く~にゃん雑記帳

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<ムジークフェストなら⑥> ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団

2013年06月29日 | 音楽

【ベートーベン「運命」、メンデルスゾーン「バイオリン協奏曲」】

 1870年創立のドイツの名門オーケストラ、ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏会が28日、奈良県文化会館国際ホールで開かれた。曲目はベートーベンの「エグモント序曲」、メンデルスゾーンの「バイオリン協奏曲」(ソリスト川久保賜紀)、ベートーベンの「交響曲第5番運命」。3曲とも深みのある重厚な演奏で、長い歴史と伝統の中で培われた、まさに〝いぶし銀の響き〟だった。

  

 ドレスデンフィルの来日は2008年以来。この間、2011年にも来日の予定だったが、東日本大震災の影響で中止になっていた。指揮はミヒャエル・ザンデルリンク(46)。ドイツ音楽の巨匠といわれたクルト・ザンデルリンクを父に持つ。もともとはチェリストだが、2001年に指揮活動を始めて徐々に頭角を現し、11年にドレスデンフィルの首席指揮者に就任した。

 弦楽器の配置が通常のオーケストラとは違っていて目を引いた。舞台に向かって左側から第1バイオリン、チェロ、ビオラ、第2バイオリンと並び、コントラバスは左手のチェロの後ろに位置していた。ザンデルリンクが就任してから配置替えしたのだろうか、それともこれがドレスデンフィルの伝統なのだろうか。

 1曲目「エグモント序曲」は約200年前の1810年の完成・初演。最後の曲目「運命」の2年後に作曲された。オーケストラの全奏に続いて力強い弦の響き、そして優しい木管の音色。長身のザンデルリンクがダイナミックな指揮で重厚な〝ドレスデン・サウンド〟を引き出す。オープニングにふさわしい渾身の名演奏だった。

 続くメンデルスゾーン協奏曲のソリスト・川久保賜紀は1979年、米ロサンゼルス生まれ。2001年パブロ・サラサーテ国際バイオリンコンクール1位、02年チャイコフスキー国際コンクール最高位(1位なしの2位)。この日もその実力を証明するように、高度な技巧と豊かな情感で3大バイオリン協奏曲の1つといわれる名曲を弾きこなした。とりわけカデンツァの切々とした繊細な響きにはため息が出た。

 休憩を挟んで「運命」。最初の「ダダダ・ダーン」のスピードが注目されたが、速く歯切れのいい出だしだった。激しく緊張感がみなぎる第1楽章に続いて、第2楽章では一転、弦がゆったりと豊かな響きを奏でる。第3楽章ではチェロとコントラバスの力強い演奏が印象的だった。第4楽章は「これぞ、まさしくドレスデン・サウンド」と思わせる深い響きで締めくくった。3曲を通して、ピアニッシモから一気にフォルテッシモに持っていく演奏技術とザンデルリンクの指揮ぶりも感動的だった。アンコール曲はベートーベンの「ロンド・カプリッチョ〝失われた小銭への怒り〟」。

 ドレスデンフィルはきょう29日、大阪のザ・シンフォニーホールでベートーベンの「交響曲第7番」とブラームスの「交響曲第1番」を演奏する。ザンデルリンクはすでに来年の来日も決まっており、読売日本交響楽団とNHK交響楽団を指揮する予定という

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