【初めての110番、「事件性はないですね」とお巡りさん】
1日中家から一歩も出ていないことに気づき、運動がてらに夕方になって散歩に出かけた。昨日22日のこと。しばらく歩くと、右手にスーバー銭湯の駐車場、左側は幅2mほどの用水路。その水路の向こうの土手をふと見ると、何か光るものが……。包丁だ! 周りを見回すと、その下にも、あっちにも。少なくとも3本あった。車がすれ違うのもやっとという狭い道路だが、結構人も車もよく通る所。そのそばになんで包丁が散らばっているの? それこそ「アンビリバボー!」。
物騒~。写真を撮った後、携帯に登録している最寄りの交番に電話した。が、呼び出し音が長く続いた後、ファクス案内のような音。切ると通話料20円の表示。(えっ、有料なの~)。仕方なしに110番。119番は何回か掛けたことがあるが110番は初体験。「緊急通報電話です。何がありました?」。「包丁がいくつも落ちているんです。場所はスーパー銭湯の……」「そばに2階建ての△△マンションがありますね。すぐ向かいますので、気づいたら手を振って知らせてください」(さっすが~。携帯でかけると、その場所をすぐ特定できるんだ!)
110番したのは午後5時半。目の前を何台もの車が通りすぎるが、パトカーはなかなかやって来ない。(こんな時、パトカーはサイレンを鳴らして来るのかなあ? いや、そんな大げさなことはしないだろう) 時計を見ると5時45分すぎ。すでに15分たっている。念のためにもう1回110番すると「××署からまだ来てませんか」。そこにちょうどやって来た。優に100キロはありそうな恰幅のいいお巡りさん。しかもパトカーじゃなく、銀行員や郵便局員が乗るのと同じような2輪車だった。
辺りはもうすっかり暗くなっていた。お巡りさんは私が指さす方向に懐中電灯を向けながら周りを見渡す。「草を刈り取ったら(誰かが捨てた包丁が)出てきたんでしょう。そばの草を刈るともっと出てくるかもしれないですね。事件性はないようですが、危ないので回収しておきます」。
そう言えば、周りには背丈の高いススキなどが生い茂っていたが、その場所は刈り取られていた。(さっすが~、お巡りさんは判断が速い!)「ではお願いします」と散歩の続き。だが、しばらく歩いたところで「あれっ」と気づいた。草刈りをした時に見つかった包丁を、そのままにしておく人が果たしているだろうか。
用水路は幅が2mほどあるうえ壁面の高さも1.5mほどある。しかも土手はかなりの急勾配。お相撲さんのようなあのお巡りさんは、どんなふうにして包丁を回収するのだろうか。そんなことを考えながら、30分後の6時15分ごろ、再び現場近くを通りかかった。お巡りさんと2輪車の姿はもうなかった。(さっすが~、手際がいいなあ!)
と、水路の向こう側を目を凝らして見ると、鈍く光るものがあった! 包丁は3本とも最初に見つけた時と寸分も移動していなかった。お巡りさんは多分、水路を渡る道具を調達するため警察署にいったん戻ったのだろう。それとも夜が明け明るくなってから、取りに来ることにしたのだろうか。いや、凶器にもなる物騒なものをやりっ放しにしておくはずがない。つい最近にもJR博多駅で包丁通り魔事件が起きたばかりだし……。昨晩は遅くまで包丁の〝その後〟が気になって落ち着かなかった。