く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<大和文華館> 特別企画展「水墨画名品展」 国宝2点含む50点

2013年09月26日 | 美術

【中国・朝鮮・日本の逸品一堂に、雪村や鉄斎も】

 奈良市の大和文華館で「水墨画名品展」(10月6日まで)が開かれている。同館所蔵の名品に加え九州国立博物館蔵の3点も加え計50点。その中には国宝2点、重要文化財8点も含まれる。中国・朝鮮の水墨画に、日本の初期水墨画を代表する可翁、室町時代に活躍した雪村周継、江戸時代の尾形乾山、円山応挙、渡辺南岳、そして明治・大正の富岡鉄斎……。同館の水墨画コレクションの厚みを改めて実感させる企画展になっている。

 

 国宝の1つ、李迪筆「雪中帰牧図」(上の写真㊧)は会場に入ってすぐ右手に飾られている。李迪は中国・南宋時代(12世紀)の宮廷画家。雪の中、牧童がキジを杖の先にぶら下げて牛に乗って帰る姿を描く。もう1つは九博蔵の狩野正信筆「周茂叔愛蓮図」(写真㊨=部分)。正信は狩野派の祖で、室町8代将軍足利義政の御用絵師を務めた。湖面に張り出した柳の下に1艘の小舟が浮かぶ。

 小舟に乗っているのは中国・北宋時代の儒学者で宋学の開祖といわれる周茂叔。「愛蓮説」を著し蓮をこよなく愛したという。この「周茂叔愛蓮図」は中国で「四愛図」の1つといわれ、「陶淵明愛菊図」「林和靖愛梅図」「黄山谷愛蘭図」とともによく描かれるそうだ。狩野正信の長男、元信筆と伝わる「奔湍図」と「瀑布図」も出品されている。

   

 雪村の「呂洞賓図」(写真㊧=部分)は仙人が龍に乗り両手を広げて、龍が舞う天空を見上げる構図。衣装などの太くて濃い輪郭と顔の眉やあごひげの繊細な線の対照が際立つ。雪村は武家出身の画僧で、雪舟に私淑し、神仙図や花鳥、山水図を得意とした。「花鳥図屏風」は右隻に早春の朝、左隻に夏の夜景を描いた。動きのある水鳥を配したダイナミックな構図が目を引く。雪村のこれら作品2点はいずれも重要文化財。

 朝鮮王朝時代中期の士人画家、李継祜の「葡萄図」(写真㊥)は墨の濃淡でブドウの実の立体感を表した。画面いっぱいを使った躍動的な枝ぶりにも生命感がみなぎる。可翁の「竹雀図」(写真㊨=部分)は1羽の雀が右斜め上の笹の葉を見上げる構図。右半分はその笹以外に何も描かれておらず、その空白によって一層静寂感が漂う。

 円山応挙の「鱈図」はあんぐり口を開いたタラの全身を描いた横長の絵。応挙の高弟、長沢芦雪はこの図を縦位置にした「鱈図」を描いた(和歌山県串本町の無量寺所蔵)。渡辺南岳の「殿様蛙行列図屏風」はトノサマガエルにちなむもので、なんとも愉快な屏風絵だ。南岳も応門十哲の1人。

 俵屋宗達の「桜図」、尾形光琳の「雪舟写山水図」、光琳の弟・尾形乾山の「春柳図」「武蔵野隅田川図乱箱」「光琳筆銹絵菊図角皿」、伊藤若冲の「釣瓶に鶏図」、富岡鉄斎の「観音菩薩図」「山荘風雨図」、菱田春草の「晩秋図」なども並ぶ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする