【ピアノ・クラリネットの演奏+ピアフ代表曲の歌唱】
「エディット・ピアフのホームパーティー with プーランク、ミヨー、オネゲル」と題したコンサートが29日、奈良県文化会館(奈良市)で開かれた。フランスの国民的シャンソン歌手、エディット・ピアフ(1915~63)と同時代にパリを中心に活躍したクラシック作曲家の作品と、「ばら色の人生」などピアフの代表曲を同時に楽しんでもらおうという趣向。(写真㊧から)パトリック・ジグマノフスキー(ピアノ)、フローラン・エオー(クラリネット)、スブリーム(歌)の3人が出演した。
ピアフは大道芸人の子として生まれるが、母親に見捨てられ、売春宿を経営していた父方の祖母に預けられる。過酷な少女時代。その後、路上シンガーからクラブの歌い手を経て人気歌手に登り詰め、戦時中には反ナチのレジスタンスにも尽くした。だが、自動車事故や薬物中毒で苦しみ、がんを患って波瀾の人生を閉じた。享年47。今年はちょうど没後50年に当たる。ピアフの音楽は今も世界中で人気が高く、日本でも今春、2枚組みのベストアルバムが発売された。
コンサート前半は20世紀前半に活躍した〝フランス6人組〟の作品など計7曲が演奏された。ミヨー「ブラジルの女」、オネゲル「クラリネットとピアノのためのソナチネ」、プーランク「愛の小道―ワルツの調べ」、ストラビンスキー「クラリネットのための3つの小品」……。クラリネットの暗く沈潜した低音や陽気な高音など、表現の幅の広さを再認識させられる名演奏だった。
後半はワインや花束を載せたテーブルや真っ赤なソファ椅子がセットされ、タイトル通りホームパーティーのような雰囲気。ピアノとクラリネットの伴奏に乗せて、歌手スブリームがピアフの代表曲「パダム・パダム」「アコーディオン弾き」「パリの空の下」「ばら色の人生」などを披露した。スブリームは1985年から約10年間日本に滞在、この間、アコーディオンのcobaやトランペット奏者・作曲家の三宅純とも交流があったという。エオーはクラリネットを演奏しながら軽やかにタップダンスをする〝曲芸〟も見せてくれた。