人間を、輪廻という名の強制労働へと縛りつける、「根本的な生存欲」。
十九世紀ドイツの哲学者ショーペンハウアーは、これを「盲目的な意志」と呼んだ。
ショーペンハウアーがみずから「わたくしの主著」と呼んだ「意志と表象の世界」は、体裁こそ西洋哲学だが、思想の中身はインドそのもの。
彼は、万生万物の「盲目的な、生きんとする意志」こそが、この仮象の世界を成り立たせる根源と見た。
この有為転変の世界で生きることは、苦しい。たとえ一時的には楽しくても、最終的には必ず苦しい。
芸術によって、その苦しみを癒すことはできる。だが、その効果は長続きしない・・・。
「解脱」を説いたショーペンハウアー。「生きんとする意志」の滅却こそが、最終的な解決だ。
西洋では「厭世主義者」のレッテルを貼られてしまったが、影響は大きかった。現代思想の開祖・ウィトゲンシュタインが、若い頃に読み込んだ哲学書は、「意志と表象の世界」だけだったという。
大哲学者たちも、みんな、ブッダの思想に魅了されてきた。東洋の叡智が、西洋に流れ込んだ近代。人類覚醒のプロセスは、この頃から、ゆっくりと始まっていたのだろう。
ありがたや・・・・・合掌。
覚醒への入り口 →
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