「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

都がなすべき課題:独自の専門家会議設置と急増に備えた医療体制(開業医や一般病院含む)の構築。新型コロナウイルス感染症対策専門家会議(第8回)提言(2020年3月19日)を受けて。

2020-03-20 06:48:18 | 各論:新型インフルエンザに備える

 第8回会合をへて、専門家会議の提言が3/19(木)に出されました。

 提言を受けて、大事なポイントは、以下を考えます。

1,各自治体で、感染状況を適切に判断(3つのカテゴリーの判断)し、持続可能な対応を取る
 (開催日当日3/19の朝報道されたNHKの内容でポイントは、合っています。)

 判断に際し、参考とするデータ:①実効再生産数(一人が生み出す二次感染者の平均値)、②罹患率、③孤発例の発生数など総合的に判断
 感染の拡大を、「肺炎の発生」で捕捉ことも可能。

2、その自治体の判断においては、政治家と専門家の開かれた場でのコミュニケーションが最重要

 都知事には、どうか、東京都の独自の専門家会議を作っていただき、都内各市区町村の感染状況の判断を科学的に行っていただきたく強くお願い致します。
 そして、周辺の県の専門家会議とも連携し、県境を超えた生活圏の視点から考えた感染状況の判断もお願いしたく存じます。

3,全国各地から不特定多数が集まる大規模イベントは要注意。なお、大規模イベントについては、専門家会議でも意見が割れた
 (五輪の判断は、会議では行わなかった。専門家会議では、政府のかたも委員に入っているが、政府の委員の意見を斟酌したことは一切ない)

4、万が一の爆発的な患者発生に備え、医療体制のシミュレーションを、起こる起こらないにかかわらず行うこと

 都知事には、医療体制のシミュレーションを、都内各市区町村の個別具体的な状況に合わせ構築をお願いします。一般病院、一般診療所含め役割分担をしていく必要があると考えます。

5、一斉休校の効果は不明、子どもが感染を広げてはいないようだ(1:06:00)

 各自治体の感染状況を判断したうえで、春休み中の適切な学び・遊び・運動の場の確保そして4月からの新学期の再開を、お願いします。

6、「肺炎患者の発生状況」を、フォローするのも重要ではないだろうか。

 厚労省には、新型コロナウイルス感染症の発生状況の把握が正しいかを補足するデータとして、同時に、「肺炎の発生状況の把握とデータの公表」をお願いします。


********専門家会議HPより***************
主な資料: https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/senmonkakaigi/sidai_r020319.pdf

●日本は、オーバーシュート(爆発的患者急増)を来たしていません。(8ページ)



●万が一、オーバーシュートを来すと、まったく人工呼吸器が足りなくなります。(9ページ)

●北海道の収束した例、実効再生産数(4ページ)



●日本全体の実効再生産数(5ページ)




提言の要約(記者会見では:20:00あたり)

1、政府、自治体へのお願い
(1)クラスター管理の専門人材の確保

(2)北海道をモデルケースに

(3)感染する3つの条件の住民への周知

(4)重症者を受け入れる医療体制の構築(オーバーシュートのありなしに関わらず)

①重症者は早めに受診

②軽症者は、自宅で。電話でフォロー

③重症者が、症状回復したら、自宅で。電話でフォロー

④軽症者や治った方の自宅フォローで、家族内感染をしない。ホテル利用など

(5)学校へのお願い
①先生が症状有ったら、休んで

②学生への情報提供
 春休みで海外へいったら、2週間自宅で様子見る

2、市民と事業者へのお願い
(1)感染の3つの条件(密集・密閉・密接)を避ける

(2)感染者への偏見や差別行為を許さない

(3)感染された場合には、他の感染させたひとがいないか調査(積極的疫学調査)に協力を。

(4)高齢者などリスクの高い人は、感染に注意を

(5)高齢者などの家族には、感染をさせない努力を

(6)若い世代のひとには、重症化のリスクは低いが、感染拡大をしないように

(7)医療者には爆発的患者急増に際しては、役割分担にご協力を

(8)PCR検査は、適切な対象者を検査。ただし、PCRも万能でない。

(9)大規模イベント等
①多くの人が一堂に会する
②人が密集
③全国から人が集まる
 には、十分注意。
 やる場合は、①感染予防対策、②密閉・密集・密接場面をさける、③感染発生の場合の調査への協力を

(10)事業者
テレワーク対応、海外赴任のかたが帰国後の経過観察などさせることなど

********記者会見映像***************
向かって左から、川名先生 西浦先生、尾身先生、座長脇田先生

録画映像:https://www.youtube.com/watch?v=hH79Wv4ys0o

資料: https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/senmonkakaigi/sidai_r020319.pdf



説明: 0:00-50:00

質疑: 50:00〜2:00:00

<主な質問>

1、一斉休校は、解除できるか。エビデンスは。(読売新聞幹事)50:00頃     

条件を見ながら解除を。学校閉鎖のエビデンスはない。 
エビデンスはない。
エビデンスを集めている。    

2,開催時間が長引いたのは(読売新聞幹事社)      56:00         

健全な多様な意見、しかし、異論がないのは、いつ爆発的感染がおきてもおかしくないというところを共有。

3、3つの地域の判断方法:指標について(読売新聞幹事) 1:00:00頃 

①地域の再生産数、②罹患率、③孤発例の発生数など総合して判断

4,誰が判断(東京新聞):1:03:00頃       

厚労省と自治体

5、一斉休校したのはなぜ(東京新聞): 1:05:00       

専門家で議論しなかった。2/24の「今が瀬戸際」を政府が受け取った。

6、今はどういう時期?(NHK)1:09:00 

持続可能なレベルを皆でみつける。希望の光が見えたが。これから感染症が来る。丸腰なら、大規模な流行来る。憂慮する。

7、いままでと同じ呼びかけ? 1:13:00 

大規模イベントは、意見が割れた。個人的には、やると大規模クラスターできる。

8,五輪は? 1:16:00 

五輪は、議論していない。

9、高齢者の外出 1:17:00 

すべての地域で同じく考えで。

10,なるべく大規模イベントは、自粛で一致か

大規模イベントの開催の危機意識をもった

11,海外からの流入へのもう一歩踏み込むべきか

検疫班が運営を考えている。報告を待って。
単に二週間の任意の待機でよいか。
今は、封じ込めは考えていない。パンデミックであり、人の動きは止めれない。


12,①長期戦か、どの程度か、②独自のアラートとは、緊急事態宣言をさすか、③スポーツ観戦、④議論に、政府の意向は入っているか、科学的な意見のみで議論されたか(読売新聞) 1:19:00 

①長期戦かどうか、誰も答えられない。覚悟を示した。メンバー全員一致は、これから拡大がありうる危機感。  
②北海道のような独自のメッセージを指す。
③スポーツ観戦は入らない。学校などは大規模イベントとは違う。
④政府の意向の斟酌は、していない。大規模イベントは、政府の考えは入れません。
 社会に受け入れられるか。一般の市民に受け入れられるかを考える。政府にどう思われるかではない。
 政府のひとがメンバーにいたが、科学者の意見を聞きたいという趣旨で委員としていた。

13、①次の専門家会議の開催は、②医療体制整備の課題は、③大阪の施策は?大阪兵庫往来3日禁止施策の評価は、④大規模イベントとは(日経) 1:27:00  

①2週間後、専門家会議、ただし、政府への要望書は、会議とことなりメッセージを出す。
②患者、重症者増える。パッケージとして対策を。感染症指定病院だけでは無理。自治体のリーダーシップを。行動変容。するにもしないにも準備を。
③専門家会議は知らない。
④全国から、不特定多数があつまる。


14,①重症者の地域、②大阪兵庫往来3日禁止の効果(朝日)1:33:00  

①今、パンクの地域ない、現場で肺炎の入院を困るケースもある。
②大阪のライブハウス、「感染あった」と言われたので患者可能性の人を追えた。固有の名をあげたからわかった。

15,①大規模イベント意見がわれたのは、②学校閉鎖、③外出制限は(NY Times) 1:40:00 

①健全な議論の結果
②学校閉鎖、効果ない。
③外出制限の程度は、接触を避けた、話し合いたい。全ての行動の制限は、持続的な政策でない。行動変えないと拡大。
 日本モデル、無駄な部分を省き、社会的弱者を助け、持続可能な経済を考える、クラスター班でで議議論

16,①北海道、②地域の名をあげないのはなぜ。(外国記者) 1:44:00      

①北海道雪祭り、その後のイベントない。
 世界保健規則で、2国間で情報共有の仕組み有り
②考え方を示した。県名ださないとかの隠す意図なし。
 地元から厚労省に情報来る。

