く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ホトトギス(杜鵑草)> 白に紫の斑点 野鳥ホトトギスの胸の模様にちなみ

2012年10月20日 | 花の四季

【日本には10種余自生、多くが絶滅危惧種に】 

 ユリ科ホトトギス科の多年草。花は白地に紅紫色の斑点が入り、野鳥のホトトギスの胸毛の模様に似ていることから、鳥と同じホトトギスの名がついた。ただ「杜鵑」とすると鳥か植物か紛らわしいことから漢字表記は「杜鵑草」に。ちなみに「杜鵑花(とけんか)」はツツジ科のサツキのこと。ホトトギスが鳴く頃に咲くことから、この字が当てられている。

 ホトトギス科は東アジアからインドにかけ約20種が分布するが、そのうち10種余りが日本に自生している。ヤマジノホトトギスは花姿が最もホトトギスに似ており、ヤマホトトギスは花片が反り返って咲くのが特徴。タイワンホトトギスは沖縄・西表島と台湾に自生する。タマガワホトトギスは夏咲きの黄花、チャボホトトギスは草丈が低い矮性種。キバナノツキヌキホトトギスは宮崎県・尾鈴山、タカクマホトトギスは鹿児島県・高隈山に自生する。ホトトギスの仲間の多くは花を上向きにつけるが、ジョウロウホトトギスは半開の黄花を懸崖状に下向きにつける。タイワン、キバナノツキヌキ、ジョウロウはいずれも環境省のレッドリストに絶滅危惧種として掲載されている。

 タマガワホトトギスは京都府井手町の玉川の地名にちなむ。玉川はヤマブキの名所。奈良時代に活躍した左大臣、橘諸兄が玉川の堤にヤマブキを植樹したという。タマガワホトトギスの花の黄色をそのヤマブキに重ね合わせて玉川の名を借用した。ジョウロウホトトギスは1887年に高知県横倉山で発見され、牧野富太郎博士が上品な美しさから上臈(宮中の女官)にたとえて命名した。ジョウロウホトトギスには頭にキイ(紀伊)、スルガ(駿河)、サガミ(相模)の地名を冠したものもあるが、これらも絶滅危惧種。

 キイジョウロウホトトギスは主に和歌山県の熊野地方に自生する。乱獲などで野生種が激減していたが、住民の手による長年の保護・栽培活動が実り、今ではすさみ町佐本では集落の至る所で目にすることができるまでに。住民の1人が40年ほど前、道路脇に捨てられていた数本の苗を持ち帰って、自宅の石垣に植えたのが始まりという。佐本は「キイジョウロウホトトギスの里」として売り出し中で、花の最盛期にはホトトギス祭りも開かれる。昨年は台風の影響で中止になったが、今年は今月6~7日に行われ多くの草花愛好家でにぎわった。

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