JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

帯鋼エレメント

2010年11月15日 | J型アンテナ
 性能、設営のしやすさなど山岳移動用として、当局にとって最も使用頻度の高いJ型アンテナ。多少トップヘビーの構造だったこともあり、強風に煽られると、かなりの力が加わるようで、エレメント部分の「曲がり」が気になってきました。製作から2年。思えば幾多の試練に耐え、苦楽を共にしてきました。ある時は雨まじりの突風、三脚ごと倒れてしまったことも一度や二度ではありません。曲がったエレメントを見るにつけ、「苦労かけたね」と浪花節的感傷がこみ上げてきます・・冗談。


 そんなわけで、エレメント部分をリニューアルすることにしました。差し込み式になっているので、マッチング部はそのまま使います。これまで通り銅パイプのみで作れば、性能が再現できるわけですが、トップヘビーは改善されません。そこで、ハムフェアで入手した「帯鋼」というのを使ってみることにしました。ゼンマイのバネの材料。たいへんしなやかで、緩く曲げても元に戻ります。直角に曲げてしまうとポキッと折れやすくなってしまいます。当初、エレメント部分のすべてを帯鋼にしようと考えていたのですが、実際1mの長さに切ってみると、しなりすぎて直立しません。直立可能なのはせいぜい50cm。ということで、下部は直径3mmの銅パイプ、上部のみ帯鋼としました。

 今回は工作という程のこともありません。
・マッチング部に差し込むための3mm銅パイプ46cmを用意(下部エレメント)。
・下から4センチと上から1センチのところに同軸芯線を巻いてハンダ付けしておく(ストッパー)
・直径4mm銅パイプ10cmを用意。
・銅パイプの先端を少しつぶして52センチ長さの帯鋼を差し込みハンダ付けする(上部エレメント)
・これを下部エレメントに被せてつなぐ。


ストッパー

4mm銅パイプ先端に帯鋼を差込みハンダ付け

2分割エレメント

上下接続状態


 4mmの銅パイプは下部エレメントと上部エレメントの単なる「継ぎ手」なので、10センチでなく、もっと短くても良いのですが、手袋をしたままでも扱いやすいこと、雪上に落とした場合に見つけやすいなど、山で使うことを考えてこの長さにしました。




《調整》
 J型アンテナの基本構造は、1/2λのホイップです。したがって長さは約1m。このエレメント(ラジエーター)の下端から給電してやります。そのためのマッチング回路がU型の部分。合わせると約1.5mのJ型となります(カテゴリー過去記事参照ください)。さて、上記のままの寸法で共振点は144.00MHz付近、SWRは1.2。予想通り共振点が下にありましたので、上部エレメントを少しづつ切り詰めて中心を145MHz付近に持っていきました。組み立てた状態でのエレメント部は101cmです(差し込み部分を除く)。SWRは144.5MHzから145.5MHzまで1.1~1.2と良好。ちなみにこれまでの銅パイプエレメントに替えてみたところ、ほぼ、同じ波形となりました。






《使用感》
 銅パイプのみに比べて軽くなり、トップヘビーはある程度解消されました。風でよくしなり、風がなければ直立状態を保ちます。


帯鋼エレメント部分をうまく写せませんでした・・・


 ホーム近くの愛宕神社(太白区)にて散歩を兼ねて実験してみました。この日は休日なのに静かで、あまり聞こえてきません。弱めの信号をとらえて、これまでの銅パイプエレメントと帯鋼エレメントを取り替えながら聞き比べをしました。その結果は、特に違いは感じられず、同じ性能と感じました。また、形状がその名の通り帯状になっているため、平面部を向けた場合と断面部を向けた場合で違いがあるかも比べてみました。こちらも特に差はみられませんでした。八木アンテナなどにこの材料を使う場合、平面部を合わせるのか断面部を合わせるのか悩むところですが、特に考える必要はなさそうです。

 交信は、市内のOMと1局のみ、問題なしとのレポートをいただきました。「しなり」が大きい分、了解度にそのまま影響が出るというわけでもないようです。もっとも山の強風は別世界、実際に使ってみないと何とも言えないところですが・・・。


 この帯鋼、こういう材質なので、ホイップや八木には不向きかと思いましたが、そうでもないです。特徴をまとめてみると、
1)とにかく軽い
2)ハンダ付け出来て加工しやすい
3)50cm程度なら直立も可能
4)バネなので丸めて仕舞っておける


先端をヤスリで丸く加工

 注意点は、切断にコツがいる(ニッパーで抑えてペンチで曲げるとポキッと折れます)ことと、切断面が鋭利なことでしょうか。

 たしかにグローバルアンテナ研究会推奨のループアンテナには最適ですね。また何かに使ってみます。




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