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毎日新聞社説:社説:桜宮高校の体罰 入試中止要請は筋違い

2013-01-20 23:00:00 | 教育
 さまざまな意見が出されているところです。

 毎日新聞社説は、以下。

 いずれにしろ、21日の大阪市教委の決定が重要です。


 市教委の決定に対しては、市長といえども、予算執行権を用いることは、本来できません。

  


*****毎日新聞 社説(2013/01/20)*****

社説:桜宮高校の体罰 入試中止要請は筋違い

毎日新聞 2013年01月20日 02時30分


 大阪市立桜宮高校の体育科の生徒が教諭から体罰を受けた後に自殺した問題で、橋下徹市長は、来月実施の体育科とスポーツ健康科学科の入試を中止するよう市教委に求めた。

 体罰容認の風潮を残したままで新たに生徒を受け入れられないというのが橋下市長の考えだ。体育系2科の希望者をいったん普通科で受け入れ、入学後に編入を検討するよう提案し、市教委が中止しなければ、市長権限で入試に関連する予算を支出しない意向を示している。

 しかし、体育系2科と普通科では入試科目や配点が異なり、編入もスムーズにいくか分からない。受験生だけでなく、在校生への影響も大きい。受験生や生徒たちに負担を与えてはならない。入試中止は筋違いであり、再考すべきだ。

 今最も重要なのは、長年にわたって体罰が行われてきた実態を解明し、責任の所在を明らかにすることだ。大阪市は弁護士による外部監察チームをつくり、市教委も連携して3月末までに再発防止策を定める。

 ところが、橋下市長は「廃校もありうる」とまで言及している。真相が明らかにされないうちに、市長が学校そのものが悪いという姿勢を示せば、その意向に沿った調査になりかねない。強い反省に立って真摯(しんし)に原因究明しなければ意味はない。

 橋下市長は、同校の全教員を異動させるよう市教委に求め、運動部の全顧問を入れ替えないと人件費を執行しないとも明言した。予算権を盾にして従わせようとすれば、教育行政の公正を脅かしかねない。

 その一方、今回の問題の背景に学校と市教委の閉鎖的体質があるのは事実だ。体罰をした教諭は19年間勤務しバスケットボール部を強豪チームにした。校長らは指導に口出しせず、市教委も匿名通報がありながら部員から聞き取らず体罰はないとの結論を出していた。体質を改めない限り、信頼は取り戻せない。

 文部科学省も全都道府県教委に体罰の実態調査を求め、再発防止策を考える。根絶には行政、学校、保護者ら社会全体で取り組む必要がある。桜宮高校だけの問題ではない。

 大阪市教委は、体罰が発覚したバスケット部とバレーボール部の無期限活動停止を決めた。生徒を自殺に追い込んだ事態を重く受け止めたものとはいえ、生徒全体に責任を負わせるようなやり方は疑問だ。これまでの指導内容を見直すことは急務だが、在校生の意欲を低下させないため、今後、再開時期を慎重に見極めていく必要がある。

 入試の実施か中止かを大阪市教委は21日に決める。子供の将来を熟慮したうえで結論を出して、橋下市長との合意形成を望みたい。
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