宇宙のこっくり亭

意識の覚醒に向かって、精神世界を縦横無尽に語る本格派ブログ!!

高嶋政伸 泥沼の離婚劇の影にスピリチュアル

2012年06月10日 | 芸能人の霊能事件簿
NEWSポストセブン
 
いま、芸能界をめぐる話題の焦点のひとつが、泥沼の離婚裁判が続く高嶋政伸と妻・美元だろう。双方にいろいろ原因はあるのだろうが、背後にはまたしても、スピリチュアルの影が・・・。芸能人のエピソードには、この手の話がつきまとう。
 
「高嶋家のスピリチュアルな傾向」が、しばらく前から一部週刊誌等で話題になっていた。父の高嶋忠夫は、「高嶋忠夫の守護霊のおかげです」をはじめとするスピリチュアル系の著書多数。母の須美花代は、霊感が強いことで知られている。
 
きっかけは、1964年の「高嶋家長男殺害事件」。生後5ヶ月だった高嶋家の長男が、17才の家政婦に殺害されたという事件だ。高嶋夫妻の大ファンだった家政婦は、寵愛が失われることを恐れて精神的に不安定となり、両親に愛されていた赤ちゃんを風呂に沈めて殺した。半世紀近くたった今も尾を引く、なんとも悲惨な事件だ。

その後、政宏・政伸の兄弟が生まれても、高嶋夫妻の心は癒されなかった。高嶋一家はスピリチュアルに大きく傾斜し、特に須見花代と政宏は、長男の霊と対話しているという。記事にいわく、

>父・高嶋忠夫は、母・寿美花代と円満にやってこれた理由について、かつて女性セブンのインタビューで「長男が霊になって、私と家内の肩のところに座っている」からではないかと話していた。その寿美と政伸の兄である政宏は、もともと霊媒体質であることを公言し、長男と対話しているという。A子さんは、こう話す。

>「この話は、私はちょっとこわいなぁと思ったんですが。ある日、政伸さんが実家に帰ると、家族みんなで仏壇に手を合わせていたそうなんです。それで『実は(長男の)命日なんだよ』と教えられたとき、彼が自分の手を見たら金粉が出てきたんだそうです。

>びっくりして長先生(高嶋家と数十年にわたって親交がある長昌弘氏。神道密教・象学の長年にわたる研究・修行を通じ、独自の運命学を確立した人物)に相談したら、『とっておきなさい』といわれて、全部丁寧に小皿にいれてラップをして大事に保管していたんだそうです。政伸さんは美元にその話をしながら小皿を見せたことがあるそうですが…彼女には『何にも見えなかった』といっていましたね…」

>「チベット呪文を唱えたり、般若心経、神道の詔、梵字を切ったりなど、自分がいいと思ったものは全部取り入れていくようでした。美元はちょっとびっくりしていたんですが、政伸さんは決して彼女に強要しなかったから、美元も受け入れられていたんです」(A子さん)

 
政伸は、10代の頃から四柱推命の先生の下へ弟子入りし、毎週白着を着て修行していた(・・・兄の政宏もやってたらしい)。毎月1日と15日には、東京・渋谷の氷川神社へ参拝。神様からの言葉が書いてある紙を自宅のクローゼットの扉に貼ったりもしていたという。妻・美元の知人は、「ベッドの下に砂を敷くと良いと言われた政伸は、それ以来、アチコチから集めた砂をベッドの下に敷き詰め、それが段ボール9箱分にもなった」と証言している。

特定の宗教に所属しているわけではないようなのだが、「金粉が出た」とか「空から金粉が降ってきた」というのは、新興宗教の関係者が何かにつけて好む話題のひとつだ。どこの宗教にも、その手のエピソードが必ずある。 
 
裁判では、政伸の暴言・暴行を録音したテープも公開されている。スピリチュアル系の人には、情緒不安定な人が少なくない。いろんな霊的影響を受けやすいのだから、仕方ないだろう。ご多分に漏れず、高嶋政伸もまた不安定なタイプである様子。離婚裁判も、なかなか大変そうだ。 
 

宇宙で資源を採掘。はたして・・・?