17,①北海道のプロセス、②アラートの前に専門家と意見交換すべきでは、③オーバーシュート対策は(時事通信) 1:48:00   

①独自のアラート。北海道知事の宣言後、医療者と意見交換の場をつくってもらった。外気や買い物はOKとアドバイスした。北海道モデル。
②決まった形態ない。今日のテーマと違うから答えられない。
③オーバーシュートには、可能な限り早く、対処

18、①3つの地域の判断するための判断根拠資料はできているか、②全国イベント主催者は、判断は、どうやってするか、③どうなるとオーバーシュートと評価するか (日経) 1:55:00  

①都道府県別の感染者数が出されている。ⅰ実効再生産数、ⅱ罹患率、ⅲ個別発生の数などで総合的に判断、
②全国イベントは、主催者は、いろんな注意をしてやってと。感染の状況だけで判断せず。
③オーバーシュートの判断は、できていない。日本は確率的には増加していない。指数関数的にない。

19,①都道府県単位か、3つの地域の判断をする場合、②北海道は今どうか(北海道放送)  1:59:00  

①難しい質問。行政単位で一致とはいえず、生活圏で判断が大事。場合によっては自治体を超えて判断必要。                         
②北海道は、全体としてトータルで見ている。トータルとして下がっている。

 

以上


 
**********************
専門家会議を受けて、他の専門家の見解

加來 浩器

昨日の専門家の見解で、一般市民にわかりやすく説明する必要があるから致し方ないですが、
基本再生産数は、平均してみてもあまり意味がないです。
現在の全国の発生状況の分析で、①弧発例の濃厚接触者からの再生産数、②クラスターの再生産数とかなり異なると思われます。とくにクラスターには、ライブハウス、屋形船、展示会参加、海外旅行などの社会活動と関係あるようなものと、院内感染や高齢者施設などの医療関連感染では意味合いが異なります。社会活動の制限が有効なのは、弧発例とクラスターのなかでも前者の方です。

 

**********************
提言部分の全文

提言

1.政府及び地方公共団体への提言
(1)クラスター対策の抜本的な強化
 現在の実施体制では、クラスターの早期発見・早期対応という戦略を更に継続する
のは厳しく、爆発的な感染拡大を伴う大規模流行を回避できなくなる可能性がありま
す。
 このため、専門家会議としては、抜本的なクラスター対策の拡充を迅速に実施すべ
きであると考え、その一刻も早い実現を政府に強く要望します。具体的には、①地域
でクラスター(患者集団)対策を指揮する専門家を支援する人材の確保、②地方公共
団体間の強力な広域連携の推進を図った上で、③地方公共団体間で保持する感染者情
報をそれぞれの地域のリスクアセスメントに活用できるシステムを作ること、④保健
所が大規模なクラスター対策に専念できる人員と予算の投入等が挙げられます。

(2)北海道及び各地方公共団体へのお願い
 この先、新たな感染者やクラスターの発生もあり得ますので、引き続き注意深く警
戒を続けながら、今後は、適宜、必要に応じて、今回と同様の対応を講じることも視
野に入れておく必要があります。一方で、この北海道の経験は、他の地域において
も、政府との緊密な情報連携により、地方公共団体の首長による独自のメッセージや
アラートの発出等が、地域住民の行動変容につながり、一定の効果を上げる可能性を
示唆していると考えます。感染状況が拡大傾向にある地方公共団体におかれまして
は、まん延のおそれが高くならないように、厚生労働省からもたらされた情報等を基
に、まずは、地域住民の行動変容につなげるための自発的な取組の実施も考慮してい
ただきたいと考えます。

(3)「3つの条件が同時に重なった場」を避ける取組の必要性に関する周知啓発の徹底
 まん延の防止に当たっては、国民の行動変容を一層徹底していく必要があります。
このため、専門家会議としては、国に対しては、3つの条件が同時に重なった場を避
けることの必要性についての周知広報の充実を求めます。

