く~にゃん雑記帳

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<平山郁夫展> 生涯尽力した文化遺産保護活動にもスポット!

2013年06月12日 | 美術

【龍谷大学龍谷ミュージアムで30日まで開催】

 日本文化の源流〝仏教の来た道〟をたどりながら数々の作品を残す一方、ユネスコ親善大使としてアフガニスタンなどでの文化遺産保護活動に取り組んだ平山郁夫画伯(1930~2009)。その画業や保護活動を振り返る特別展「平山郁夫 悠久のシルクロード」(30日まで)が京都市の龍谷大学龍谷ミュージアムで開かれている。

  

 中学3年生の時、広島で学徒勤労動員中に被爆した平山画伯は、平和を願う作品の第1作として「仏教伝来」を描き1959年の院展で発表した。その後、60年代半ばからシルクロードをはじめ世界各地を取材旅行した。第1章「釈迦の生涯」と第2章「シルクロードから日本へ」ではそうした中で想を得た「仏伝シリーズ」や「大シルクロードシリーズ」などの作品29点を展示している。「受胎霊夢」(写真㊤)は日本芸術院賞受賞作で、摩耶夫人が釈迦を身ごもった際、白い象が下りてきたという仏伝に基づく。

 

 平山画伯はラクダのキャラバン隊も多く描いた。「この宝物類(正倉院)の多くは、遣唐使節によって長安の都からもたらされたものだが、生産地はインド、ペルシャ、シルクロードのオアシスの国々などで、いずれもらくだのキャラバンによって、砂漠のシルクロードを渡って運ばれたものである」(「日本のこころ<地の巻>私の好きな人」から)と、キャラバン隊への熱い思いを書き残している。今回も「絲綢(しちゅう)の路 パミール高原を行く」(写真㊤)や「シルクロードを行くキャラバン」などの大作が出品されている。

     

 2001年、アフガニスタンの世界遺産バーミアン渓谷の古代遺跡群が武装勢力タリバンによって爆破された。今展にはその報を聞いて急遽、絵筆を執った「バーミアン大石仏を偲ぶ」と、その翌年ユネスコ調査団に同行して描いた「破壊されたバーミアン大石仏」(写真㊧)が出ている。石仏修復の話もあったが、平山画伯は人類の愚かさを伝える〝負の遺産〟として現状のまま保存するよう提言したという。取材旅行には必ず美知子夫人も同行した。その夫人の「取材ノート」も同時に展示されている。夫人は東京美術学校(現東京芸大美術学部)の同級生で、現在「平山郁夫シルクロード美術館」の館長を務める。

 第3章「ガンダーラの美術と東西文化の融合」と第4章「コインに見るシルクロードの歴史」の展示物は、夫妻が40年間にわたって収集した同美術館のコレクションの一部(写真㊨はガンダーラ出土の3世紀頃の「仏陀坐像」)。第5章「文化遺産の保護活動」では「流出文化財保護日本委員会」が保管する仏像や壁画など十数点が並ぶ。内戦が続くアフガニスタンで多くの文化財が略奪され流出することを憂えた平山画伯は、生前「文化財赤十字構想」を提唱し世界各国に文化財受け入れを働きかけた。その多くが現在日本で保管されており、治安が回復したらアフガニスタンに返還される予定という。

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