経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

キシノミクス・底打ちとなるのか

2024年07月01日 | 経済(主なもの)
 5月の景気ウォッチャーが悪かったので、どうなるかと思っていたら、商業動態、鉱工業とも、意外に良かった。確かに、物価上昇はきついが、主観的な見方ほどではないということかもしれない。また、回復には偏りがあるためでもあろう。世論的には、日本人らしく「何をやってもムダ」という受け止めであるが、再分配は、それなり効くものなので、底打ちをもたらすことになるか興味深い。

………
 5月の商業動態・小売業は、前月比+1.9と高めの伸びであり、水準的にも8か月ぶりの更新となった。もっとも、CPIの財が+1.0もあったので、実質的には+0.8まで下がり、水準も横ばいだが、物価高に消費がついて行っている形なので、悪くはない。牽引したのは、自動車で、生産の回復が背景にある。他方、飲食料品は物価高のせいか振るわず、こうした偏りが主観に響いている。なお、5月は卸売が2か月連続で大きく伸びている。

 5月の鉱工業生産は、前月比+2.8となり、ズルズル下がってきたものが底打ちした形になった。自動車の貢献は大きいものの、資本財(除く輸送機械)、建設財、消費財という範囲で見ても、この順の強さで、底打ちは見られる。ただし、6,7月の生産予測は、-4.8、+3.8と、いったん下がって、また戻すという動きで、横ばいの見通しだ。中でも、消費財は下向きにまでなっており、ここがどのくらい持ちこたえるかがカギだ。

 雇用は、5月の労働力調査で、就業者が前月比+10万人、雇用者が+8万人と、2か月ぶりのプラスではあるものの、横ばいの範囲だ。昨年まで、女性は順調に伸びていたのに、今年に入って横ばいが続く、平常時で、こうした傾向は気になるところだ。5月の新規求人倍率は、前月比-0.01の2.16倍とほぼ横ばいではあるが、前月の大きな落ち込みの後で、かなり弱い。水準は2年半ぶりの低さだ。

  6月のCPI都区部は、総合が前月比+0.3、財が+0.5と高い。特に、財は前月の+1.0に続くもので、4-6月期の前期比は+1.7にもなっていて、重たく感じられると思う。前年同月比では、生鮮以外の食料品は、前月に続き、加速しているし、サービスも、高校無償化の影響で低く目に出ているが、外食も家賃も着実に上がっている。物価高の苦しさは、電ガスだけでなく、こういうところも反映している。

(図)


………
 岸田政権は、物価高対策として、電気代の補助を復活させ、再び低所得者への給付も行うようである。施策の方向としては悪くないのだが、評判が今一つなのは、一度やめて戻すという場当たりさもさることながら、再分配には物語が必要ということだろう。金利ある世界とは、インフレであり、税収も上がる。再分配も不可欠の政策になるが、どこにも構想力がないというのがこの国である。 


(今日までの日経)
 経済政策、支持つながらず 本社世論調査。高圧経済阻む人手不足。


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