2012年06月05日 | こっくり亭日記
  
4月に、米グーグルのペイジCEOは、映画監督のジェームズ・キャメロンと一緒に、ワシントン州に「プラネタリー・リソーシズ社」を作った。ここは、「小惑星で資源を探索する」という会社。なんとも遠大な構想だ。「採算に乗るんかいな・・・?」と思うところなのだが、ニッケルやプラチナなど、希少価値の高い資源を採掘することにより、高値で売れるらしい。

さらに、かの有名なアメリカのキャタピラー社は、NASAと共同で宇宙鉱業設備の設計に取りかかっている。「月面や鉱業用途で使用できる同じタイプの技術を使った自立稼働設備を目指している」・・・だそうな。

しかし、ウォールストリートジャーナルの記事によると、地球で鉱業をやっている会社は、「まだまだ、地球には無尽蔵の鉱山がありまっせ」という反応だ。記事にいわく、

>英豪系の鉱業会社BHPビリトンの非鉄部門のCEOで地質学者のアンドルー・マッケンジー氏は「地球には文明のための鉱物があと1万年分残っている」との見方を示した。同氏は「もちろん文明は変化し、今とは異なった鉱物も出てくるだろうが、1万年以上分はある」としている。

>米地質調査所(USGS)の推定では、世界にはカリが610年分あり、何世紀にもわたって化学肥料を製造でき、鉄鉱石の確認埋蔵量は590年分に達する。全体では地球には約136年分の銅があるが、オーストラリアにはそのほんの一部しかなく、USGSは同国が世界に銅を供給できるのは数年間だけではないかと見ている。一方で、南米には銅埋蔵量のほぼ半分がある。

>カナダ・オンタリオ州の鉱業会社HTXミネラルズのスコット・マクリーンCEOは「地球に鉱物を供給するのに宇宙の小惑星に依存しなければならないなんて想像もできない」と述べた。同CEOは、そのアイデアは「面白いし、こうしたことを考えるのは幻想的だ」としながらも、「地球の鉱物資源は膨大であり、その供給は数千年間続く」と指摘した。
 
  
・・・専門家の意見によると、そういうことらしいので、まだまだ地球には見込がありそうだ。
  
なんといっても膨大なのは、海洋資源だろう。地球の7割は、海洋に覆われている。陸上の資源を開発するのに比べて、海洋での資源開発にはコストがかかり、なかなか進まない。でも、宇宙まで資源を掘りにいくのと比べたら、同じ惑星の中にあるだけマシだろう。記事にもあるとおり、
 
>海洋を子細に調べて見ると、そこでは1000万トン、金額にして500兆ドル(3京9200兆円)の金を採掘できる可能性がある。ドイツのノーベル化学賞受賞者フリッツ・ハーバー氏は1920年代に、第1次大戦後にドイツが抱えた債務を返済するのに十分な金を海から採取できると考えたが、試してみることを政府に説得することもできなかった。

 
日本には、広大な領海がある。「海洋の面積では世界6位だが、海水の量では世界4位」という声もある。「海水の量」がなぜ意味を持つのかというと、海水が多いということは、それだけ溶けている資源も多いからだ。日本は一気に、超・資源大国に変身だ。
 
もっとも、BP社の海底油田が油漏れの大事故を起こして以来、欧米では海底資源の採掘に対する評判が非常に悪い。日本における原子力発電所の評判くらいに悪い(・・・それは、さすがに言いすぎか)。どんどん原油が流出していくのに、人間が潜れないほどの深海底にあるため、打つ手がなかった。そのあたりを、どうするかだろう。その答は、「海中では、ロボットに作業をさせる」ということかもしれない。すでに、パプアニューギニアでは水中ロボットを使って、海底で銅を採掘する計画が進んでいるという。
 
もっとも、膨大な資源が手付かずで眠っているのは、海洋だけではないみたい。実際には、陸地の資源も、大半が手付かずで放置されている。というのも、人類が掘ってきたのは、地球にとってはホンの表層部分にすぎないからだ。地球の地殻は、人類が掘ってきたよりも遥かに深くて、考えただけでも気が遠くなるほど。記事によると、

