く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ムジークフェストなら⑤> 「DUO YKEDA ピアノ四手連弾」

2013年06月28日 | 音楽

【優しく、時に激しく〝ピアノとダンス〟】

 27日午後7時から奈良市の「なら100年会館」で「DUO YKEDA(デュオイケダ)ピアノ四手連弾 DANCING with PIANO!」があった。パリ国立高等音楽院在学中に知り合ったパトリック・ジグマノフスキーと池田珠代の男女デュオは今年ちょうど結成20周年。フランスで最も活躍する連弾デュオとして知られ、毎年、世界各地の音楽祭にも招待されている。この日はアンコール2曲も含め9曲を披露、時に優しく、時に激しく弾き手を交差させながら息の合ったところを見せた。

   

  ジグマノフスキーは世界的に活躍するピアニスト。2002年には音楽監督を務め自らも出演する「ボルドー音楽祭」を立ち上げた。12回目の今夏も世界各国から一流音楽家が集まるという。現在、パリのエコールノルマル音楽院教授、大阪音大客員教授を務める。池田は桐朋女子高ピアノ科を経て1989年に渡仏。プーランク国際ピアノコンクール大賞第一位など数々の国際コンクールで受賞し、ソロ奏者としても活動している。

 前半のプログラムはフランスの作曲家の作品で固めた。ラヴェル「スペイン狂詩曲」は静かに4音が反復する1曲目と激しく終わる4曲目が圧巻だった。シャブリエ「狂詩曲スペイン」も一糸の乱れもない力演だった。この他にサン=サーンス「英雄行進曲」とプーランク「ピアノ連弾ソナタ」。演奏が終わるたび、高音部を弾く池田が出来栄えを確かめるように相方に向かって微笑む姿が印象的だった。

 後半1曲目「スラブ舞曲」はドヴォルザークが親交のあったブラームスの「ハンガリー舞曲」を意識しながら作ったもので、まずピアノ連弾用として書き上げた。管弦楽用と同じく強打で始まる躍動的な舞曲の後、叙情的な美しい旋律が続く。スメタナの「モルダウ」もスメタナ本人が連弾のために書いた。雄大な川の流れが目に浮かぶような、呼吸の合った演奏だった。次いでラヴェルの「ラ・ヴァルス」。アンコールのハチャトリアン「剣の舞」では初めてジグマノフスキーが高音部を担当した。

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<ムジークフェストなら④> 「ハーモニーは蓮のはなびら~トリオとカルテット」

2013年06月28日 | 音楽

【フルート・バイオリン・ビオラ・チェロの三重奏と四重奏】

 27日午後1時半から奈良市の「東大寺 金鐘ホール」で開かれた。フルートの太田里子、バイオリンの伊左治道生、ビオラの坂本卓也、チェロの野田祐子の4人(写真㊧から)がベートーベン、モーツァルト、シューベルトの作品5曲(アンコール曲を含む)を演奏、楽器同士が〝対話〟する室内楽の楽しさを満喫させてくれた。

    

 特に印象に残ったのはモーツァルト「フルート四重奏曲第1番」。モーツァルトが作ったフルート四重奏曲4曲の中で最も華やかで有名な楽曲ということもあるが、演奏4曲目ということで4人の呼吸がうまくかみ合ったように感じた。とりわけ第2楽章の弦のピッチカートの歯切れの良さとフルートの優美な演奏は聴きごたえがあった。2曲目には同じモーツァルトの「フルート四重奏曲第3番」も披露した。

 1曲目はベートーベンの「フルート、バイオリンとビオラのためのセレナーデ ニ長調」、3曲目は「めったに演奏されることがない」というバイオリン・ビオラ・チェロによるシューベルトの「弦楽三重奏曲第1番」。第2番は1~4楽章が完全な形で残っているが、この第1番は第1楽章だけしかない未完の作品。未完といえば未完成交響曲が有名だが、シューベルトには途中で放棄した作品がこのほかにも結構あるそうだ。アンコールはモーツァルトの声楽曲「アヴェ・ヴェルム・コルプス」だった。

 演奏前にはフルートの太田里子が曲目の解説をしてくれたが、モーツァルトのフルート四重奏曲にまつわる話は興味深かった。「マンハイム旅行中に富豪から依頼されて作曲に取り掛かったものの、なかなかはかどらず結局、報酬を半分に削られた。作曲が進まなかったのは当時、ウェーバーに対する恋の悩みがあったから」。ウェーバーは作曲家ウェーバーの従姉で、後に結婚するコンスタンツェの姉でもあった。

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