(4)重症者を優先する医療体制の構築
 重症患者に対する診療には、特別な知識や環境、医療機器を要するため、診療でき
る人員と資源を継続的に確保することが重要な課題です。そのため、一般医療機関の
うちどの機関が感染者の受入れをするか、あらかじめ決めておく必要があります。そ
の上で、関係医療機関の連携・協力の下、受入病床数を増やすだけでなく、一般医療
機関の医療従事者にも新型コロナウイルス感染症の診療に参加していただく支援が不
可欠です。
 そこで、専門家会議としては、重症者を優先する医療体制へ迅速に移行するため、
地域の感染拡大の状況に応じて、受診、入院、退院の方針を以下のように変更する検
討を進めるべきだと判断します。
 重症化リスクの高い人(強いだるさ、息苦しさなどを訴える人)又は高齢者、基礎
疾患のある人については、早めに受診していただく
 入院治療が必要ない軽症者や無症状の陽性者は、自宅療養とする※。ただし、電話
による健康状態の把握は継続する
 入院の対象を、新型コロナウイルス感染症に関連して持続的に酸素投与が必要な肺
炎を有する患者、入院治療が必要な合併症を有する患者その他継続的な入院治療を
必要とする患者とする
 症状が回復してきたら退院及び自宅待機にて安静とし、電話による健康状態の把握は
継続する
 また、症状が軽い陽性者等が、高齢者や基礎疾患がある人と同居していて家族内感染
のおそれが高い場合は、接触の機会を減らすための方策を検討する。具体的には、症
状が軽い陽性者等が宿泊施設等での療養を行うことや、同居家族が受診した上で一時
的に別の場所に滞在することなど、家族内感染リスクを下げる取組みを行う
このような基本的考えに立って、地域の実情に応じた、重症度などによる医療機関の役
割分担をあらかじめ決めておくことが重要です。

※ 現在は、まん延防止の観点から、入院治療の必要のない軽症者も含めて、感染症法
の規定に基づく措置入院の対象としています。

(5)学校等について
 春休み明け以降の学校に当たっては、多くの子どもたちや教職員が、日常的に長時間
集まることによる感染リスク等に備えていくことが重要です。この観点から、まずは、
地域ごとのまん延の状況を踏まえていくことが重要です。さらに、今後、どこかの地域
でオーバーシュートが生じた場合には、Ⅱ.7の地域ごとの対応に関する基本的な考え
方を十分踏まえていただくことが必要です。
 また、日々の学校現場における「3つの条件が同時に重なる場」を避けるため、①換
気の悪い密閉空間にしないための換気の徹底、②多くの人が手の届く距離に集まらない
ための配慮、③近距離での会話や大声での発声をできるだけ控えるなど、保健管理や環
境衛生を良好に保つような取組を進めていくことが重要です。
併せて、咳エチケットや手洗いなどの基本的な感染症対策の徹底にもご留意くださ
い。
 児童生徒や学校の教職員については、学校現場で感染リスクに備えるとともに、学校
外での生活で感染症の予防に努めていくことが重要です。日頃から、集団感染しやすい
場所や場面を避けるという行動によって急速な感染拡大を防げる可能性が高まります。
例えば、できるだけ換気を行って密閉空間を作らないようにしたり、咳エチケットや手
洗いなどの基本的な感染症対策を徹底したり、バランスのとれた食事、適度な運動、休
養、睡眠などで抵抗力を高めていくことにも心がけてくださるようお願いします。
教職員本人やその家族等が罹患した場合並びに本人に発熱等の風邪症状が見られる場
合には、学校へ出勤させないよう徹底してください。また、児童生徒にも、同様の取組
の徹底を図るようにしてください。
 また、大学等におかれては学生等に対して、本提言に記載した感染リスクを高める行動
を慎むよう、正確な情報提供や周知をお願いいたします。特に春休み期間に、感染症危険
情報が高い国・地域に海外旅行や海外留学等で渡航した学生等が帰国する際などには、新
たな渡航の慎重な検討や一時帰国を含めた安全確保の対応方策の検討に加え、帰国して2
週間は体調管理を行い、体調に変化があった場合には、受診の目安を参考に適切な対応を
取るよう、学生等への情報提供や周知をお願いいたします。

2.市民と事業者の皆様へ
(1)3つの条件が同時に重なった場における活動の自粛のお願い
 これまでに明らかになったデータから、集団感染が確認された場に共通するのは、①
換気の悪い密閉空間であった、②多くの人が密集していた、③近距離(互いに手を伸ば
したら届く距離)での会話や発声が行われたという3つの条件が同時に重なった場とい
うことが分かっています。例えば、屋形船、スポーツジム、ライブハウス、展示商談
会、懇親会等での発生が疑われるクラスターの発生が報告されています。
皆さんが、「3つの条件が同時に重なった場所」を避けるだけで、多くの人々の重症
化を食い止め、命を救えます。