>地殻は3~30マイル(4.8~48キロメートル)の厚さがあるが、ほとんどの場合、掘削されるのは表面から半マイル(800メートル)だけだ。スウェーデンのコンサルティング会社ロー・マテリアル・グループの上級パートナー、マグナス・エリクソン氏は「鉱物採取のために削っているのは表面だけだ」と指摘した。コロラド・スクール・オブ・マインズのエコノミスト、J・E・ティルトン氏は、氷山の一角を見ただけでも埋蔵量の推定値は相当なものだとし、「現在の消費ペースでいけば、地球の地殻中の銅は1億2000万年、鉄鉱石は25億年持つ」と述べた。ただ、これには採掘コストは考慮されていないという。

 
でも、わざわざ海洋や地底まで掘りに行く必要すらないかもしれない。グリーンランドとかモンゴルその他にも、まだまだ未開発の資源が大量に残っているんだそうな。

まあ、宇宙に進出するのもいいけど、地球のフトコロは、まだまだ予想外に厚かった・・・というのが結論か。
 

意識進化は近い

2012年06月05日 | 精神世界を語る
  
最近は、もっぱら欧米の精神世界情報を漁っている。日本にいながらにして、こんなことができるのもインターネットのおかげ。インターネットは、本当に世界を変えたと思う。
 
日本では、「アセンションの鍵を握るのは日本だ」という声が、かなりの広がりを見せている。確かに、それにも一理あると思われる。どの分野でも、「日本人には、傑出した個人が少ないけど、全体のレベルの高さは世界一」とよく言われる。それは意識進化の面でも同じで、「人類の師」と呼ばれるほどの突出した人物はなかなか出てこない代わり、「国民の全体的な意識の高さ」、「和の精神」を称賛されるのは、いつも日本人だ。
  
ただ、やはり精神世界論に関しては、欧米の関係者の質が高く、層が厚いのは事実で、明らかに一日の長がある。どう見ても、この分野の本場なのは向こうだ。

日本人に限らず、中国人も含めて一般に東アジア人は、こういう形而上的な話題への関心がどうも伝統的に低い。なぜなのかは、諸説ある。通常、「東アジア人は、あまりにも気候風土に恵まれているから、あの世に対する憧れがないのである」といった解説が、古来からなされてきた。もうひとつ指摘されるのは、古来から東アジアの共通語だった「漢文」の影響だ。漢文は、「漢字を並べただけで意味が通じる」というシンプルさではピカイチだけど、その代わり、言葉が少なすぎて味気ないのが弱点。東洋の漢字文化圏ならドコででも共通語として通用したから、政治や経済には便利だけど、微妙なニュアンスを表現する必要がある思想や文学では、あまりにも表現力が不足している。日本語のほうが、ひらがな・カタカナがあるだけ遥かにマシ。
   
それは別にいいんだけど、それより、欧米の精神世界関係者は、質量ともに充実している。多くの人々が、口々に「人類の意識の新たなるステージ」を語っているのを見ると、つくづく新しい時代の到来を実感する。
 
いまや、2012年も6月だ。多くの関係者によって「人類進化の一里塚」とされている2012年12月まで、あと半年ほど。「あと7~8年」とかなんとか言ってた頃に比べて、本当にすぐそこまで近づいた。これは、紛れもなく偉大な意識進化への入り口。
 
精神世界の探求者たるもの、いろんな風説に惑わされることなく、「意識の覚醒」に向かって、着々と歩を進めていかなきゃいけない。

左翼の政治運動から流れてきた人たちとか、新興宗教系の人たちなどが、あまりにもムチャクチャなトンデモ説ばかり垂れ流すので、世間は混乱しているけど、重要なのは「意識の覚醒」。これに尽きる。
  
この軸さえブレずに定まっていれば、惑うことはないのである。それこそ筆者のように、古今東西のあらゆる思想を雑食してきていても、いろんな情報の洪水の中にいても、決してブレることがない(笑)。
 

オウム真理教の残党逮捕

2012年06月04日 | こっくり亭日記
   
あの、オウム真理教の菊池直子が逮捕された。ここ10数年、ずっと貼り出されていた指名手配写真。オナジミの3人衆のうち、これで平田信と菊池直子の2人が逮捕され、あとは高橋克也を残すのみとなった。
 
