JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

南蔵王 杉ヶ峰 

2009年07月22日 | 奥山 移動運用


 南蔵王のピークの一つで、標高1745メートル(刈田郡七ヶ宿町)。エコーラインの登山口から約1時間の登りとなります。さらに進むと、高層湿原の広がる芝草平、屏風岳、南屏風岳、不忘山と続きます。お釜周辺と違って観光客は皆無、静かな山歩きが楽しめます。

 ところで、この杉ヶ峰、好展望ではあるのですが、長く休みたくなるような憩える雰囲気でもないのです。というのも山頂が平坦で小広く、土で覆われているため座る場所がなく、無理に座るとあまり眺望がきかないのです。5人程座れる丸太のベンチは置いてあるのですが・・・。という訳で、登山者の多くは立ったまま休憩して、眺望を少し楽しみ、足早に去っていく、そんな山頂です。南蔵王でのQRVは今回が初めてで、標高的には屏風岳や南屏風岳の方がFBかと思いますが、時間の都合で、こちらでの運用となりました。

 7月下旬、この日は、朝から好天。ただ、上空に巻き雲が出ていたので、急いで自宅を出ました。登山道を歩き始めると、西から刻々とガスが上がってきて、稜線を覆います。杉ヶ峰山頂に着いた時は、山形県側はガスで何も見えませんでした。同行者Xが芝草平まで足を伸ばして、また戻ってくると言うので、その間、気兼ねなく無線に興じることにしました。

 今回も、設備はアルインコDJ-S17(145MHzエネループ乾電池4W)とJ型アンテナです。近頃は、どこに行くにもこればかりです。

 バンド内ワッチしてみると、タイミングよく岩手県八幡平移動局のCQが聞こえてきました。59-59でレポート交換。標高1000mほどの地点からハンディ機運用、機種は当局と同じDJ-S17をお使いとのことでした。終止安定した交信でした。

 続いて、145.160でCQを出してみました。はじめに福島県猪苗代町移動局に応答いただきました。同じくハンディ機、ホイップアンテナ。鬼面山下山中とのこと。52-52のレポート。続いて、福島市、郡山市、西白河郡西郷村など福島県各局、女川町、東松島市、青葉区、泉区、角田市など宮城県各局、西川町、酒田市など山形県各局、0エリアは新潟県新発田市局と交信。どの方向が良いということは感じられず、万遍なく飛んでくれているようです。西郷村は栃木との県境ですが、ビームを振っていただいて59-59で交信できました。終了後、大崎市旧鳴子町移動局のCQが聞こえてきました。呼んでみたところ、59-52で交信成立。花渕山山頂からハンディ機とのこと、当局の信号は強力に届いているとのレポートをいただきました。

 梅雨の晴れ間、多くの方が移動されていたようで、山同士の交信もいくつかありました。またJ型アンテナということで応答いただいたOMさんもみえました。昔のことはわかりませんが、かつては、ずいぶん自作されたアンテナのようです。










 帰りに、青根温泉に立ち寄ってみました。新しくできた公衆浴場「じゃっぽの湯」は芋の子洗いで懲りた経験があったので、何軒かある温泉旅館の一つに入れてもらいました。「とだ家」という奥まったところにある旅館です。大きすぎずちょうど良いサイズの内湯と露天風呂には、なみなみと湯が注がれていました。他に入浴者もなく、静かな時間を過ごすことができました。経営の方が少し心配になりましたが、末長く続けてほしいものです。

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月山姥ヶ岳にて

2009年07月12日 | 奥山 移動運用



 姥ヶ岳は、山形県の中央部、月山の一角にある標高1670mの山です。月山山頂(1980m)からみると標高はかなり低く、リフト終点から30分も歩けば、着いてしまいます。

 7月上旬のこの日、仙台はどんよりとした天気で、ホームからの出発を躊躇しているうちに遅れてしまい、やむなく月山登頂はあきらめ、こちらでの運用となりました。月山登山の通過点となる小ピークということで、三々五々登山者が登ってきては、少し休憩してまた歩き出す、そんな感じの山頂です。東側に月山本体が壁のように鎮座していますので、無線にはどうかな?とも思ったのですが、結果的にはたいへんFBな運用となりました。当日はコンテストの最中で、多くの局が移動されていたことも幸いしたと思います。

