波紋

一人の人間をめぐって様々な人間関係が引き起こす波紋の様子を描いている

「新しい道」⑪

2020-07-06 13:29:31 | Weblog
親会社との関係は仕事だけではなかった。それは交わりを持つことになった関係者の一人一人が個性豊かであり、自分にはもちえない優秀な知性と感性の持ち主ばかりであったことだ。関連会社の担当の課長のT氏とは交わりを持ち始めてから定年後までの長いお付き合いとなり、家族ぐるみの様々な関係を持つことになったが、一言でいえば「目にかけて頂いた」ということになる。仕事から遊びまでその時間は公私を持たずあったと思わえれる。長い期間では当然転族もあったがその先でも変わらず関係は続いた。T氏は関係会社の社長になり、当社の製品を今までと同じように取り扱うことになったのでその関係は変わらなかったのである。その言行録はその時々に聞かされ、自分にとってはとても参考になり、良くも悪くも従わざるを得ないところでもあった。その中でも麻雀とゴルフの回数は公私ともに多く、必ず自分の行く先では自分もお供をすることになっていた。おかげで普段は食べることのできない食事、遊び、などを経験することになり、個人ではとてもいけないような料理や場所へもお供することになったのである。時には公私混同もあるのではないかと思うこともしばしばであったが、そのようなことには少しも豚弱することはなかった。得意先訪問の土産物などは三越の最高級品であり、それも一つや二つではなく数種類が普通であった。
そんな流れの中で今でも忘れられないのは「囲碁」と「「歌」であった。お酒が入り、歌になると必ず裕次郎の「赤いハンカチ」を歌っていたその姿が今でも忘れられない。