それにしても、長いこと逃げおおせていたものだ。世界屈指の社会秩序を誇る日本で、これだけ見つからないということは、東南アジアあたりに潜伏しているのではないか、富士の樹海あたりに秘密の隠れ家があるんじゃないか・・・とかなんとか、さまざまな憶測が流れてきた。でも、実は、意外と普通に暮らしていた。介護の会社に勤めて、「マジメな努力家」として周囲の評判も良かったという。

介護のヘルパーとして、よく働いていたのだから、社会に貢献している。このまま働き続けてくれたほうが、たぶん世の中のためにはいいだろう。でも、だからといって、あれだけの凶悪犯罪集団が放置されていいはずもない。法治国家では、法律による裁きが必要だ。
 
それにしても、いまさらながら、オウム真理教に入らなくて本当に良かったと思う(笑)。昔は、麻原彰晃の声で「ボクは、オウム真理教に入って良かったな、良かったな、良かったな」と千回以上も繰り返す暗示テープというのがあって、テレビでも話題になってたけど・・・。
  
あの「第三次宗教ブーム」の頃、筆者は学生で、アチコチから新興宗教の勧誘を受けていた。当時は基本的にナンデモアリの思想ヲタクで(・・・今でもそうかな?)、何にでも興味があったため、そうした勧誘をキッパリ断るということは滅多になく、どこでも気楽に話を聞きに行っていた。教祖の著書などもしっかり読んでいた。創価学会でも、幸福の科学でも、エホバの証人でも、信者さんたちより教義に詳しかったほどだ。
 
そんな中でもオウム真理教は、インテリが多い教団だけに、新興宗教の中でも教義内容が充実していることでは目立つ存在だった。ホントかどうかは知らないが、テレビのニュースでも、「オウム真理教にはサンスクリット語がわかる職員がいて、仏典を原典から研究している」という報道をしていたほど。なんといっても、ヒマラヤ聖者みたいな「修行」が、大変な魅力だった。あの、宗教好きな人の間ではカリスマ的なスターだった中沢新一も、「ここはホンモノ」というお墨付きを与えていた。
 
大学の構内でしょっちゅう説明会を開いていただけに、話を聞いてみたかったのは事実。でも、ほかの団体と違って、なぜかココだけは行かなかった。悪魔の巣窟みたいに言われていた原理研(統一教会)のビデオセンターにさえ、勧誘員にノコノコついていって、中で信者と議論していたくらいなのに。教団の内部事情など知る由もなかったけど、なぜか、「単に話を聞くだけにしても、ココだけは行かないほうが良い」という気がしてならなかったのだ。だから、決して足を踏み入れなかった。
 
またまた脱線したけど、菊池直子は、おそらく深く反省している。まあ、あれも歴史のひとコマ。もっとも、広島・長崎の原爆と同じで、今も後遺症に悩まされている人がいる。事件の後、何年かたって後遺症が出て健康を害した人もいる。まったく、悪夢のような地下鉄サリン事件。

「ハルマゲドン(世界最終戦争)が起きないのなら、われわれが起こす」と宣言して、兵器を集めて自衛隊員まで抱き込み、東京でクーデターを計画していた。まあ、予言が外れてもアッケラカンとしている多くの教祖たちに比べれば、ある意味で潔いとも言えるのだが(笑)。
 
さすがに麻原彰晃は、あれだけのことをしでかしただけあって、いろんな面で、スゴいことはスゴいと思う。この先にも、もう二度と出てきてほしくないタイプの人物だ・・・。
  
 
(追記・・・その後まもなく、最後の1人の高橋克也も無事に逮捕されました)。
  

これからの十年、国際情勢の予測

2012年06月03日 | こっくり亭日記
 
最近、「なんだかんだ言いつつ、景気が上向いてきたんじゃないか?」という話をよく聞くようになってきた。もちろん、景況感は人によってさまざまだけど、全体的に、「日本経済は一時のドン底を抜け出した」という見方が増えている。特に、不動産関連でよく聞くようになった。
 
精神世界関係者には、「世界経済が崩壊することにより、新しい世界が生まれる」という意見を唱える人が多い。筆者もその立場を尊重してはいるけど、実際には、一貫して反対意見を唱えてきた(笑)。実際のところ、日本経済は再活性化する可能性が決して低くない。
 