(2)感染者、濃厚接触者等に対する偏見や差別について
 感染者、濃厚接触者とその家族、この感染症の対策や治療にあたる医療従事者とその
家族に対する偏見や差別につながるような行為は、断じて許されません。誰もが感染
者、濃厚接触者になりうる状況であることを受け止めてください。
報道関係者におかれましては、個人情報保護と公衆衛生対策の観点から特段の配慮を
お願いします。
感染症対策に取り組む医療従事者が、差別等されることのないよう、市民等は高い意
識を持つことが求められます。

(3)積極的疫学調査へのご協力のお願い
 この感染症との闘いは、今後一定期間は続き、国内で急速な感染の拡大を抑制できた
としても、流行地から帰国する邦人や来日する外国人からの感染も増える見込みのた
め、さらに警戒を強める必要があります。
感染者、濃厚接触者の方々は、保健所による積極的疫学調査にご協力ください。詳し
い行動歴を調査することで感染源を突き止め、他の感染者を早期に発見することが感染
拡大の防止のために不可欠となります。
 また、事業者におかれましては、集団感染が発生した場合には、その情報を公開する
ことにご協力ください。速やかな情報の公開が、感染者の早期発見につながります。

(4)高齢者や持病のある方など重症化リスクの高い皆様へのお願い
 新型コロナウイルスの国内ならびに海外での分析によっても高齢であれば比較的健康
であっても感染し、重症化する可能性が高いことがわかっています。また、持病にも
様々なものがありますが、できるだけ良好なコントロールをしていただくようにし、ま
た感染リスクを下げるような行動をお願いします。また通常の予防接種も、感染症の複
合にならないために重要です。
 これまでは外出機会の多かった方におかれましても、今後は感染リスクを下げるよう
注意をお願いします。特に、共有の物品がある場所、不特定多数の人がいる場所などへ
の訪問は避けてください。なお、外出機会を確保することは日々の健康を維持するため
にも重要になります。お一人や限られた人数での散歩などは感染リスクが低い行動で
す。


(5)高齢者や持病のある方に接する機会のある職業ならびに家庭の方へのお願い
  高齢者や持病のある方に接する機会のある、医療、介護、福祉ならびに一般の事業者
で働く人は一層の感染対策を行うことが求められます。発熱や感冒症状の確認ならび
に、感染リスクの高い場所に行く機会を減らすなどの対応が当分の間求められます。
 これまでの国内外の感染例でも、家庭内での感染の拡大はよくみられています。同居
の家族、特に、そのご家庭の高齢者を訪問される際には、十分な体調確認を行った上
で、高齢者の方と接していただくようにしてください。

(6)若者世代の皆様へのお願い
 若者世代は、新型コロナウイルス感染による重症化リスクは高くありません。しか
し、無症状又は症状が軽い方が、本人は気づかずに感染を広めてしまう事例が多く見ら
れます。このため、感染の広がりをできるだけ少なくするためには、 改めて、3つの条
件が同時に重なった場に近づくことを避けていただきますようにお願いします。特に、
オーバーシュート(爆発的患者急増)のリスクを高めるのが、「3つの条件が同時に重な
る場」を避けにくい状況が生じやすい、「全国から不特定多数の人々が集まるイベント」
であることもわかってきました。イベントそのものがリスクの低い場で行われたとして
も、イベントの前後で人々が交流する機会を制限できない場合には、急速な感染拡大の
リスクを高めますので、十分に注意して行動してください。
 また、ご自身が新型コロナウイルスに罹患した場合やその家族等が罹患した場合並び
に発熱等の風邪症状が見られる場合には、ご自身の経過観察をご自宅で継続するととも
に外出を避けるように徹底してください。

(7)医療従事者の皆様へのお願い今後、患者数の漸増やオーバーシュート(爆発的患者急増)が起こると、感染症指定
 医療機関等だけでは対応が困難となりますので、多くの医療機関(診療を原則行わない
医療機関を除く)が新型コロナウイルス感染症の診療を行うことになります。その際、
地域における医療機関ごとの役割分担(軽症者は在宅療養、重症者は高次医療機関、そ
の他は診療所や一般医療機関で診療するなど)を踏まえ、医療ニーズの低減努力(一般
患者の外来受診間隔を開ける、ファクス処方の利用、待機的入院・手術の延期等)をお
願いいたします。また、各医療機関におかれましては、それぞれの診療継続計画に基づ
き、医療従事者の適切な配置等をご検討ください。医療につきましては、新型インフル
エンザ等及び鳥インフルエンザ等に関する関係省庁対策会議「平成25年6月26日
(平成30年6月21日一部改訂)新型インフルエンザ等対策ガイドライン」のⅥ 医
療体制に関するガイドラインが準用可能ですのでご参照ください。

