【奈良県馬見丘陵公園館で展示中】
「な、なに? これ」。奈良県馬見丘陵公園(広陵町・河合町)の公園館に入ってすぐの所に、その奇妙な〝合体植物〟が並んでいた。葉がキャベツ、根は大根で、名付けて「キャベコン」。キャベツとコンビーフの炒め物料理「キャベコン」と同じ名前が付けられている。
説明書きで作り方を紹介していた。「本葉が出始める小さな時期に、お互いに水平に切り、大根を下に、キャベツを上に載せて接ぎ木したもの」。大根が台木、キャベツが接ぎ穂というわけだ。合体後、ビニールで密閉して真っ暗にし、少しずつ外気に慣らしていくと10日ぐらいで活着する。だが、成功率は10%以下という。「キャベコン」を作り出す技術はもともとキャベツの根こぶ病対策として、病気に強い大根に着目して開発された。
「このようなことができるのは同じアブラナ科植物だから」とも書かれていた。ということは、大根やカブ、ハクサイ、ブロッコリー、カリフラワーなどとの組み合わせも可能ということ? キャベツ抽出成分を利用した「キャベジンコーワ」という胃腸薬があるけど、キャベツを科が違うニンジン(セリ科)に接ぎ木して「キャベジン」を作るのは無理ということ?
公園館の担当者によると「キャベコン」は大根、キャベツそれぞれの味がするが、市販のものに比べると「とてもかなわない」そうだ。しかも接ぎ木などに手間ひまがかかる。このため市場で流通することはまず考えられないという。仮に品質が良くなって大量栽培に成功したとしよう。でも、合体したままの姿で野菜売り場に並ぶ光景は、想像するだけでもぞっとするなあ。