旧約聖書には、「ネフィリム」に関する記述がある。「昔、地にはネフィリムがいた」と、簡潔に記されている。
旧約聖書の「創世記」によれば、神が人間を創造した。地上に人間が増えてくると、それに比例して(?)、美しい娘たちも増えてきた。それを見て、神(エロヒム)の子たちは、おのおの選んだ者を妻にした。こうして神の子らと人間の娘たちの間に生まれたのがネフィリムであったという。
古来、この「ネフィリム」は、「巨人」と解釈されてきた。身長が何メートルか、何十メートルなのかは知らないが、とにかく、巨人というからには、人類よりデカかったのは間違いない。これは、「聖書なんて非科学的だ」と批判する人たちの、格好の攻撃材料となってきた。「大昔、『地には巨人たちがいた』なんて、キミは信じられるかい?」というワケだ。
ところが、ゼカリア・シッチンによれば、そもそも「ネフィリム」を「巨人」と訳したのが間違いのもとだという。それは「天から落ちてきた者」という意味であり、「宇宙人」と訳すのが正しいというのだ(!)。
(通常、シュメール神話の神々は「アヌンナキ」と総称されるのだが、シッチン説では、アヌンナキは中級・下級の神々であり、「ネフィリム」がその上位に位置づけられているようだ。著書・「人類を創成した宇宙人」のサブタイトルも、「ネフィリムとアヌンナキ」となっている)。
旧約聖書によれば、ネフィリムは地上に増えていった。ネフィリムたちは勇敢な戦士だったのだが、素行不良なのが欠点。「彼らの邪悪な行いによって地は暴虐で満ちていった」という。
そんな混乱の中で起きたのが、かの有名な「ノアの大洪水」。神の一大決意により、空前絶後の大洪水が起きた。暴虐に満ちた地上からは、人類もネフィリムも一掃された・・・。
ゼカリア・シッチンによれば、これは単なる神話・伝説ではなく、実話だという。
シッチン説の主役は、彗星のような長い楕円形の軌道を持つ、太陽系の第12惑星・二ビル(実在するかどうかは、誰も知らない・・・)の宇宙人たちだ。シッチンによると、惑星二ビルは、「長い楕円形の軌道を持ち、何千年もかけて太陽の周囲を回っている。長い軌道の途中では、たまに地球のすぐそばを通るときもある」という。かつて、何十万年か前に、二ビルが地球に最接近したときのこと。地球は、まだ氷河期だった・・・。そのとき、かれらは宇宙船に乗って地球を訪れたという。
真偽はさておき、これは、なかなか良くできた説だ。というのも、「なぜ、宇宙人は古代には地球をコマメに訪れて地球人を指導していたのに、最近はなかなか姿を現さないのでしょうか?」という素朴な疑問に、この説はキッパリと答えている(笑)。つまり、「古代には、彼らの故郷・惑星ニビルが地球に接近していたから、近いので気楽に来れたのだ」ということになる。
彼ら宇宙人が、地球に来た目的は何か? ・・・シッチンによれば、それは「希少な鉱物資源を、地球に探索しにきた」ということだ。地球には、金・銀・プラチナなど、貴重な金属が埋蔵されている。それを採掘するのが、宇宙人の目的だったという。
彼らが地球を訪れたとき、地球は氷河期だった。地表は、見渡す限り、真っ白な氷河と氷山に覆われていた。そんな白い大地の上を、宇宙船は探索していった。そんな彼らが発見したのは、大河が流れる温暖な地・シュメール。
そこに降り立った宇宙人たちは、鉱物資源の採掘を始めた。中でも最大の狙い目は、南アフリカの金鉱だったという。空からの調査により、首尾よく金鉱を発見した彼らは、さっそく採掘に取りかかった。神々の中でも、下っ端の神々が、鉱山労働に従事したという。
シュメールの地は、人類学でも「人類の故郷」とされる、東アフリカ(現代で言うエチオピアの辺り)にも近い。そこには、原始的な猿人たちが、ウッホウッホと歩いていた。地球生命が、生命のゆりかご・海から陸上に進出してきて、すでに四億年が経過していた。猿人たちは、すでにかなり進化した存在。直立二足歩行し、集団で狩猟採集もやっていた。
シッチンによれば、南アフリカの金鉱で厳しい労働に従事していた下級の神々は、働くのが嫌になってきた。働くのが嫌になった彼らは、金属鉱山でストライキを起こした。
下級の神々にストライキを起こされ、貴重な金属を採掘できなくなったネフィリム。困った彼らは、エチオピアの猿人たちに目をつけた。彼ら猿人は、かなり進化してはいたものの、知性が低いのが欠点。この連中に、高度に発達した知能を持つ、アヌンナキの遺伝子を植えつけたらどうなるか。優秀な労働者が育つかもしれない。
というわけで、ネフィリムによって創造されたのが我々、地球人類ということになる。地球人類は、もともと労働するために創造されているのだ。現代の日本人ビジネスマンの多くがワーカホリック(仕事中毒)と化しているのも、これなら、うなずけるというものだ・・・(泣)。
やがて、そんな人類もネフィリムも、大洪水で地上から一掃されることになる。人間たちの度を越した素行不良に激怒した最高神・エンリルが、怒りのあまり人類絶滅を決意したのだ。
シッチンによれば、大洪水は本当に起きた。氷河期が終わり、温暖になってきた地球で、南極大陸の氷山が一挙に溶けてきた。増水した海面は一気に上昇し、地表の諸都市を飲み込んでいったという。ペルシャ湾に面した大河の河口の地・シュメールは、真っ先に水没してしまった。大洪水で廃墟と化した地球から、ネフィリムたちも去っていった・・・。グラハム・ハンコックの「神々の指紋」などと同様、シッチン説は、南極の氷と切っても切れない。
アヌンナキは、ここにいる →