【15大学が美術品や歴史資料など自慢の〝お宝〟を合同で公開!】
京都には大学が多い。各大学には美術館や博物館、資料館などミュージアムが併設されている。だが一般の美術館などと違って、その活動内容はなかなか市民の目に触れにくい。それなら〝お宝〟を持ち寄って合同で展覧会を開こう――。と、「大学のまち」京都ならではの催しが3日、京都大学総合博物館で開幕した。題して「大学は宝箱! ―京の大学ミュージアム収蔵品展―」。15大学がミュージアムの収蔵品の中から、選りすぐった自慢の文化遺産を出展している。会期は11月25日まで。
会場は京大総合博物館の2階。まず「京都の姿」をテーマに京都にまつわる資料、次に「祈る」「記す」「創る」「暮らし」「住まう」の5つのテーマごとに展示している。展示数は約150点。それに加え、各ミュージアムを象徴する目玉の収蔵品を「大学の宝物」として期間限定で会期中、順番に公開していく。
「大学の宝物」にはまず3大学が出展しているが、この中で目を引いたのが京都教育大学出展の古代エジプト時代の「ミイラ」。右手、左下肢など3点で、貿易商としてエジプトに滞在していた父を持つ師範学校の学生から1939年に寄贈を受けた。保存状態が良好な左下肢(紀元前831~796年)から身長約153cmの女性と推測されるという。大谷大学出展の「皇太子聖徳奉讃」は親鸞直筆。聖徳太子を讃えて83歳の時に制作した和讃で、親鸞の太子信仰の深さを表す。
京大の「御土居絵図」は江戸時代、京都の中心部を囲んでいた御土居の詳細な絵図。管理を任されていた角倉家が1702年、高さ・厚み・距離を詳細に測量して作製した。京大出展の「寛永3年将軍上洛絵巻」は1626年、3代将軍家光が父秀忠と京都にやって来た時の行列を描いたもの。将軍を乗せた牛車などがカラフルに描かれ、華やかな衣装が往時の風俗を伝える。同じく京大の「キリシタン宗制札」(1682年)はキリシタンを告発した者に賞金を与えることを知らせる定め書き。
花園大学の「墨蹟・親」は臨済宗中興の祖といわれる白隠彗鶴(1685~1768)の作で、書画を通して庶民教化を行った白隠の代表作。力強い太字の「親」の上に「孝行するほど子孫も繁盛 おやは浮世の福田じゃ」。同志社大学の「近世土人形」は構内から大量に出土した小さな人形や動物などで、江戸時代に「伏見人形」として縁起物や玩具類として出回っていた。京都市立芸術大学出展の丸岡比呂史(1892~1966)作の屏風絵「路次の細道」や京都工芸繊維大学の「十種香皆具(競馬香具付)」にも見入ってしまった。
展示物の中で「ギョ!」とさせられたのが立命館大学の国際平和ミュージアムが出展した「陶器製地雷と手榴弾」。地雷は信楽焼で、昭和18~19年に開発され終戦まで製造された。陶製のため地雷探知機でも検出されなかったという。手榴弾は清水焼で京都・五条坂で製造されたもの。信楽焼などの焼き物が爆弾などに転用されていたことに驚くばかり。京教大出展のギターのような南米の民族楽器「チャランゴ」(ペルー製)には、胴になんとアルマジロの甲羅が張り付いていた!