宇宙のこっくり亭

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クリシュナムルティの反逆 ~ 教団解散宣言

2010年04月19日 | クリシュナムルティ
 
クリシュナムルティは、少年の頃、神智学協会のアニー・ベザント夫人によって「世界教師の器」とされ、若くして「星の教団」の教祖に祭り上げられた。

「神智学協会」というのは、小さな勢力ではなかった。19世紀にブラヴァツキー夫人によって創設され、20世紀のスピリチュアル界に絶大な影響をもたらした。現代の精神世界ジャンルで、直接・間接とを問わず、ここの影響を受けていない人はまずいないと言っていい。その意味で、この分野では並ぶもののないパワーハウスと言える。
 
1891年、ブラヴァツキー夫人は、神智学協会を創設した本当の目的を告げた。なんと、それは来るべき現代のメシア、「世界教師」が再臨するときのために、受け皿として作った団体だというのだ。

その遺志を継いだベザント夫人とリードビーター師は、巨大なオーラを放つ少年・クリシュナムルティに白羽の矢を立てた。新たに宗教団体・「星の教団」が組織され、Kがその教祖となった。この事件をキッカケとして、ドイツ神智学協会のルドルフ・シュタイナーは、イギリスの本部と対立するようになり、やがて神智学から離脱して「人智学」を打ち立てるに至る。クリシュナムルティと、シュタイナー。タイプは違うが、ともに20世紀の精神世界を代表する、2人の大物の人生が交錯した瞬間だ (結局、両者とも、神智学協会とは縁を切ってしまったわけだが・・・)。
 
世界各国に4万人もの信者を持つ、国際的宗教団体の教祖。だが、自由人のクリシュナムルティを、いつまでも宗教団体に縛り付けておくのは無理だった。1929年、Kはついに「星の教団」を解散してしまった。3000人を超える聴衆に向かって、Kは演説する。
 
>今日、これから私たちは、「星の教団」の解散について話し合いたいと思う。喜ぶ人々も多いだろうし、悲しむ人々も多いであろう。しかし、これは喜ぶとか、悲しむとかいった問題ではない。なぜなら、これは避けがたいことだからである。

信者諸氏は、さぞかしショックを受けたことだろう。信者だけではない。「若き教祖が、宗教団体を解散した」という前代未聞の事件は、世間の一般人までも驚かせた。でも、仕方がない。クリシュナムルティによれば、真理を探究するのに、組織など必要ないというのだ。必要ないだけではない。それは、真理を探究する上では、むしろ有害な存在と言える。

>「真理」は限りないものであり、無制約的なものであり、いかなる道によっても近づきえないものなのであって、したがってそれは、組織化され得ないものなのである。それゆえ、ある特定の道をたどるように人々を指導し、あるいは強制するような、いかなる組織も形成されるべきではないのである。・・・ひとたび組織化したならば、信念は血の通わない、凝り固まったものになってしまうだろう。それは他人に押しつける教義に、教派に、宗教になってしまうのだ。

新興宗教の信者諸氏にも、たまには、こういう言葉を聞かせたいものだ。もっとも、信者特有の曲がったレンズを通って、言葉が屈曲してしまうのがオチなのだが・・・(笑)。

>真理探究の目的で組織を創立するならば、組織は松葉杖となり、弱点となり、束縛となって、人をかたわにし、かの絶対かつ無制約的な「真理」を自分自身で発見するために必要な、その人の独自性の成長と確立を阻害するものになってしまうに違いない。

クリシュナムルティは、自分の率いる教団が、信者諸氏の松葉杖となっていることをヒシヒシと感じていた。だから、解散を決意したのだろう。

とはいっても、組織が松葉杖になっていることを、信者が自覚するのは難しい。以前、ネット上で某教団の信者が、「ウチの団体には、ろくな人間がいない」と愚痴っているのを見て、「だったら、某教団の信者をヤメれば?」と言ったところ、「いや、悪いのは団体の職員なのだ。OO先生の教えは、それはそれは素晴らしいものなのだ」と言ってたものだ・・・(笑)。

まあ、信者には信者の論理があり、信念世界がある。こればっかりは、仕方がない。

もちろん、宗教団体の存在自体が悪だとは、決め付けすぎだろう。人によっては、組織に所属することが、真理を探究する上でプラスになることもあるはずだ。かつては、人々を救済する受け皿として、宗教団体の存在意義もあったに違いない。

でも、クリシュナムルティの場合は、本当に組織を解散してしまった。フリーの宗教家になったKは、90歳で死ぬまで、世界各国を説法して回ることとなる。そういう人がいたということを、知っておくのも悪くない。
 
最近は、宗教団体が嫌われる傾向にあり、どこの団体も信者離れに苦しんでいるという。これには、インターネットの普及による影響も大きい。ありがたや・・・。合掌。
 
(引用部分は、大野純一訳『クリシュナムルティの瞑想録』より)

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3 コメント

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教団解散 (a monad)
2010-04-26 23:21:22
クリシュナムルティーが教団を解散した理由は
信者諸氏の松葉杖的な依存性も真実ですけど、

もつとも重大なことは、その背後の真実を見抜いたのが大きな決断となっているようです。

賢いJBLさんですから、モナドが書かなくても
理解されるでしょう。(笑)
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Unknown (コンサル星人)
2010-04-29 23:28:36
>クリシュナムルティーが教団を解散した理由は
信者諸氏の松葉杖的な依存性も真実ですけど、
もつとも重大なことは、その背後の真実を見抜いたのが大きな決断となっているようです。

・・・ということは、神智学協会は「例の勢力」のコントロール下にあったってことですかね?
返信する
Unknown (コンサル星人)
2010-04-29 23:28:38
>クリシュナムルティーが教団を解散した理由は
信者諸氏の松葉杖的な依存性も真実ですけど、
もつとも重大なことは、その背後の真実を見抜いたのが大きな決断となっているようです。

・・・ということは、神智学協会は「例の勢力」のコントロール下にあったってことですかね?
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