アメリカについても同じで、「アメリカ経済が崩壊して、ドルが紙クズになる」といった話についても、筆者の目には、まったくそんな兆候があるように見えない。アメリカ経済は、80年代の一時期のほうが、今より遥かに危機的な状況だった。あの頃のアメリカ経済は本当にヤバくて、「アメリカよ、長い間ごくろうさん。さようなら」的な空気がたちこめていた。今の「アメリカ経済の危機」は、それに比べれば、かなりマシと思われる。ましてや、ホンの1年かそこらでアメリカ経済の規模が半分くらいに縮小し、膨大な失業者を生み出した1929年の「世界大恐慌」などとは、まったく比べものにならない。それは、今の「日本経済の危機」が、大昔の大飢饉と比べたら遥かにマシなのと一緒。
 
最近、ジョージ・フリードマン氏の最新刊“The Next Decade: Empire and Republic in a Changing World”(次の十年)という本を読んだ。といっても、日本語訳はまだ出てないみたい。アマゾンで調べたら、ひとつ前に書かれた「次の百年」は、「100年予測・・・世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図」という題名で翻訳されていた。
 
フリードマン氏は、未来予測の名人として知られる政治アナリスト。フリードマン氏が運営する「ストラットフォー」というシンクタンクは、「影のCIA」と呼ばれるほど有名で、アメリカ政府にも影響力がある。そんなフリードマン氏が予測する、これからの十年間は興味深かった。

未来予測といっても、精神世界とはおよそ関係なさそうな人だけに、「地球の次元上昇」を視野に入れていないのは残念だ。まあ、それは仕方ないか(笑)。でも、政治経済に対する分析は実に冴えている。
      
本の内容は、世界中の政治情勢の「次の十年」を予想し、「それに対し、アメリカ大統領はどうすべきか。リンカーン、ルーズベルト、レーガンといった史上屈指の大統領たちなら、どうするか」を語るというもの。日本人が書くものと違って、アメリカでのこうした本というのは、本当に地球全体を視野に入れている。実際に、アメリカの利害は地球全体の津々浦々、どこに行っても複雑にからみ合っているのだから、そうなるのも当たり前か。
 
その点、日本人の関心は、どうしても日本および東アジア周辺に限られる傾向がある。もちろん、その点は筆者も同じで、こればっかりは地理的条件からして仕方がない。
 
フリードマン氏が語るのは、「経済」よりも、「地理」の話が多い。たとえば、「中国とインドの対立は深刻化しない」というのも、「ヒマラヤ・チベットの山々に隔てられていて、軍事的な脅威が深刻でないから」というのが最大の理由。ヨーロッパ情勢や中東情勢はもとより、アフリカや中南米の小国の話でも、常に「地理的な条件」が基本になっている。
       
フリードマン氏は、「勢力均衡」(バランス・オブ・パワー)をことのほか重視する。お手本は、「大英帝国」と呼ばれた近代のイギリス。ドイツとフランスのどちらかが強くなりすぎると、海峡を隔てた島国のイギリスにとっては脅威になる。といっても、海軍国のイギリスにとって、ドイツやフランスの陸軍はあなどれない強敵。みずから欧州大陸に陸軍を送り込んで軍事覇権を確立し、ドイツとフランスの両方をコントロールする・・・というのは負担が大きすぎる。ここは、ドイツとフランスのバランスを取ることに専念し、どちらかが強くなりすぎたら、その国のアタマを叩く。どちらかが弱くなりすぎたら、テコ入れして強くしよう・・・というのが、国際戦略の基本原則になった。
  
筆者は子供の頃からの歴史マニアで、この「ヨーロッパの勢力均衡」の話を目にするにつけ、「日本に比べて、イギリスは恵まれてるな」と思ったものだ。海の向こう側の大陸が、ドイツとフランスを中心とする多くの国々に分かれているおかげで、イギリスにとっては安心できる。どこかの国がヨーロッパ大陸を統一してスーパーパワーに成長したら、いつ海峡を越えてイギリスに攻め込んでくるか分からない。これは、大変な脅威だ。ヨーロッパ大陸がバラバラに分かれていれば、イギリスに軍事的圧力をかけるほどの強い国はないわけだから、まず安心と言っていい。それに比べて、日本の向こう側のアジア大陸には、オナジミの「21世紀の超大国」があって、東アジアの大半を軍事的に支配している。最近はいよいよ、日本にも軍事的圧力をかけてきた。これはまったく、困った状態だ。早く分裂してもらいたいものだ・・・と、小学生の頃から筆者は思ってた(笑)。残念なことに、いまだに分裂していないのだが・・・。
 