(8)PCR検査について
 新型コロナウイルス感染症においては、医師が感染を疑う患者には、PCR検査が実
施されることになっています。また、積極的疫学調査において検査の必要性がある濃厚
接触者にもPCR検査が実施されます。このように適切な対象者を検査することで、新
型コロナウイルスに感染した疑いのある肺炎患者への診断・治療を行っているほか、濃
厚接触者の検査により、感染のクラスター連鎖をとめ、感染拡大を防止しています。す
でに、検査受け入れ能力は増強されており、今後も現状で必要なPCR検査が速やかに
実施されるべきと考えています。今後は、わが国全体の感染状況を把握するための調査
も必要です。
 なお、PCR検査法は優れた検査ではありますが、万能ではなく感染していても陽性
と出ない例もあります。したがって、PCR検査のみならず、臨床症状もあわせて判断
する必要があります。また、迅速診断法や血清抗体検査法などの導入により、より迅速
で正確な診断が期待されています。

(9)大規模イベント等の取扱いについて
 2月 26 日に政府が要請した、全国的な大規模イベント等の自粛の成果については、そ
の効果だけを取り出した「まん延防止」に対する定量的な効果測定をできる状況にはな
いと考えていますが、専門家会議としては、以下のような観点から、引き続き、全国的
な大規模イベント等については、主催者がリスクを判断して慎重な対応が求められると
思います。
 全国規模の大規模イベント等については、
①多くの人が一堂に会するという集団感染リスクが想定され、この結果、地域の医療提
供体制に大きな影響を及ぼしかねないこと(例:海外の宗教行事等)
②イベント会場のみならず、その前後などに付随して人の密集が生じること
(例:札幌雪まつりのような屋外イベントでも、近辺で3つの条件が重なったことに
伴う集団感染が生じていること)
③全国から人が集まることに伴う各地での拡散リスク、及び、それにより感染者が生じ
た場合のクラスター対策の困難性
(例:大阪のライブハウス事案(16 都道府県に伝播))
④上記のリスクは屋内・屋外の別、あるいは、人数の規模には必ずしもよらないこと
などの観点から、大規模イベント等を通して集団感染が起こると全国的な感染拡大に繋
がると懸念されます。
このため、地域における感染者の実情やその必要性等にかんがみて、主催者がどうし
ても、開催する必要があると判断する際には以下①~③などを十分注意して行っていた
だきたい。
 しかし、そうしたリスクへの対応が整わない場合は、中止又は延期をしていただく必
要があると考えています。
 また仮にこうした対策を行えていた場合でも、その時点での流行状況に合わせて、急
な中止又は延期をしていただく備えも必要です。
①人が集まる場の前後も含めた適切な感染予防対策の実施、
②密閉空間・密集場所・密接場面などクラスター(集団)感染発生リスクが高い状況の
回避、
③感染が発生した場合の参加者への確実な連絡と行政機関による調査への協力
などへの対応を講ずることが求められます。
(別添「多くの人が参加する場での感染対策のあり方の例」参照)

(9)事業者の皆様へのお願い
 以下の事項に留意して、多様な働き方で働く方も含めて、従業員の感染予防に努めて
ください。
・労働者が発熱などの風邪症状が見られる際に、休みやすい環境の整備
・テレワークや時差通勤の活用推進
・お子さんの学校が学級閉鎖になった際に、保護者である労働者が休みやすいように配

・感染拡大防止の観点から、イベント開催の必要性を改めて検討
・別添「多くの人が参加する場での感染対策のあり方の例」の2)クラスター(集団)
感染発生リスクの高い状況の回避のための取組に準じて、従業員の集団感染の予防に
も十分留意してください。
・海外出張で帰国した場合には、2週間は職員の健康状態を確認し、体調に変化があっ
た場合には、受診の目安を参考に適切な対応を取るよう職員への周知徹底をしてくだ
さい。

以上

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