最近、UFOのジャンルでは、「中国でのUFO目撃事件が多い」というのが、よく話題になる。「空軍力の強化を急ぐ中国政府が、奇妙な飛行物体を飛ばしているからなのでは?」という声も少なくない。
でも、さらに注目されるのはロシアだ。もともと、国土が一番広い国。だから、地球に何かが墜落するにしても、陸地ならロシアに落ちる確率が高いとも言える。
先日は、巨大隕石の墜落で、大きな騒ぎになった。隕石が落下したあと、「空に巨大な光の玉を見た」という、住民の目撃情報が相次いだ。それは、明け方まで輝いていたというから、「UFOだったのではないか」と取り沙汰されている。
昔のロシアだったら、こういう情報が海外にまで出てくることはなかっただろう。
89年には、かの有名な「ボロネジ事件」が起きた。これは、「UFO目撃事件」というより、むしろ、「政府によって情報が公開されたUFO事件」として、史上に名高い。
ボロネジは、ロシア南部の都市だ。黒土平原の広大な穀倉地帯にある。豊かな地域で、文化・経済・交通の中心だ。筆者にとっては、画家クラムスコイの出身地ということに感慨深いものがある。
そんなボロネジに、巨大な球体型UFOが着陸したのは、1989年。ベルリンの壁が崩壊し、ロシア・東欧に大変革が起きていた頃だった。ちょうど、ゴルバチョフの改革で、情報公開が進められていた時期だったからこそ、あえて公表されたと言われる歴史的な事件だ。
ボロネジの公園には、数回にわたってUFOが着陸し、中から身長3mあまりの巨体の宇宙人が、小型ロボットを伴って出現したという。多くの住民がこれを目撃して大騒ぎになった。
「公園に着陸したUFO。中から、巨人と小型ロボットが出現した」という、ちょっとコミカルな事件。でも、報道したのが国営タス通信で、国が事実と認めたことで国際的に注目され、ニューヨーク・タイムズでも報道された。
発表したのがロシア(当時はソ連)の国営機関でなかったら、これほど注目されることはなかったに違いない。
このように、ロシアは、そのときどきの国家の状況によっては貴重な情報が流出することもある、期待大な国なのだ(笑)。
昨年の12月には、メドベージェフ首相(当時は大統領)が、記者会見で冗談めかして語った「情報公開」が話題を呼んだ。
「大統領になると、宇宙人に関する情報を網羅した機密ファイルを渡される。パニックになるから、詳しくは言えない」と発言し、「くわしくは、映画メン・イン・ブラックを見てくれ」とジョークで締めくくり、記者団は笑いの渦になった・・・という事件。
後で判明したことだが、メドベージェフは、これを大っぴらに言うつもりだったわけではなく、「マイクがオフになっている」と勘違いしてたんだそうな。
最高権力者のプーチン大統領だって、実は宇宙情報を公開したがっているとも言われる。まあ、確かに、一枚岩ではないとはいうものの、メドベージェフ首相も勝手にこんなこと言えないだろうしな・・・。