チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

開花が遅い

2011年03月26日 12時36分02秒 | 日記
「桜の開花が遅いわね」
「放射能が出ているからかな」
「寒いからじゃあないの」
「賑やかな花見をしている気持ちではないから」
「もう少し眠っていようかーーなんてね」

毎年染芸展の表彰式では
桜の花の下を通って会場に行く
今年はつぼみも固い

事務所を出る前に東北の女将さん達から電話を頂いた
やっと宅急便が活動を始めたので
心ばかりの日常品を送ったお礼だ

「本当に助かったわありがとう」
「愛の宅急便でした!」
「そちらも大変なのにありがとう」

フリーペーパーの比佐子つれづれは届いていて
「表彰式に行くんでしょう?皆さんに伝えて」
こんな状態だけど決してきものからは離れない
だから良い作品を作り続けてください

ひっくり返った部屋を片付けているお客さんが
きものを見るとホッとする
震えているおばあさんにきものを羽織らせたら落ち着いた
そして笑顔が出てきた
などの報告をもらっていると言う

蚕は自分の命を守るため
繭を作り其れをシェルターにする
繭から出来た絹だからこそ
人の心を温かく包んでくれる

そのような思いを力強く伝えていくからと
明るい声で話してくれる

「お客さんの中ではまだ様子のわからない方もたくさんいるけど」
信じて待っている
そのためには自分が自分の居る場所で元気にして居る以外は無いわ

「もう花見の季節でしょうそちらは賑やかにやってね」
「ありがとう」

しかしその桜の開花が遅れている
そういえば「暑さ寒さも彼岸まで」
と言う言葉もむなしく冷たい風が吹いている

表彰式のご挨拶でその女将さんの言葉を伝えたら
皆さん喜んでいた
「励みになりますとつたえてください」
「今回でやめようと思ったのですが女将さんの言葉で続ける気持ちになりました」

励まし励まされる
人と人の心の交換は際限が無い

国民のほうが意識の高い国というのもすごいな
櫻も皆が落ち着いて喜びを享受する時期まで
少し待っているのかもしれない

コメント
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