波紋

一人の人間をめぐって様々な人間関係が引き起こす波紋の様子を描いている

泡粒の行方   「第31回」

2015-11-02 09:54:01 | Weblog
まだ正式に東京事務所として始まっていないと時である。誰に聞いてきたのか、そして初めて会う来客にも戸惑っていた。確かに得意先の人であることは分かったが初めて会う人であり、挨拶はしたことはあるがゆっくり話したこともなかった。しかし部長さんで担当の人とあっては話を聞かないわけにも行かない。近くの喫茶店へ案内し話を聞くことにした。
「今回東京事務所を開設されるそうですね。」「えー。本社からの頼みで始めることにしました。よろしくお願いします。今までは岡山へ直接連絡をしてもらっていましたが、今度は東京で業務をしますので、」型どおりの話が済むとおもむろに話し始めた。
「実は私には弟がいまして、大学へ行っていたのですが、今は休学しているのです。」「何があったのですか。どこか体でも悪いとか。」というと、「実は彼はプロゴルファーを目指していまして、今アシスタントプロとして教えているのです。でも今のままでは社会人として一人前には慣れそうもないのでちゃんとした仕事に就かせたいと母とも相談してお願いにあがったのです。」「でも今のままでもプロになれば立派な仕事として有名になれるじゃあないですか。」
「いや、私たちもそう思っていたんですが、体を壊しましてね。」どこか悪いのですか。」
「病院へ行くほどじゃあないのですが、プロゴルファーとしては通用しないことが分かって」
「どうしたんですか。」「糖尿病なんですよ。だからちょっと無理なんですよ、それでこち他の話を聞いたものですから、こちらでお世話になりたくてお願いに着たんです。」「本人はどういっているんですか。」「本人はよいのです。私と母で決めてこちらでお世話になることをつた耐えてありますから」「ちょっとまってください。私のほうも岡山の上司に報告してしかるべき
手続きをしてお返事をすることになりますから」「彼には話しはしてありますから」
「そう入ってもこちらは会社として手続きがありますからお返事は後ほどということで」
「彼には来週からこち多へ出社するようにいっておきますからよろしく。」「ちょっとそれはまってください。」そんなやり取りのうちに、話を済ませると帰ってしまった。
まったく乱暴な話で一方的なやり取りで勝手に話し勝手に帰ってしまったのだ。