 当局の設備は、いつものハンディ機アルインコDJ-S17(144MHzモノバンド エネループ電池4W出力)と自作のJ型アンテナのみの運用です。

 ワッチしてみるとコンテスト中ということもあって、バンド内、珍しく混み合っていました。山形県内局の他、新潟の交信も聞こえています。あちこちで「CQコンテスト」の声も聞こえます。メインコールして145.26でCQを出してみました。

 初めに応答いただいたのは、驚いたことに青森県弘前市の移動局でした。岩木山からハンディ機1Wとのこと。当局の設備を紹介すると、偶然にも相手局もJ型アンテナを使用とのこと。TVフィーダーで作ったものを釣り竿にぶら下げての運用だそうです。J型アンテナ同士の交信は初めて。お互いに55で終止安定した交信でした。交信距離約250キロメートル。

 続いて酒田市鳥海山移動局(2局)、蔵王移動局と59オーバーで交信。秋田県男鹿市、仙北市、新潟市、小国町、朝日町、鶴岡市、名取市など各局と交信後、いったん昼食休憩。その間、メインをワッチしていたところ、「JA9・・・」とはっきりと入感。急いでお茶を流し込んで、コールしたところ、一発で取り上げていただきました。何と富山県高岡市の移動局でした。標高200m程の小高い場所からの運用だそうです。午前中、当局の信号が聞こえて、山形県?と思い、こちらを呼んでみたが他の局との交信が始まってしまったので諦めていた、とのことでした。お互い59のレポート交換。交信距離約340キロメートル。

 その後、145.22で再度CQを出してみました。新潟県糸魚川市、魚沼市など日本海側各局や仙台市泉区、角田市など宮城県各局にコールいただきました。そして、JE9・・・/9・・・・?? 細々とした信号が入感。すぐに呼んでみるとJCC3006の移動局でコールサインを確認。お互い52でレポート交換しました。ここまでは弱いながらも完全に了解できていました。その後、こちらの移動地を話しQRAを尋ねたところ、返答がなくなり、そのまま信号が消えてしまいました。しばらく粘ってみましたが、再び浮いてくることはありませんでした。話を手短にすべきだったと悔やまれました。帰宅後、すぐに郡市ナンバー3006を調べたところ、石川県加賀市でした。当局のハンディ機移動運用の最長距離交信記録となりました。約400キロメートル。

 結局、2時間の運用で、25局と交信。交信できた範囲は、当局の山移動での記録を大きく塗り替えるものでした。これまでは奥羽山脈をはさんで東側(太平洋側)での運用がほとんどでしたが、姥ヶ岳はどちらかと言えば日本海側。それが要因なのかはわかりませんが、まったく異なる伝播を感じることができました。

 また、J型アンテナの能力を改めて確認しました。華奢なアンテナですが、使うたびに驚かされます。


《姥ヶ岳運用の留意点》
 山頂周辺は高層湿原となっており、木道が敷かれ、ロープも張ってあります。場所は限られます。景観にも配慮が必要で、せいぜいハンディ機+垂直ホイップ系アンテナでの運用が限界と思います。




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J型アンテナ性能比較

2009年07月01日 | J型アンテナ
 このアンテナを使った運用の時は、遠方の局と交信できていることや相手局からのレポートが良好なことから、何となくFBなアンテナだな、とは思っていたのですが、あらためて実力のほどがわかってきました。山移動でも一度、市販のモービルホイップと取り替えながらレポートをいただいたことがあります。その時は、コメットのCSB7900を使用して42のレポートがJ型アンテナでは55に改善、カサカサしたノイズが少し発生するが、信号強度は明らかに強く、了解度もよくなったとのことでした。受けに関しても同様でした。CSB7900は安定した性能を発揮してくれるお気に入りのホイップなので、それよりも性能が高い?というのが信じられない気分でした。

