将さんたちの胆力
これはどこから来るのか
「きもの」から

きものを着るときの身支度
それはいつも肚を使い肚を意識しないと美しく着られない
帯はもちろん肚を中心に巻く
立つ、歩く、座るの立ち居振る舞いも肚が中心だ

武士は肚力を作るために武道に励んだ
座禅も瞑想も滝に打たれる修行も肚力つくりだと思う

きものを着続けている女将さんは
胆力を鍛えそして磨いているのだろう
だからこそ
有事に対して胆力を持って事にあたり
人に優しく接する

胆力と優しさはいつもセットだ

終戦後の日本は
きものを常着としていた女達が多く
胆力を持って国の復興に力を尽くした
現在は残念ながら男も女も肚を鍛えることをしていない

これからの復興はきものを着続けている人の胆力に負うことが多い
これからでも遅くない
「胆力」を鍛えよう

そのためにはきものを着るのが一番じゃ


コメント (1)
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