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日々の泡盛(フランス編)

フランス在住、40代サラリーマンのどうってことない日常。

ペソアとリスボン(6)

2007-04-08 07:29:23 | 海外(フランス、スペイン以外)
ドゥラドーレス通りには相変わらずペソアが通いつめたレストラン、
「カサ・ペソア」が開いている。自分と同姓のこの店を、半ば面白がり
ながらペソアは通った(今日でも、リスボンの電話帳を覗くと、
20人以上のペソアさんがいることがわかる)。
《この手の中に世界全部を納めることができたとしても》とペソアは言う。
《それをドゥラドーレス通り行きの切符とためらわず交換してしまうだろう》
ペソアの生活や著書を通してリスボンの起伏の多い地勢が手にとるように
分かる。

数々の丘、くぼ地、テラス、袋小路。滝のようにテージョ川に
向かって落ち込む急傾斜、広々とした川岸。リスボンは長い間、帝政や
植民地主義の歴史を刻んできた。
今日、欧州連合の加盟と急速な都市開発によってリスボンは
夢うつつの中で、もう長いこと続いていた凋落から抜け出ようとしている。
しかし、無数の建設現場のカオスの中でも、リスボンにはまだ
ポルトガル人が「サウダージ」と呼ぶような一種独特な雰囲気が漂っている。

《テージョ川が好きだ。なぜならそこに流れ込むような大都市があるから。
バイシャのアパートの4階から見る青い空が好きだ。
どんな自然も、どんな田舎も、この静かな都会が見せる荘厳な雰囲気に
勝ることはない》
(GEO誌、ポルトガル特集号から)



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