く~にゃん雑記帳

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<唐招提寺> 鑑真和上1250年御遠忌記念シンポジウム

2013年09月29日 | メモ

【パネラーに東洋文化研究者アレックス・カーや舞踏家の麿赤兒ら】

 奈良市の唐招提寺僧房(重要文化財)で28日「鑑真和上1250年御遠忌記念シンポジウム」が開かれた。第2回奈良古典芸能フェスティバルの一環。パネラー(写真㊧から)の唐招提寺律宗宗務長の西山明彦氏、東洋文化研究者のアレックス・カー氏、舞踏家・俳優の麿赤兒氏、初代観光庁長官で首都大学東京教授の本保芳明氏の4人が、「日本の基層~奈良から学ぶこと、伝えること」をテーマに1時間半にわたって熱い討論を繰り広げた。

   

 まず西山氏は鑑真の伝えたかったこととして①不殺生=殺さない②不偸盗(ふちゅうとう)=盗まない③不邪淫=不倫をしない④不妄語=嘘をつかない⑤不飲酒=飲みすぎない――の〝五戒〟を挙げた。「鑑真は日本人に、世界に共通する倫理観を教えてくれ、同時に日本人の心の中に奈良という第二のふるさとをつくってくれた」。

 カー氏は京都を拠点に、NPO法人「篪庵(ちいおり)トラスト」理事長として日本伝統家屋の修築保存活動などに取り組む。「奈良には田園風景の中に1200年前の世界に誇る寺院が残っており、〝奈良では〟の深い神秘性がある。京都から奈良に来るたびに開放された思いがする」と話す。

 麿赤兒氏は舞踏カンパニー「大駱駝艦(だいらくだかん)」を主宰し、海外公演も積極的行って「BUTOH」を世界に売り込む。生まれは金沢だが、小学生の頃から奈良県桜井市で育ったこともあって「奈良をずっと〝体感〟してきた。奈良は1日中歩いていても飽きることがない」。最近のテクノロジーの進歩の中で「五感が摩滅していく恐怖をひしひしと感じている」という。

 本保氏は奈良時代の日本の推計人口約550万人を基に1人当たりGDP(国内総生産)を500~600ドルと推測する。「1人1日当たり1ドル以下の国が世界の最貧国といわれるが、奈良時代はそれに近い水準だった。それでも渡来人から真剣に学んで国造りに励んだ」。では現状は? 「経済水準は上がったものの、幸せを感じにくくなっている。その一因に謙虚に海外から学ぶという姿勢が乏しくなっていることもあるのではないか」。

 アレックス・カー氏も「鑑真の時代、日本は海外の知恵を積極的に取り入れた。まさに国際的な時代だった」と話す。奈良びいきのカー氏だが、奈良に来るたびに懸念していることもある。田園の中にプレハブの建物ができたり、目立つ看板が立ったり……。「奈良の田園風景や寺院・家並みのたたずまいは大きな財産。だが、環境はもろいもの。財産を積極的に守っていく体制をつくる必要がある」と指摘した。

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