く~にゃん雑記帳

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<吹奏楽A-Winds演奏会>40回記念委嘱作「SUKU-SUKU」熱演!

2013年06月24日 | 音楽

【前田恵実さん作曲、大和郡山のシンボル〝金魚〟をテーマに】

 奈良アマチュアウインドオーケストラ(A-Winds)の「第40回記念演奏会」が23日、やまと郡山城ホール(奈良県大和郡山市)で開かれた。今回の目玉は前田恵実さんが同吹奏楽団のために作曲した40回記念委嘱作品「SUKU-SUKU(スクスク)」。A-Windsの活動拠点になっている大和郡山の特産・金魚を題材にした作品で、従来の吹奏楽の枠に捉われない親しみやすい楽曲の〝世界初演〟に観客の拍手が鳴り止まなかった。

 作曲した前田さんは2007年、大阪音楽大学作曲学科を卒業し、同年の日本音楽コンクールで第3位。その後も日本交響楽振興財団作曲賞、武生作曲賞、JAF(日本作曲家協議会)作曲賞などで入選入賞を重ね、現代音楽からジャズまで幅広い分野の作編曲家として活動している。2011~12年はロームミュージックファンデーションの在外研究生としてパリに拠点を置いた。

 委嘱作品は今回の客演指揮者でもある井村誠貴氏の紹介で書き下ろしたもの。「ヤマト」と名付けた金魚を巡る物語を、美しく親しみやすい旋律と歯切れのいい旋律で組み立てている。ポイで掬(すく)われたヤマトは金魚鉢で飼われるが、飼い猫のしつこい攻撃を受け、ついには鉢ごと床に放り出される。だが、新しい水槽を与えられ、今は子どもたちと一緒にスクスク元気に――。「人生、何が幸いするか分からない。だから、どんなことでもプラスにしてやろうと前向きに生きてきた。金魚にもそんな思いを託した」。前田さんは演奏前、そう話していた。

 

 「SUKU-SUKU」は演奏会を締めくくる第2部の最後に演奏された。吹奏楽としては珍しくピアノの強打で始まった。続いて小鳥のさえずりのような水笛の音。木管・金管がゆったりした主旋律を奏でる。だが、次には一転、激しく速い演奏に。物語の筋に沿うように緩―急―緩―急……と続く。繰り返し出てくる優しい主旋律が印象に残る。吹奏楽にまさに新風を吹き込む感動的な作品だった。楽譜が出版されたら、多くの会場で繰り返し演奏されるに違いない。

 委嘱作の演奏に先立つプログラムは全曲、吹奏楽オリジナルで固めた。第1部は「ジュビリー序曲」(P.スパーク作曲)、「風紋」(保科洋)、「ロマネスク」(J.スウェアリンジェン)、そして「セント・アンソニー・ヴァリエーション」(W.ヒル)。最後の「セント・アンソニー……」は全日本吹奏楽コンクールの常連、奈良の天理高校が1980年に、作曲者の了解を得て編曲・演奏した〝天理バージョン〟が有名だが、この日もその天理版を採用した。

 第2部はジャズ風の要素を取り入れた「ウイークエンド・イン・ニューヨーク」(P.スパーク)、今夏のコンクール課題曲の1つ「エンターテインメント・マーチ」(川北栄樹)、次いで前田さんの「SUKU-SUKU」だった。アンコールは吹奏楽の人気曲「ディスコ・キッド」(東海林修)。A-Windsには8月のコンクールでもこの日のような伸びやかで軽快な演奏を披露し、ぜひ金賞を目指していただきたい。

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