く~にゃん雑記帳

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<イトラン(糸蘭)> 颯爽とした花姿 青空に映えるベル状の白花

2013年06月21日 | 花の四季

【北米の乾燥地帯に自生、19世紀半ばに渡来】

 「ラン」と付くがラン科ではなく、通称「ユッカ」と総称されるキジカクシ科(旧リュウゼツラン科)イトラン属の常緑多年生植物。すくっと直立した花茎に、巨大なスズランのような釣鐘状の白い花を多数付ける。原産地は北米の乾燥地帯で、日本には江戸時代末期の19世紀半ばに渡来した。細長い葉の縁から白い繊維が剥がれ、ほつれて糸状に伸びる。そこから「糸蘭」の名が付いた。

 同じ仲間のユッカは米国南部からメキシコ、西インド諸島にかけて40種ほどが分布する。主なものにイトランより大型の「キミガヨラン」や「アツバキミガヨラン」、高さが4~6mにもなる「センジュラン」など。「キミガヨ(君が代)」は学名の「グロリオサ(栄光)」を「君が代」に関連づけて名付けられた。これらの多くはイトランよりやや遅れ、明治時代に入って渡ってきた。公園や欧風の庭園でよく見かけるが、最近は「メキシコチモラン」が観葉植物「青年の木」として流通するなど鉢物も多く出回る。

 イトランはユッカの中では小型で、幹がほとんどなく根元近くから葉を放射状に伸ばす。葉が剣状に尖っていることから、英名では「Adam's needle(アダムの針)」と呼ばれる。草丈は大きくなっても1mほど。6~8月、その中心部から高さ1~2mの花茎を伸ばす。ベル状の花は径5cmぐらいの6弁花。葉の両側に黄色の模様が入る〝斑(ふ)入りイトラン〟と呼ばれる園芸品種もある。

 イトランをはじめユッカの花は蛾(が)の1種ユッカガとの共生関係で知られる。花粉を体に付けた雌のユッカガは別のユッカの花に行って産卵し、同時にメシベに花粉を擦り付ける。受粉を手伝う代わりに、卵の成育場所として利用させてもらうわけだ。果実ができると、幼虫はその一部を餌として頂く。ただ、日本にはこのユッカガがいないため、果実を実らせるには人工授粉するしかないという。「ユッカ高し背高き乙女より高し」(赤城さかえ)。

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