 定量的な測定ができればよいのですが、今回、我が家のベランダで、いくつかのアンテナと取り替えながらの原始的方法で再度、簡単な比較をしてみました。

 比較した市販アンテナは下記の5本です(すべて144MHz)。
 1)ラディックス3エレ八木      利得9.0dbi
 2)ナテック手持ち2エレ八木     利得6.0dbi
 3)コメット24KG     利得6.0dbi  5/8λ2段 2.06m
 4)コメットSB7     利得4.5dbi  6/8λ   1.38m
 5)第一電波RH205ロッドアンテナ   利得不明    5/8λ   1.34m
 《比較対象》 J型アンテナ       利得不明   1/2λ   1.5m(スタブ部分含む)

 リグはいつものハンディ機DJ-S17で、固定局からの弱めの安定した信号を何度も切り替えながら受信しました。比較は受信のみです。垂直系の4本の位置はまったく同じ、八木系の2本はもっとも強く入感する方向に合わせました。

 その結果は
 3エレ八木>J型アンテナ>2エレ八木>SB7>24KG>RH205

 となりました。あくまでハンディ機のシグナル表示と耳だけのアバウトな比較です。

 印象としては、3エレが頭2つ出てトップ、2エレからRH205まではどんぐりの背比べの勝負、J型アンテナはそれらよりも頭一つ上、といったところです。意外だったのは、2メートルもある24KGが振るわなかったことです。SB7の方がわずかに良いように思われました。ベランダという特殊な環境であることもご理解ください。全方位に障害物のない環境ならまた違う結果になったかもしれません。

 このアバウトな実験でも、J型アンテナの実力はなかなかのものと思いました。市販のモービルホイップのいずれと比較しても、信号強度が上がります。モービルホイップではまったく了解できない信号が、J型アンテナでは了解できるケースもありました。ほんとに良く聞こえるアンテナです。

 構造は、全長1.5メートルあります。下部1/4λのスタブ(マッチング)部分50センチと上部1/2λのエレメント100センチで出来ていますので、アンテナとしては1/2波長とみることができるかと思います。とすれば利得は2.14dbiに過ぎない・・・・? Jの形の短い方の先端あたりを手で触れると、激しくノイズが出て、受信できなくなります。スタブ部分が性能に大きく作用しているようです。原理はよくわかりませんが、こんな簡単な構造なのに、かなりのゲインであることは確かだと思います。

 いずれにしても『改訂版手作りアンテナ入門』という本のおかげで、たいへんFBなアンテナに出会うことができました。欧米ではslim jimとかJ pole antennaという名称で使われているようです。エレメント部分を5/8λ2段にしたり、固定局用に太い銅パイプで作製したものなど、ホームページで様々なバリエーションが紹介されています。形も微妙に違っていて、スタブ部分の下にさらに1/4λのパイプが伸びているスタイルが多いようです。給電方法も同軸芯線をスタブ側にするのかエレメント側にするのか、などでも違いがあるようです。

 これらを参考に、もっと丈夫なもの、たとえばエレメントをステンレスにするとか、携帯性を重視してロッドアンテナにしてしまうとか、いろいろと2本目を思案中です。

 以前に掲載した「J型アンテナ自立式」の中で、アンテナの全体像や各部が今ひとつわかりにくいと思いますので、あらためて、写真を撮り直してみました。略図もご参考ください。




J型アンテナの全体像 150センチ  
塩ビパイプ(マスト)に結束バンドで固定してます。


スタブ部分  
1メートルの4mm銅パイプをU字に曲げて作ります。


スタブ部分2


スタブ下部  給電部  下から約6センチのところでハンダ付で給電。


スタブ上部 手前の銅パイプに3mm銅パイプのエレメントを差し込みます。
銅パイプを平行に保つためにプラスティック板で固定。
この部分が動いたりするとSWRが極端に悪化します。
このアンテナでもっともクリチカルな部分。


4:1バラン


分解した状態 約50センチ 上の2本がエレメント



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