本山博氏によると、人間は、太陽エネルギーだけで生きているわけではない。ふつうの人間は、酸素や水や食物のないところで生きていくことはできないが、修練を積んだヨガの行者なら、そんなところに1ヶ月くらいいても死なない。
もちろん、元気ハツラツ、ふつうの環境と同じように動き回るというわけにはいかない。「呼吸は止まったと思えるほどわずかで、心臓もかすかに動くくらい」という仮死状態だけど、生きていられるという。
クンダリニーヨーガでは、物質的なエネルギーのほかに、もっと次元の高い宇宙の生命エネルギーと呼ぶべきもの、「プラーナ」があると考えている。
空気や水、食物といった物質的なエネルギーを取り入れるのは、口とか鼻、皮膚。
それに対して、プラーナを取り入れる窓口は、「チャクラ」ということになる。
チャクラは、もともと「光の輪」という意味で、ここから取り入れたエネルギーが、全身、とくに内臓に送られる。その通り道は、「ナディ」と呼ばれる。酸素や栄養が、血管を通して送られるようなものだ。ナディは、言ってみれば、見えない血管みたいなもの。
おなかのマニプラチャクラには、「太陽神経叢」というのがあって、ここが第二の脳のようなコントロールセンターとなり、内臓を動かしている。そこには、プラーナを取り入れ、内臓に送るセンターもあるのだ。
普通の人は、このチャクラが目覚めていない。これでは、吸収できるプラーナが、質・量ともに限られる。それに比べて、チャクラが目覚めている人は、次元の異なるプラーナを吸収できる。不食でも生きていけるのは、そのためだ。
チャクラを目覚めさせることができれば、超能力は自然に身につくのだという。
そのためには、固い自我のカラをかぶって人間くさい欲望にとらわれている心を磨き、もっと高い次元に引き上げていかなければいけない。
そこで、トレーニングなのだが、本山博氏が推奨するのは、「腹筋のトレーニング」。
これによって、プラーナが集まっているところ(募穴)を刺激するんだそうな。
カンタンに言えば、座禅で半分だけ足を組んだような姿勢で、腹筋を前後左右にグルグル回すような気持ちで動かすのだ。「右に3回まわしたら、次は左に3回」というように、必ず、左右の回す回数を同じにするのがポイント。
食後すぐとか、おなかの調子が悪いときには、やってはいけない。できれば、朝起きたときとか、夜の寝る前にやるのが効果的だという。
もちろん、そんな具合に腹筋をグルグル回せる人など、世の中には滅多にいない(笑)。ここは、あくまでも、「そういうつもりになって、腹筋を動かす」ということ。左右にヒネリを加えることで、おなかのチャクラへの刺激を強化するのだ。
(つづく)