く~にゃん雑記帳

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<阪神タイガース> 人気の秘密は? 「地域性・反東京・人間臭さに共感!」

2013年09月12日 | スポーツ

【大阪自由大学で講師の玉置通夫氏(元毎日新聞編集委員)】

 熱狂的なファン〝虎キチ〟に支えられ、今や巨人の本拠地・東京ドームでも巨人ファンと互角の動員数を見せる阪神タイガース。その人気はどこから来ているのか。プロ野球担当記者として長年阪神を見てきた元毎日新聞編集委員・玉置通夫氏が11日、大阪自由大学北浜教室で講演、「地域性に加え、東京の代表である巨人に対抗する反東京的な雰囲気、ここ一番に弱く〝ダメ虎〟といわれる人間臭さなどが人気の背景にあるのではないか」と分析した。

   

 玉置氏の講演は「タイガースって何だ!」と題した3回シリーズの最終回。1回目は「誕生秘話―巨人との因縁の歴史」、2回目は「電鉄本社との不思議な関係」、そして最終回は「なぜ熱狂させられるのか」のタイトルで講演した。玉置氏の著書に「甲子園球場物語」「これがタイガース」がある。

 阪神タイガースは巨人創設翌年の1936年に大阪タイガースとして誕生した。プロ野球が始まって以来、経営母体が1回も変わっていないのはこの2チームだけ。だが、優勝回数は巨人の43回に対し阪神はわずか9回。巨人のほぼ5分の1と、大きく水をあけられている。だが、年間の観客動員では今や巨人を凌駕しそうな勢いだ。

 人気の要因として玉置氏がまず挙げるのが「関西地区で巨人と常時対戦できる唯一のチームという地域性」。パリーグにはかつて在阪球団が南海、阪急、近鉄と3チームもあったが、セリーグは阪神だけ。「昭和25年(1950年)の2リーグ分裂の際、阪神はセ・パどちらにいくか悩んだが、その後の人気ぶりから見るとセリーグの選択は正しかったといえるのではないか」。

 次に「巨人との対比」が人気の鍵を解くヒントになると話す。「巨人は東京という風土を反映してスマートで官僚的な空気が漂い、チーム管理には定評がある。一方、阪神は政治に置き換えると党人的なムードが強く、選手などの情報管理がうまく機能していない部分がある」。

 阪神の電鉄本社と球団の間の多いトラブルについては「サラリーマン社会の投影であり、社会的な話題になることで球団とファンの距離も濃密になっていくのではないか」と指摘する。阪神―巨人間のトレードは1979年の江川・小林の電撃トレード以外、ほとんどない。「その点からも両チームが互いを意識しているのは間違いない」。

 試合運びも対照的。巨人には勝負に対するソツのなさがあるが、阪神はここ一番にもろいところがある。今季も伝統の一戦は終盤2カードで1勝5敗と振るわず、対巨人戦の今季負け越しが決まった。玉置氏は「野球は人生の縮図ともいわれるが、その典型的な事例が阪神ではないか」と話す。「失敗も多いが、たまにはいいところも見せる〝人間臭さ〟が共感を呼ぶ。失敗のない優等生よりも、よく失敗するが面白みのある人間のほうが気になりやすいもので、そこにファンの深情け心理が働くのではないか」。

 阪神も来年で球団創設から77年目。「人間でいうと喜寿に当たる。それだけに、もう少しふんどしを締め直してやれと言いたい。大相撲に例えるなら稀勢の里と同じように、土壇場にいるつもりで1戦1戦、全力を尽くしてほしい」。玉置氏はこう結んだ。

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