日々の泡盛(フランス編)

フランス在住、40代サラリーマンのどうってことない日常。

彼女の亡霊

2009-07-19 00:58:24 | 西荻
午前中は大学院に行き今学期最後の授業を受ける。
国際政治経済の授業で、好きな質問をしていいというので
従属論と世界システム論について質問をする。質問ができるほど
あまり理解していないのだけれど。中心と周辺と半周辺が
あってそういう枠組みはまだ理論として今日、まだ優位なのかどうか。
とかそういうこと。でもいつもながら教授の答えはなんか僕の
期待しているものとちょっとずれてるんだよなあ。

そのあと自主的に勉強などし、夜9時半に新宿で待ち合わせし
高校時代からの親友と新宿西口に飲みに行く。立ち飲みとか
スペイン風バールとかいろいろ迷った挙句、結局
刺身が中心の日本料理(でもチェーンで安い)の居酒屋に行く。
僕のことを「鼻持ちならない」とか「かっこ悪い」とか
「常識知らず」とかいろいろ面と向かって批判してくれる友人は
彼しかいないので昔からの友人と言うのは貴重だと思う。

飲んだ後西荻に戻ってくるともう深夜12時10分前だった。そのまま
アパートに一人で帰るのも嫌な気がしたので、ぶらぶら南口の
盛り場というか居酒屋が集まっている界隈をどこか入るわけでもなく
ぶらぶらさまよった。深夜だけど、あちこち人が入って賑わっていた。
ふと昔西荻に住んでいた女の友人を思い出した。僕は荻窪に住んでいた
のだけど、よく西荻で会っては「ここのお店おいしいよ」と言っては
呑み屋とか定食屋を紹介してもらっては一緒に飲みに行っていたのだ。
何時間話しても厭きなくて、たいてい彼女とは夜中の2時や3時まで
語り合っていたっけ。いまや彼女はニューヨークに移住してしまい
実はもう7年ぐらい会っていないのだけれど。
西荻の南口の新しい居酒屋なんかの前を通るたびに、彼女がいたら
どんな風に言うだろう、なんて考えてみた。彼女がいたらまた
誘って明け方まで好きな話できるのになあ、なんて。
選挙のこととか、他人に理解してもらえないことの困難さとか、
本当に頭がいいということはどういうことか、とか三島由紀夫の小説のこととか
いろいろ好きなだけ話せるのになあ、なんて思ってしまった。
これは結局彼女の亡霊に向かって僕はコミュニケーションしようと
しているのだ。もちろん彼女は生きているけど、会えない意味では
亡霊と変わらない。

孤独な気持ちになって家に戻る。
ネットでひょんなことから大学生の頃よく聞いていた
ビリー・ジョエルのSO It GOESを聞く。
美しいバラードだ。聞いているうちに美しい風景が
浮かんできた。