重要なのは、これが「イギリスがみずからヨーロッパを統一するのに比べて、遥かに低いコスト負担で欧州大陸を抑えておける」戦略だということ。
 
アメリカが、たとえばイラン・イラク・サウジアラビアその他を軍事的に占領して支配し続けるとしたら、膨大な軍事費と手間ヒマがかかる上に、現地人の抵抗が激化するだけで、効果はあまり期待できない。重要なのは、アメリカ以外のどこかの国に中東を支配されないこと。そのためには、うまく各国のパワーバランスをとって、どこの国も総すくみ状態にしておけば、コントロールしやすい。そして、「支配する必要はない。現地のどの国も抑えておき、アメリカが主導権を握ることさえできていれば、それでいい」というのが、現実路線というもの。

フリードマン氏は、「アメリカがイラク戦争でフセイン政権を潰したのは、失敗だった」と説く。その理由は、フセイン政権が「大量破壊兵器」を持っていなかったからではない。「中東において、イランに対抗できる唯一の勢力だったイラクを、弱くしすぎたおかげでパワーバランスが崩れ、相対的にイランが強くなりすぎたから」というのが、その理由。

確かに、イラクが潰れて大混乱になって以来、イランがしゃしゃり出てきている感は否めない。核兵器を開発すると言って脅してみたり、石油タンカーの通り道であるホルムズ海峡を封鎖すると言って脅してみたり、やりたい放題で、まさしく「西の北朝鮮」と化している。まったく、勘弁してもらいたいものだ。どうやってイランの横暴を抑えるかは、国際社会の大きな課題と言える。

同様に、フリードマン氏は、「いずれ、ブラジルが南米の大国として台頭してくる。太平洋やインド洋に比べて手薄なアメリカ艦隊が、南大西洋の制海権を奪われないためには、ブラジルを抑えておく必要がある。そのためには、アルゼンチンを長期的にテコ入れして強化し、ブラジルの対抗勢力に育てていくべきだ」と説く。

気になる東アジアについても、フリードマン氏は、イラン・イラクのときと同じように「東アジアの2大国、日本と中国のパワーバランス」を語っている。東アジア情勢に当てられた一章は、ほとんど東シナ海における日本と中国の海洋覇権争いの話ばかりで、朝鮮半島のことはあまり出てこなかった。

東アジアの2大国に対するフリードマン氏の予測は、きわめて明快だ。「中国は、あまりにも国内に不安定要因を抱えすぎている。長く続いた経済ブームも間もなく終わり、中国は大混乱に陥る可能性が高い。一方、長らく低迷していた日本が、今後はおそらく復活してくるだろう」と予測している。

来るべき日本の再台頭と、中国の弱体化。その結果は、どうなるか。フリードマン氏いわく、「中国があまりに弱くなりすぎれば、相対的に日本が強くなりすぎ、東アジアのパワーバランスが崩れる。その結果、アメリカは、日本をコントロールできなくなる恐れがある」だという。

まあ確かに、沖縄や横須賀その他にアメリカ軍が我がもの顔で駐留していても、日本人が誰も文句を言わないのは(・・・言ってる人もいるか)、ひとえに中国の脅威に対抗するため。中国が潰れて脅威でなくなったら、「そろそろ、アメリカ軍に出て行ってもらってもいいんじゃないか」という声が出てくることは、当然に予想される。今までとは、まったく違う状況になるだろう。

「アメリカは、これからも日本をコントロールし続けるために、混乱する中国経済にテコ入れしてでも、中国が弱くなりすぎないように支えるべきだ」とまで説く、フリードマン氏。

まあ、それはよく分かる。筆者がアメリカ人だったとしても、そう思うことだろう。気持ちは分かるけど、「地球人類の変革の鍵を握るのは日本だ」と、神示にも書いてあるらしいよ。それについては、どう思います?(笑)