あたりまえのこと

朝日が昇る
周りのビルが茜色に染まる
朝日が輝く
鳥たちが勢い良く飛び回る
深呼吸をする
空気があるのがありがたい
太陽をかぶる
太陽の暖かさが嬉しい

蛇口をひねるといつものように水が出る
おやかんをガスレンジにかけいつものように火をつける
トイレの電気をともす
便器を水洗で流す

「おはよう」と言い合う
スイッチを押せばテレヴがつく
洗濯機に洗濯物を入れ
電気のスイッチを入れれば一人で洗ってくれる

外に出てバス停に立っていればバスが来る
電車もいつもどおり動いている
デパートには食料があふれている

知人とあうと
「地震凄かったわね」
「お宅はなんともなかった？」
「おかげさまで」
ニコニコ優しい笑顔で話し合う

家族の空気感
友の明るい話し声
赤ん坊の泣き声
信号の赤黄緑

あたりまえのこと
このあたりまえが突然なくなる
あたりまえに道を歩いていた人が
突然消える
あたりまえにお茶を飲みながら雑談していた同士が
突然いなくなる
昨日あんなに笑いあったていたのに

あたりまえのこと
あたりまえのこと
このあたりまえの凄さが
今一番愛おしい