く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ナツズイセン(夏水仙)> 花茎の先にユリに似たあでやかなピンクの花

2013年09月03日 | 花の四季

【彼岸花の仲間、「裸百合」「傾城花」の異名も】

 細長い葉が水仙に似て、夏に花を付けることから「夏水仙」の名がある。しかしスイセンの仲間ではなく、ヒガンバナ科の植物でヒガンバナやキツネノカミソリと同じ仲間。本州以西の人里に近い山野や草地、土手などに自生する。花期は8~9月頃。葉が枯れた後、長さ50~60cmの花茎をすくっと伸ばし、その先端にユリに似た淡紅色の花を5~7輪ほど付ける。

 もともとの原産地は中国とみられ、古く日本に渡ってきて野生化した帰化植物といわれる。ヒガンバナと同じように何もない地面からいきなり茎と花が現れることから「ハダカユリ(裸百合)」の別名を持つ。忘れた頃に突然花が咲くため、地方によっては「ワスレグサ(忘れ草)」とも呼ばれる。海外ではその不思議な花姿から「マジックリリー」の名前が付いているそうだ。

 江戸時代の植物学者、貝原益軒は「花譜」(1698年)の中で「鉄色箭(なつすいせん)」として「花あるとき、葉なし。花尤下品なり」と紹介している。薄いピンク花には色香とともに気品も漂うが、益軒には品がない花に見えたようだ。「ケイセイバナ(傾城花)」という異名もある。傾城(けいせい)はもともと中国の故事から出た絶世の美女を形容する言葉。ただ日本では近世、高級の公娼(遊女)の別称としても使われた。

 ヒガンバナ同様、球根にはアルカロイド系のリコリン、ガランタミンなどの有毒成分を含む。誤って食べると嘔吐や下痢などの食中毒症状を生じ、ひどくなると痙攣を起こし死に至ることもある。一方、球根をすりつぶして腫れ物の患部に塗ると効き目があるという。ガランタミンはアルツハイマー型認知症の進行抑制効果があることでも知られる。「花かざし夏水仙の独り立ち」(沢木欣一)。

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