く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<奈良市美術館> 開館10周年記念「奈良の学校」展

2013年09月28日 | 美術

【小・中学校に寄贈された書・絵画・彫刻や古写真など約150点】

 奈良市美術館(イトーヨーカドー奈良店5階)で27日、開館10周年を記念した「奈良の学校~古写真・美術品からみる学び舎のあゆみ」展が始まった。奈良市内の小・中学校に寄贈された書・絵画・彫刻や戦前の教科書、古い学校の白黒写真など合わせて約150点が並ぶ。10月6日まで。

   

  絵画の出品作は24点。森下喜文(よしふみ)の「雪後塔映」(写真㊧)は雪をかぶった三重塔を真ん中に据えたどっしりした構図。森下は1916年奈良市生まれで、東大寺や薬師寺、法隆寺などを中心に大和路の四季をテーマに描き続け、64年には第7回日展で特選を受賞している。他に雪が降りしきる「雪の社頭」と「夢殿」の2点も出品されている。

 出品作「佐保川」(写真㊨)を描いた辰巳文一は1928年奈良市生まれで、85年ごろから毎年渡欧し、冬から早春にかけての自然風景を詩情豊かに描き続けてきた。この緑豊かな「佐保川」も早春の景色だろうか。「鹿」など2点が出品されている西岡義一(1922~2010年)も奈良市生まれ。親鹿6頭のそばに小さな子鹿が1頭。その姿が愛らしい。

    

 京都で京都府画学校―京都市立絵画専門学校(現京都市立芸術大学)の出身者が京都画壇で重みを持つように、奈良では奈良師範学校(現奈良教育大学)出身の画家が多い。上記の森下も辰巳も西岡も奈良師範の卒業生。書道家で「漢詩富士山」(上の写真㊧)や「和敬」など4点が出品されている辻本史邑(1895~1957年)も同じ奈良師範の出身だ。

 辻本は多くの書家を育て、関西書壇の興隆に尽くした。「漢詩富士山」は江戸初期の漢詩人・石川丈山の作で、「白扇倒懸東海天(はくせんさかしまにかかるとうかいのてん)」と、富士山の雄大な姿を逆さまの白い扇にたとえた。書では元薬師寺管主・高田好胤(1924~98年)の「和敬」や元東大寺別当・平岡定海(1923~2011年)の「道」も出品されている。

 彫刻は全部で10点。その中には一刀彫奈良人形の中興の祖、森川杜園(1820~94年)の作といわれる「鹿」もある。悠然と座る雄鹿を刻んだ作品。2本の角は本物のようだ。太田昭夫(1930~88年)の「鹿」(上の写真㊨)も同じような作品だが、太い首が安定感と存在感を与えている。太田は雄鹿をテーマに多くの作品を残した。同じく「鹿」が出品されている竹林薫風(1903~84年)には「奈良の一刀彫」という著書もある。静的な鹿が多い中で、雄鹿が前脚を畳んでジャンプする一瞬を作品にした竹林信雄の「飛躍」も印象に残った。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする